おもひきや ひなのわかれに おとろへて あまのなはたき いざりせむとは
思ひきや 鄙の別れに おとろへて 海人の縄たき いざりせむとは
小野篁

思いもよらなかった。都から遠く離れた田舎暮らしに落ちぶれて、漁師の釣り糸を繰って漁をするようになるとは。
詞書には「隠岐国に流されてはべりける時によめる」とあります。初句の「や」は反語。「鄙」は都から遠く離れた田舎、「おとろふ」は落ちぶれる意で、落ちぶれて流罪の地にあるわが身の嘆きの詠歌となっていますね。なお、流罪の理由は遣唐使派遣拒否等により時の帝である第52代嵯峨天皇の怒りをかったためですが、2年後、赦免されて都に戻っています。