しりにけむ ききてもいとへ よのなかは なみのさわぎに かぜぞしくめる
知りにけむ 聞きてもいとへ 世の中は 波のさわぎに 風ぞしくめる
布留今道
すでに知っていたでしょう。そうでなかったら、ここで聞いて厭わなくてはいけません。世の中というものは、波が騒ぐ上にしきりに風も吹くようですから。
第五句「風ぞしくめる」の「しく」は「同じことが重なる」「しきりに~する」意。「波のさわぎに 風ぞしくめる」は次々といろいろな出来事が起きることの比喩で、世の中の絶え間ない変化、無常を表現していますね。
古今集に三首入集している布留今道、他の二首は 0227、0870 に採録されています。