6月2日(木)
感動を呼びそうな題名と、今売れっ子の是枝裕和監督作品と言う事で、期待半分に「海よりもまだ深く」という映画を観に行った。主人公の篠田良多(阿部寛)は小説家になるという夢を捨てきれぬ、冴えない雇われ私立探偵だ。ギャンブル好きでだらしない性格だから、妻(真木よう子)にも愛想を尽かされ息子を連れて離婚される。
そんな彼を母親(樹木希林)は嘆かわしく思い、姉(小林聡美)は快く思わない。良多の唯一の希望は月1回だけの子供との面会日、金も無く養育費すら払えないのに息子の望む物を何でも買ってあげる。
ある面会日に台風が襲来した事で、母親の住む都営団地に、別れた妻子と一夜を明かす事になる。ここで物語がドラマチックに展開し感動のクライマックスへと変る。
と思いきやそんな事は無く、翌朝台風は去り駅前で別れ際「これからはちゃんと養育費を払ってよ。」と妻に釘を刺され、去って行く妻子を未練げに良多は見送るのであった。・・・これでジ・エンド。
これでは冴えぬ中年男の人生ドラマ、アレッ感動はどこにあるの?気鋭の是枝監督は一体何を意図しているのだろうか。サッパリ判らぬ。「人生とはこんなに淋しく切ないもんだよ。」とでも言いたいのだろうか。
せっかく涙腺を大稼働して眼の掃除をしようと思ったのに、これじゃ肩すかしもいいところだ。芸達者な出演者の演技が面白かったからそれなりに楽しめたけれど、も少し感動と涙が欲しかった。