英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋界(順位戦)の歪み その6「棋界全体の実力分布(年度成績~分析~)」

2013-02-06 17:56:53 | 将棋
『将棋界(順位戦)の歪み その5「棋界全体の実力分布(年度成績~概況~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その4「棋界全体の実力分布(通算成績~下位棋士~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その3「棋界全体の実力分布(通算成績~上位棋士~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その2「昇級争いにおける対戦相手の分析とC級2組の実力分布の偏り」』
『将棋界(順位戦)の歪み その1「菅井悲劇をもたらした棋界の現状」』の続きです。

 前回は、単年度成績の「勝率」「勝数」「負数」などの傾向と、それぞれの要素について実力を測る尺度としての有効度を考えてみた。そして、「勝数」が最も実力を反映していると述べている。
 しかし、「勝数」にも弱点がある。その因となるのが「フリークラス制度」である。今回はそのことを含めて、単年度成績の各要素について分析したい。

①勝数
 順番からすると、「勝率」からなのだが、話の展開の都合で「勝数」から考えたい。
 強敵とばかり対局する上位棋士は数値が低くなる勝率と違い、数値に負数が影響しない勝数の方が、的確に実力が反映される。
 勝ち進めば進むほど勝数が増えるのは当然だが、挑戦者決定リーグに進出したり、タイトル戦の番勝負に登場すれば更に数値は伸びる。上位棋士は予選を免除されている場合が多いのでリーグ入りには近いが、その反面、トーナメント初戦から強敵と当たるので初戦敗退という危険性も高い。
 予選から参加の若手有望棋士の方が勝数の伸びしろはあるが、実力がないと2次予選や本戦トーナメントを勝ち抜く道が長いという面もある。
 総合すると、「強ければ数字が伸びる」という法則が大まかではあるが成り立つ。

 具体的に、昨年度の勝数を検証してみよう。 
勝数ランキング        2011年度活躍度ベスト10
1 羽生 善治 44         1位 羽生王位・棋聖  121点
1 豊島 将之 44         2位 渡辺竜王・王座  107点
3 中村 太地 40         3位 郷田棋王      54点
4 渡辺 明   39         4位 豊島六段      52点
5 菅井 竜也 36         5位 深浦九段      48点
6 糸谷 哲郎 35         6位 佐藤王将      47点
7 広瀬 章人 32         7位 広瀬七段      46点
7 船江 恒平 32         8位 橋本八段      45点
7 大石 直嗣 32         9位 中村(太)五段   44点
10 永瀬 拓矢 31        10位 丸山九段      43点
11 牧野 光則 30        10位 菅井五段      43点
12 郷田 真隆 29        12位 糸谷六段      41点
12 橋本 崇載 29        12位 佐藤(天)六段   41点
14 稲葉 陽  28         14位 船江五段      36点
14 阿部 健治郎28       14位 永瀬四段      36点
16 深浦 康市 27        16位 久保九段      33点
16 戸辺 誠  27         16位 稲葉五段      33点
18 佐々木勇気 26        18位 安部(健)四段   32点
19 阿久津主税 25         18位 大石四段      32点
19 佐藤 天彦 25        20位 牧野四段      30点
19 村山 慈明 25
19 遠山 雄亮 25
19 阿部 光瑠 25

 タイトル保持者の郷田棋王が12位、森内名人(10勝・99位)、佐藤王将(22勝・28位)はランク外と順位が低い。また、若手棋士に押し出されるように、今期のA級在籍棋士のうち、三浦八段、谷川九段、屋敷九段、高橋九段はランク外。よって、勝数が単純に実力を反映しているとは言えないが、それでも活躍度を大まかに反映しているとは言えるだろう。
 ちなみに、右側のランキングは、私が独自にタイトルや棋戦優勝を加味し算定したランキングである。ここでも顔を出さない上記のA級棋士プラス名人は不甲斐ないと言える。
 試しに、A級棋士が勝率5割と仮定した時の勝数を考えてみる。王位、王座、棋王、王将、棋聖、朝日杯、NHK杯、銀河はトーナメント形式、竜王戦はランキング戦と昇級者決定戦と2トーナメント分、参加者が制限される日本シリーズ、大和証券杯はどちらかに参加と仮定する(代表決定リーグには進出できないと仮定)と、11トーナメント。勝率5割と仮定したので5~6勝。さらに2回戦をその半分の2~3勝。3回戦以上で2勝上積みしたとして、10勝。これに、順位戦で5勝したとすると、合計15勝。
 三浦八段の23勝21敗、屋敷九段の18勝13敗はクリアしているが、森内名人10勝19敗(順位戦は参加なしだが名人戦で4勝している)、高橋九段12勝18敗、谷川九段10勝17敗は勝数というより、それ以前の不振であった。
 その他の主な上位棋士では山崎七段24勝24位、丸山九段22勝・28位、久保九段21勝・32位、行方八段17勝・60位、木村八段16勝・63位、藤井九段15勝・67位、。
 ちなみに、(昨期中に引退した棋士を除く)ほぼ1年フル参加した棋士が158名でその真ん中の79位に当たるのが、加藤九段を含む74位グループ(8人)で14勝であった。

 下位棋士についても、上記の勝数算出の考え方は当てはまる。ただ、日本シリーズ、大和証券杯の参加はほぼなく、新人王戦もない中堅、ベテラン棋士だと仮定すると14勝が5割の線となる。また底辺棋士の勝率が3割だとすると、1回戦突破が3勝、2回戦突破が1勝、順位戦で3勝、計7勝となる。
 ここで問題になるのは、フリークラス棋士。順位戦不参加なので10局勝つ機会が少なく、少数で線を引くのは公平とは言えない。今回の冒頭で「勝数にも弱点がある」と述べたのは、この点である。


②勝率
 勝率の利点は、対局数に左右されないことである。対局数が多ければ多いほど、実力が正確に反映されると考えられる。
 しかし、ここまで何度も述べてきたように、上位棋士の勝率5割と下位棋士の5割では難易度が全く異なる。昨年度勝率.370の谷川九段や.345の森内名人が、勝率.400の下位棋士より弱いとは誰も考えないであろう。

勝率ランキング
1 中村 太地 0.851 40- 7
2 渡辺 明  0.765 39-12
3 橋本 崇載 0.744 29-10
4 菅井 竜也 0.735 36-13
5 豊島 将之 0.733 44-16
6 船江 恒平 0.727 32-12
7 阿部健治郎 0.700 28-12 
8 羽生 善治 0.698 44-19
9 佐藤 天彦 0.694 25-11
10 大石 直嗣 0.681 32-15
11 飯塚 祐紀 0.677 21-10
12 永瀬 拓矢 0.674 31-15
13 北浜 健介 0.667 20-10
13 伊藤 真吾 0.667 20-10
15 阿久津主税 0.658 25-13
16 広瀬 章人 0.653 32-17
17 稲葉 陽  0.651 28-15
18 佐々木勇気 0.650 26-14
19 横山 泰明 0.649 24-13
20 糸谷 哲郎 0.648 35-19 

 ベスト20は、ほぼ若手に占められている。A級棋士は渡辺竜王(2位)、橋本八段(3位)、羽生三冠(8位)のみ。43歳の飯塚七段の頑張りが特筆される。
 A級棋士や有力棋士では、郷田棋王(.617・29位)屋敷九段(.6581・40位)深浦九段(.574・42位)三浦八段(.523・57位)佐藤王将(.512・64位)丸山九段(.489・73位)加藤九段(.483・74位)久保九段(.447・84位)藤井九段(.429・90位)高橋九段(.400・102位)谷川九段(.370・118位)森内名人(.349・127位)。
 真中順位の79位は佐々木六段で.469。勝率.500は鈴木八段他7人で65位となっている。5割以上が72人、5割未満が86人と、負け越しの方が14人多い。これは、通算勝率では5割以上が121人、5割未満が44人(その4参照)と逆の傾向である。
 私は「10局指したら4勝6敗(負けた1局を勝っていたら5割)がボーダーライン」と考えている。昨年度、4割未満の棋士は50人。このうち、3割を切る棋士は26人もいる。
 しつこいようだが、下位棋士の勝率3割台というのは、その額面より実質は低い。例に挙げる棋士には申し訳ないが、武者野七段の昨年度の成績は2勝9敗(.182)。その2勝が金沢五段(2勝11敗.154)と佐藤義八段(2勝10敗.167)。その金沢五段の2勝は武市六段(2勝9敗.182)と中尾五段(7勝9敗.438)。また、佐藤義八段の2勝は横山五段(24勝13敗.649)と森九段(11勝15敗.423)。
 多少の例外はあるが、下位棋士同士が対局し、そこで勝ち星を上げているケースが多いように感じる。制度的に下位棋士と同じクラスにランクされる若手棋士は下位棋士相手に勝ち星を稼ぎ、勝率も高くなっている。

 ボーダーラインを4割未満と定めるのは厳しいような感覚があるかもしれない。実際、3割台の最上位棋士は中田(宏)八段と長岡五段の11勝17敗.393。勝率だと低い印象があるが、勝敗でみると大負けという印象はしない。ボーダーラインを4割未満は厳しいのかもしれず、考慮の余地はある。
 ちょっと不調になれば3割台になってしまうだろう。だから、1年で区切るのではなく、直近5年間で3回3割台をボーダーラインとしてはどうだろうか(3年連続なら即アウト)。
 ただし、上位棋士と下位棋士では難易度が違うので、C級・フリークラス棋士に限る。

 昨日、C級1組の順位戦が行われ、敗れた内藤九段(1勝8敗)の降級点が確定し、2度目の降級点となり、C級2組への降級が決まった。
 内藤九段の年度別の成績は、2003年度15勝13敗(0.536)、2004年度13勝16敗(0.448)、2005年度14勝16敗(0.467)、2006年度7勝15敗(0.318)、2007年度7勝20敗(0.259)、2008年度12勝 13敗(0.480)、2009年度6勝20敗(0.231)、2010年度4勝19敗(0.174)、2011年度6勝19敗(0.240)、そして今年度も現在2勝17敗(0.105)。衰えた内藤九段を見たくないというのが正直な気持ちである。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ビブリア古書堂の事件手帖』 第4話「春と修羅」

2013-02-04 23:03:17 | ドラマ・映画
目の前に同じ本できれいなものと汚れているものがあれば、誰しもが綺麗な方に手を伸ばします。
この本のように、汚れやシミのある本を好んで手に取る人はいません。
しかしこの本は、なぜかきれいな本以上に多くの人たちから求められているのです。
いったい…この本にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?

 (この語りかけ、たどたどし過ぎて聞きづらい。それに、「いったい」の後の溜めはもう1拍欲しい)


 今回は、強引な論理(推理)や深くない推理(服装、近道など)が目立った。初版本と言っただけなのに『春の修羅』と言ってしまった奇妙さは、栞子なら即座に気がつくはず。『錯乱』があったのを知っていたということが決め手となったが、「池波正太郎の賞を取った」という情報から『錯乱』を思いついたということもあり得る。
 冒頭の謎かけも、初めから想像できたし、栞子の勿体ぶり度が強くなっていた。
 酩酊した志田が貴重な古書を、はずみで売ってしまった相手の玉岡聡子に辿り着いたのは奇跡的で面白かったが。

 それはともかく、玉岡一族の心情があやふやだったのが不満。

聡子
 屋敷を売ることになり、父の蔵書を処分。「処分」という言葉に本への愛情は感じられない。それに、古本屋に売るというのも……図書館や大学に寄贈するとか考えないのかな。
 これは性格ではないが、おっとりした話し方が栞子の引っ込み思案な?話し方と、ゆっくり度が重なり、まだるっこさが倍加された。

一郎と小百合
 一郎はもともと本が好きなので、昴と気が合いそうだし、聡子とも揉めそうな気がしない。栞子の推理の材料にされただけ?
 小百合はフェイクなので、「金にうるさい」という分かりやすい設定はいいと思う。


 余計なことを話し過ぎ(自らボロを出し過ぎ)。

 
亡父
 「テナルディー軍曹に気をつけろ」って、却って昴を惑わしそう。それに、聡子も言っていたが、娘を盗人扱いするとは酷い。聡子と昴が仲良くなるよう願った人の言葉じゃないよね。
 それに、聡子と昴が仲良くなるよう願って、直接、昴に本を渡さなかったというが、昴にさっさと譲っていれば、聡子が本が惜しくなって、昴を遠ざけるなんてことはしなかったと思う。
  
 

【ストーリー】番組サイトより
 篠川栞子(剛力彩芽)は、客の自宅に出張して本を買い取る「宅買い」に五浦大輔(AKIRA)を連れて行く。訪ねた先は「玉岡」という邸宅で、依頼者の玉岡聡子(森口瑤子)は、3ヵ月前に他界した父親の蔵書を処分して欲しいという。
 蔵書は主に純文学や詩集で、なかには中原中也の『在りし日の歌』の初版本など貴重なものもあり、栞子は密かに心躍らす。聡子はそんな栞子に、買い取りとともに、昨日この書斎から盗まれた宮沢賢治の『春と修羅』の初版本を取り戻して欲しいと依頼。父親は『春と修羅』の初版本を二冊持っていたが、状態の良くない方が盗まれたのだという。聡子がその消失に気づいたのは、昨夜、遺産のことでクレームを付けに来た兄・一郎と姉・小百合が帰宅した直後だった。ふたりの来訪の直前まで書斎にいて存在を確認していた聡子は、帰宅したふたりに電話で問い詰めたが、どちらも犯行を否定しているという。それを聞いた栞子は、ふたりの服装について尋ねる。
 栞子と大輔が「ビブリア古書堂」に戻ると、そこに疲れ切った志田肇(高橋克実)がいた。志田は先日、酔った勢いで仕入れた古書すべてを1000円で売ってしまう、という失態を演じていたのだ。
 翌日、栞子と大輔は一郎に事情を聞きに行き、その後、小百合とは甘味処で待ち合わせをした。しかしやって来たのは、息子・昴(今井悠貴)だった。小百合に頼まれて来たという昴は、栞子と大輔を自宅へと連れて行き…。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

A級順位戦 8回戦の結果と最終局の予想

2013-02-04 20:35:07 | 将棋
A級順位戦
 2月1日に8回戦が行われた。
郷田 真隆棋王(5勝3敗)○-●高橋 道雄九段(2勝6敗)…23時59分
佐藤 康光王将(4勝4敗)○-●屋敷 伸之九段(4勝4敗)…0時2分
谷川 浩司九段(2勝6敗)●-○橋本 崇載八段(2勝6敗)…0時9分
羽生 善治三冠(7勝1敗)○-●渡辺 明 竜王(5勝3敗)…0時46分
三浦 弘行八段(6勝2敗)○-●深浦 康市九段(3勝5敗)…0時56分
 (時刻は終局時刻)

 羽生-渡辺戦は終盤、大波乱が起こった。

 羽生三冠が△6八角成の王手に、8八の銀を上がって移動合をしたところ。歩頭の銀捨てである。普通の▲7七歩より後手の馬取りのプレッシャーがあり、後手の指し手に制約を与えている。しかし、平凡に△7七同歩成とされて、後手玉は詰まないという結論が控室の研究で出されている。
 形作り?……しかし、数手前に玉を6七に逃げる手も有力だったのに、あえて7七に逃げ△5九角と王手をさせ、合駒の銀を桂で取られ(桂銀交換)、さらに△7六歩にわざわざ8六に玉を逃げ△6八角成と王手で金をぽろっと取らせる順を選んだからには、△7七同歩成には、後手玉が詰むか誰も気がつかない詰めろ逃れの詰めろがあるのではないかと淡い期待を抱いていた。
 ………△2三歩??、≪何、この手?≫
 ▲3四桂△5二玉▲3三龍……何か、すごく得したような。先の△2三歩は▲3三龍と入ってくださいという1手パスに思えた。≪何が起こったんだ?≫
 羽生三冠が△7七同歩成とされた時に後手玉が詰むと錯覚していたのは一連の指し手から想像できる。しかし、渡辺竜王も全く同様な錯覚をしていたという。両者とも「ちょっと前の局面で、先手の持ち駒が銀1枚でも詰みだったので、△7七同歩成の局面も当然詰む」と思い込んでいたらしい。取り敢えず、先手龍の利きを逸らして、それから先手玉の詰みを考えようとした△2三歩だったようだ。
 長時間の激闘、時間切迫の中、読みを省略、エネルギーを節約して、この先の難解な局面を読み切ろうとした。しかも相手は羽生三冠である。さらに、如何にも詰みがありますよという羽生三冠の手順である。
 結局、龍の利きが変わっても先手玉は詰まず、大逆転となった。

 それにしても羽生三冠、今期の順位戦は神がかり的な運だ。2局目の郷田戦以外、負け寸前、敗勢の局面からの逆転勝ちばかり。敗れた前局の三浦戦は逆に楽勝に思えた。2勝6敗と残留争いをしていても不思議ではない内容だった。

 この結果、挑戦権争いは、7勝1敗の羽生王位・王座・棋聖と6勝2敗の三浦八段に絞られた。



 残留争いは、剣が峰に立たされている橋本八段が勝ち、谷川九段と高橋九段が星を伸ばせなかったため、2勝6敗で谷川九段、高橋九段、橋本八段が並び、八回戦で敗れた3勝5敗の深浦九段も残留を確定できなかった。
 それにしても、深浦九段はA級順位戦では勝負弱い。
 八回戦の相手の三浦八段とは因縁があって、19年前のC級2組の最終局、ともに7勝2敗だった両者が対局し激戦の末、三浦八段が勝ち、来季の順位を上位にしたのが因縁の始まりで、翌年(53期)のC級2組、第58期B級2組で両者同星ながら、頭ハネで三浦八段のみ昇級。さらに、A級順位戦においても、第63期・第65期・第67期も同星ながら三浦八段が残留、深浦は降級している。
 その順位戦の不運とは逆に、両者の対戦は現在、深浦九段が12連勝中であった。(以上の情報は、中継の実況解説より)
 現在、降級の危険度は、橋本>高橋>谷川>深浦の順。橋本八段と高橋九段は負けると即降級、橋本八段は勝っても、谷川九段、深浦九段、高橋九段のうち二人に勝たれると降級。また、高橋九段は勝っても、谷川九段と深浦九段の両者に勝たれると降級という状況。
 谷川九段は最終局に敗れても、高橋九段と橋本八段がともに敗れると残留。深浦九段は敗れても、谷川九段、高橋九段、橋本八段のうち2人以上敗れると残留できる。
 深浦九段の降級の確率は、勝率を5割と仮定すると、16分の4で25%。最終局に敗れたとしても、残留確率は50%はある。とは言え、過去3度降級し(4勝5敗での降級が2度の不運)、まだ残留したことのない深浦九段は背筋の寒い感覚が消えないところだろう。

A級最終局(3月1日)の対戦カードは以下の通り。

△羽生 善治三冠(7勝1敗)-▲橋本 崇載八段(2勝6敗)
△三浦 弘行八段(6勝2敗)-▲高橋 道雄九段(2勝6敗)
▲渡辺 明 竜王(5勝3敗)-△郷田 真隆棋王(5勝3敗)
△佐藤 康光王将(4勝4敗)-▲深浦 康市九段(3勝5敗)
▲屋敷 伸之九段(4勝4敗)-△谷川 浩司九段(2勝6敗)

 ところで、久しぶりに『将棋世界』2月号の「A級順位戦予想クイズ」に応募しました。いつも対戦表に勝敗予想は書き込んではいるのですが、投函するのを忘れてしまうのです。今年は締切当日に投函できました。
 その予想ですが、8回戦で三浦-深浦戦を外してしまいました。今期こそ深浦九段に残留して欲しいと思ったからですが、深浦九段の8、9回戦での失速ぶりを考慮した最初の予想を貫くべきでした。

 さて、最終局のクイズの私の予想は、
○羽生 善治三冠-橋本 崇載八段
○三浦 弘行八段-高橋 道雄九段
○渡辺 明 竜王-郷田 真隆棋王
 佐藤 康光王将-深浦 康市九段○
○屋敷 伸之九段-谷川 浩司九段

 羽生三冠の勝利は当然として(橋本八段ごめんなさい)、三浦八段のA級順位戦の最終局は、過去9年で6勝3敗(ここ5年は4勝1敗、3連勝中)の強さを考えると三浦八段の勝ちは動かない。渡辺-郷田戦は棋王戦や王将戦での流れで変動しそうだが、竜王の強さと先手番を考えて竜王の勝ち。
 佐藤-深浦戦は私の希望。屋敷-谷川戦は、谷川九段に復調の気配はあるものの、順位戦先手番の屋敷九段の鬼のような強さを考えると屋敷九段の勝ち。
 降級の有力3名が全員敗局で、降級者は高橋九段、橋本八段ということになるが、最終局の私の予想は昨年は5局中2局しか的中せず、一昨年は全局外しているので、当てにはならない。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『八重の桜』 第5話 「松陰の遺言」 【補足あり】

2013-02-03 20:17:02 | ドラマ・映画
安政の大獄、桜田門外の変
 と大事件が続いたが、淡々と進むというあっさり感を感じてしまう
 前話の最後の方でフラッシュシーンで大獄の様子が語られたのみ、今週は吉田松陰の処刑のみで近藤茂左衛門、梅田雲浜、橋本左内は登場せず。桜田門外の変もあっけなかった。
 吉田松陰にしても、登場頻度は低く、凧を上げたこと、酒を酌み交わしたこと、密航を企てたことぐらいしか印象に残らず、蟄居中の松下村塾は番組最後の『紀行』で語られたのみ。どういう思いで自ら罪を認めたのか、遺言の真意も浅学の私にはよくわからなかった。


嫁と小姑の融和
 前話では、お互いが異質なものと感じ理解不能であったが、畑仕事を通じ、義姉のやさしさとそれを理解する義妹、二人の心が通じ合う。
 そういった日々の中、攘夷派の愚行に巻き込まれ、うらが流産。
 「覚馬もヤルことはヤルんだな」という突っ込みがしづらくなる悲しい出来事。

【補足】
うらが野菜に「おおきくなあれ」と話しかけていたのは、お腹の子に対して言っていた。そして、八重がそれを真似て言っていたのを見たうらは、流産したことを実感して泣いてしまったのだという『平成エンタメ研究所』のコウジさんの記事を見て、私の未熟さを実感しました。


彼岸獅子同士の突っ張り合い
 小松村の獅子と天寧村の獅子が往来で鉢合わせ、小競り合いが起こる。その衝突の中に幼子が入り込み、それを庇おうとする八重、山川大蔵によって諍いは沈められる。
 幼子の身を案じる心、一緒に楽しむ心があれば、楽しみは倍になるという教訓であろうか。
 (どうでもよいことですが)八重が幼子を助ける時、ジャンプしたけれど、躓いたようにしか見えなかった。


嫁と小姑、獅子同士の衝突の異種融和の教訓は、「問答無用の攘夷の愚行」「安政の大獄有無も言わさぬ弾圧」対立には通用しないのだろうか?安政の大獄後も国を二分する内乱に発展する危機を迎える。

【ストーリー】番組サイトより
 うら(長谷川京子)が覚馬(西島秀俊)の子を身ごもり、八重(綾瀬はるか)は佐久(風吹ジュン)たちと共に祝福する。
 しかし、その喜びもつかの間、覚馬を攘夷派の不逞(ふてい)浪士が急襲する。さらに、かつて八重たちとも交流があった吉田寅次郎(松陰・小栗旬)が、安政の大獄で処刑されたという知らせを聞き…。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする