monologue
夜明けに向けて
 





<19>

回せ 回せよ 回転燈籠
巡り 巡る 炎の輪
まことに移ろい易きは 人の心
この日をもって 心と別れよ
愛の炎だけを武器として戦え

戦うのは 全ての人々 全ての自己
最後に残るは 自己 己れ
自己と戦い 勝ったとき
カリマホロバ マホロバとなり
輪廻の鎖は解かれる

終わりの日 神 唯お独り 立たれる

メンフィス北方五〇km アスランタの町
帽子の男
ふくろうの目に気を付けて行くこと

約束の地へ行け
黄金の壷が待つ
覗くな 手を入れるな
捧げ持て

民の苦しみを取り払うには このことしか無い
剣に手を掛けるしか無い
意思に逆らう事の無いように
しかと言い渡したぞ

1986-3-4

「光の黙示録」より

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「メンフィス北方五〇km アスランタの町
帽子の男
ふくろうの目に気を付けて行くこと」

  アスランタの町を探して旅に出よう。
空からアフリカ北東部を俯瞰するとエジプトの中、新、王国(前2100-1076頃)の都テーベの北に古王国(前2658-2150頃)の都メンフィスが位置している。メンフィスから北へ五○キロというとカイロを飛び越してまだ二十キロ以上、東近郊、太陽神信仰のヘリオポリス(、現在名マタリーア、古代名イウヌウ、旧約のオン)のことだろうか。もう少し飛ぼう。今は地図上にその名前はないがもうすぐアスランタの町なのだ。文化の種蒔き人はこの町から種を蒔き始めたらしい。

 さあ、そろそろ地上に降りたって「帽子の男」を捜そう。道行く人に尋ねよう。
「もしもし、すいませんが、『帽子の男』を見かけませんでしたか」
「さあ、帽子だけではわからんな。ほかに特徴は?」
「もしかしたら、あごひげのある白い人の姿で帽子をかぶっているのかも…」
「ああ、それなら、見たことがある。肌は白くはないが白い服を着ておった。
そこらの美術館でも博物館でもあたってみなさい。すぐ見つかるよ」

 教えられて入った、トリノ・エジプト美術館のナナイの記念碑には白い帽子をかぶっている男の姿が描かれていた。それが捜し求めた「帽子の男」であった。男の名はオシリス…。その帽子はアテフ冠といって、長円錐型の冠の両側に駝鳥の羽根がついている。
頂上に太陽のような円盤をつけたものもあった。その帽子の額の穴からコブラ(ウラエウス、エジプト名イアレト、王権の象徴かつ太陽神の眼の顕現)が鎌首を拡げて顔を出している。かれはエジプトでは帽子をかぶりあごひげのある白い人の姿でビールの製法を教えたり様々な文明をもたらした。かれはここでは大地の神ゲブと天の神ヌートの子、Osiris(オシリス)エジプト名ウセイルと呼ばれた。そのきょうだいには妹であり妻Isis(イシス)エジプト名アセトと弟、混乱の神Seth(セト)エジプト名不明とその妹であり妻ネフティス女神、エジプト名ネベト・フートがあった。オシリスは様々な活動ののち、弟セトに殺されて黄泉の王となった。それがふくろうの目、すなわち(黄泉)の目ということであるらしい。しかし、妹であり妻であるイシスの秘法によって復活した。
そして地上での仕事を終えたオシリスは天に昇りオリオンとなる。 イシスは天では天狼星(シリウス)として嬰児のような白色矮星を抱いている。それが鷹の姿で表される子、Horus(ホルス)エジプト名フルである。それはニギハヤヒの幼名布留でもあるのだ。
fumio

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