漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 289

2024-01-30 06:25:30 | 貫之集

をみなへし にほひをそでに うつしては あやなくわれを ひとやとがめむ

女郎花 匂ひを袖に うつしては あやなくわれを 人やとがめむ

 

女郎花の匂いを袖に移したならば、いわれもなく人は私を咎めることだろう。

 

 人が「咎める」のは、女郎花の香りに、人々が自分が女色にふけっていると誤解するから。古今和歌集 0229 の小野美材(おの の よしき)の歌を踏まえての詠歌です。
 本歌は、新拾遺和歌集(巻第四「秋上」 第363番)に入集しています。

 

をみなへし おおかるのべに やどりせば あやなくあだの なをやたちなむ

女郎花 多かる野辺に 宿りせば あやなくあだの 名をや立ちなむ

 

小野美材