漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0966

2022-06-22 05:14:52 | 古今和歌集

つくばねの このもとごとに たちぞよる はるのみやまの かげをこひつつ

筑波嶺の 木のもとごとに 立ちぞよる 春のみ山の かげをこひつつ

 

宮道潔興

 

 筑波山の木ひとつひとつに立ち寄っています。春の山の蔭を恋しく思うように、東宮のご加護を願いながら。

 詞書には「親王の宮の帯刀にはべりけるを、宮仕へつかうまつらずとて、解けてはべりける時によめる」とあります。「親王の宮の帯刀(たちはき)」は親王の身辺の警護にあたる役職、「春のみ山」は「春の宮」、すなわち東宮(皇太子)を指しており、その「かげ」=「加護」ですね。怠慢により役職を解任されたときに詠んだということで、反省して主の許しを願う歌というところでしょうか。
 作者の 宮道潔興(みやじ の きよき)は詳細不明ですが平安時代前期の官人。勅撰集への入集は古今集のこの一首のみです。