しらくもの たえずたなびく みねにだに すめばすみぬる よにこそありけれ
白雲の 絶えずたなびく 峰にだに 住めば住みぬる 世にこそありけれ
惟喬親王

白雲が常にたなびいている峰にさえ住んでみれば住める世なのであったよ。
作者の惟喬親王は第55代文徳天皇の第一皇子で、母は 0930 に「三条町」の名で一首が採録されている紀静子(き の しずこ)。第一皇子ですから皇位を継承する可能性もあった人物ですが、結果的にはそれは叶わず、その後病を得て出家し、比叡の山麓に住んだと言われています。本歌もその隠棲の地での詠歌でしょう。古今集への入集は 0074 と本歌の二首となっています。