60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

糖質制限(2)

2009年11月20日 09時02分05秒 | Weblog
上の図は三大栄養素が血糖を上昇させる時の相関図である。
この図をみると糖質は摂取後15分~90分で100%血糖に変わる。蛋白質は3時間
前後で約50%、脂質は数時間~12時間で10%未満が血糖に変わることになる。
三大栄養素のうち糖質のみが100%糖になり血糖を上昇させる主たる要因である。
したがって血糖値を抑えるにはカロリーよりもむしろ摂取食物の質の方が重要である。
現在の食生活はエネルギー総量の60%以上を糖質に依存しており、これが循環器
系のさまざまな障害を起こす要因になっていると考えられる。「糖質依存からの脱却」
これが糖質制限食の考え方である。

私が糖質制限を初めて今日でちょうど1ケ月になった。そこで今日はその中間報告である。

尾籠な話で恐縮であるが、まずは便量と便質が変わった。
便量は今までの半分程度、時々自分が便秘になったのではないかと心配になるほどである。
便質は水分量が減った感じである。食べる内容が違ってくるわけであるから当然でだろうが、
雑穀がメインの馬や牛の糞から、肉食系動物の犬や猫の糞のように質が変化してきた。
どちらかと言えばコロコロ形のため、今までよりトイレットペーパーの使用量も減ってくる。
また、食物の変化で100種以上120兆存在するといわれる腸内細菌の生存分布も
変化が生じるのであろう。スタート当初、便秘になったり下痢をしたりと調子が良くなかった。
しかし時間が経つに従って落ち着いてきたのだろう、今は下痢を起こすことはない。

次に体重、1ヶ月前に71kgだった体重は昨日現在69.8kg、マイナス1.2kgである。
ご飯、パンや麺類を抜くとどうしても食事量が少なくなる。そのためおかずをたくさん食べる。
今までのおかず量の1.5倍くらいは食べるようになったであろう。とくにカロリーを制限する
わけでないから、いくら食べても良い、したがってカロリー制限のように空腹感は起こらない。
メタボが騒がれ始めた頃、カロリー制限して体重を落とそうとしたことがある。その時は常に
食事量を抑え、しかもカロリーの低いもの低いものと意識しながら食べていた。そのため、
いつも空腹感を感じていた。そのストレスは結構強く、その反動で時々食べ過ぎてしまい、
後悔することもあった。しかし今回の糖質制限は量的な制限がないから楽である。
人により、ご飯を食べないことがストレスになる人がいるという。私にはそのストレスはない。

次は体調、これから変化が出てくるのであろうが、今のところ以前と全く変わりはない。
いわゆる血糖値とは血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度である。血糖値が高い
ということは血液が砂糖水のように粘度を帯びてくる、いわゆるドロドロ血液である。
中性脂肪が高い人や肥満や糖尿病の人がドロドロ血液になっていると言われる所以は
血糖値が高くなることに起因しているようである。糖質制限を続けることで、私の血液も
多少はサラサラ血液に変わり血流が良くなるであろう。そうなれば私の体調にも変化が
出てくるかもしれない。このあたりが今後の楽しみである。


糖質制限を始めたことは何人かの友人に話してみた。「そんなことして、大丈夫なの?」
「糖尿病でないのなら、何を好き好んで、そんなことを・・」と言うような意見が大半である。
当然であろう、生まれてこの方、ご飯やパンや麺類を主食として60年間を生活をしてきた。
それでここまで無事に生きてきたのである。それを否定するわけだから、体に変調が起きる
ことを疑うのは当然であろう。私自身でも思う、私がもし糖尿病や境界型であれば病気の
改善のため糖質制限にチャレンジするであろう。しかし今は糖尿病でもないし健康的にも
特に問題をj抱えているわけでもない。「ではなぜ?」と自分に問うてみる。
自分でも明確なものはないが、多分自分の中の「何か」を変えてみたかったのであろう。

先日、私の糖質制限を話し、それを薦めていたメタボな友人から電話があった。
「新聞にオーストラリアのニュースで糖質制限すると怒りっぽくなり、腎臓に負担がかかる。
そんなニュースが載っていたぞ、だからやめた方がいいんじゃないのか」と言うのである。
私も日経新聞に載っていたその記事は読んでいた。 内容は以下のようである。

【パンなど炭水化物を減らす「低炭水化物ダイエット」を 続けると、気分が憂うつになったり、
怒りっぽくなったりする。 オーストラリアの研究チームが、このほど米医学誌「アーカイブズ・
オブ・インターナル・メディシン」に こんな研究結果を発表した。
炭水化物を減らすダイエットは腎臓障害をもたらすなどの 問題点が指摘されてきたが、
精神面にも影響を及ぼすことが分かった。 研究は24~64歳の肥満の人106人を対象に、
(1)肉、乳製品など蛋白質や脂質を中心に パンなど炭水化物を抑える「低炭水化物」組
(2)炭水化物を多く取る 「高炭水化物」組の二つの減量グループに分け、1年間にわたり
体重や精神状態を調べた(両組のカロリー摂取量は同じにした)。
その結果両グループとも1年後の体重減少は平均で13.7キロでほとんど変わりなかったが、
精神状態では「高」組にダイエット前と比べて改善がみられたのに対し、 「低」組は気分の
落ち込みや不安を示すようになった】というものである。

私の意見は以下のようになる。
現代人は糖質メインの食生活をしてきたから、基本的には糖質中毒気味なところがある。
糖質制限を提唱した著者の江部医師のいる高雄病院でも過去1200名の糖尿病患者
が実施したのに対し約2割の人が脱落したそうである。それは「どうしてもご飯が抜けない」
という理由からのようである。今まで慣れ親しんでいたご飯やパンを抜くことに強いストレスを
感じる人も多いはずである。
今回のオーストラリアの実験は(I)組はカロリー制限と糖質制限の2重の負担があり、対して
(2)の組はカロリー制限だけである。当然(1)の方がストレスはたまる。したがって(1)の方が
「気分の落ち込みや不安を示す」というのは当たり前のことのように思う。しかもサンプル数は
わずか106人、この程度の実験をオーストラリア発で掲載するのはオーストラリアが穀物の
大生産地で最大の輸出産品であるのも無縁ではないように思われる。
腎臓障害というのは良く分からないが、オーストラリアで取り上げられているのは平均13kg
減量という超肥満の人達であろう。したがって肥満による腎臓への影響ではないだろか。

私に電話してきた友人は165㎝で78kgのメタボな体型である。本人もそのあたり気にして
常にカロリーコントロールして減量に心がけているが、しかし一向に体重は減っていかない。
そんな状況を何年も見ているから、彼に薦めたわけである。しかし、彼はやらない方が良い
理由を引っ張り出してやろうとはしない。カロリーコントロールも自分の意思が弱く不調で、
他に策がないのだから、彼のメタボはいつまでも解消しないだろう。
世の中、何が正しく何が間違っているかの定説や常識は往々にしてひっくり返るものである。
だから、なにかを実行しようとするなら自分が判断して自分が決断するしかないように思う。
今まで何十年の不摂生が原因でメタボになった体、ある程度の自己犠牲は必要であろう。

先ほど書いた動機の「何か」とは、
どちらかと言えば単調な暮らしになりがちな昨今、私に当面の具体的な目標がなかった。
歳とともに怠惰になりがちなを日々の生活に、緊張と変化を求めようとしたのかも知れない。
自分に糖質制限というノルマをかけることで、精神的な鍛錬にしたかったのかも知れない。
又この不自由な生活を耐えることで、新たなステージに立てると思っているのかもしれない。
それとも歳とともに衰えていく気力体力を少しでも延命させられると思ったのかもしれない。
自分でも明快な理由は分からない。「じっとしているのは嫌だ。だから何かにチャレンジする」
これは残り少なくなった来た自分の人生に対しての一種の焦りなのかも知れないと思う。

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