うつつには あふことかたし たまのをの よるはたえずも ゆめにみえなむ
うつつには 逢ふことかたし 玉の緒の 夜は絶えずも 夢に見えなむ
現実にあのひとに逢うことは難しいから、夜はいつも夢に現れてほしい。
「玉の緒」は「絶ゆ」に掛かる枕詞。百人一首第89番 式子内親王の歌がつとに有名ですね。
たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞ
この歌は拾遺和歌集(巻第十三「恋三」 第809番)に入集しています。そちらでは柿本人麻呂が作者とされていますが、拾遺集の記載は誤りと考えられているようです。