風をうけて vol.3

お引越ししてまいりました。
拙いブログですがよろしくお願いします。

「決心」

2011-03-19 10:04:54 | 日記・エッセイ・コラム

2011_03040002_2 薄い雲の隙間から、陽の日差しが

カーテン越しに淀んだ空気の

この部屋を照らしている。

午前7時40分。

浅い眠りから目覚め

ぼんやり外の景色を眺めている。

いつもなら、忙しく仕事に追われ

日々の余裕のない暮らしに

溜息のひとつもつくような時間でもある。

こうして震災以来、時間をもてあますような事態が自分を締め付ける。

会社は納入先の大手自動車会社の操業がストップしている以上

わが社が稼動する理由はない。

過去にリストラ等により失職した方々の気持ちが少しだけ

理解できたような気もする。

健康で仕事があり、忙しく動き回っていた事がつい一週間前のことだというのに

遠い昔だったような錯覚に陥る。

このまま、今まで通りの生活が続けられるのかと、ほんの少しだけ

家族に不安の顔色もうかがえてきた。

それでもどうする事もできない自分の無力さに落胆する。

それどころか、日夜繰り返される報道での被災地の惨状目の当たりにする度に、

これ程心痛む事態が過去にあっただろうかと

暗い闇に突き落とされるかのような感覚は絶望という言葉に姿を変える。

2011_03030010 寒さに震え、

生命を維持するのに

ギリギリな状態の

生活の中でも

懸命に生きようとする

被災者の方々。

自分はいつもと変わらず、

多少の不便を

誣いられているだけでもやれ政府が、行政が、電力会社が、

と不満を募らせている。

そんな自分の情けない姿こそが本当の「害」なのだと悟り、更に堕ちてゆく。

今何をすべきなのかと自分に問うても、何の回答すら生むこともなく

もどかしさと苛立ちで精神を剣先で突かれるような苦痛。

なのに相変わらず季節はずれの大雪で白くそびえ立つ赤城山と

奥に見える谷川連峰は見事なまでに美しく、

そんな小さな人間をあざ笑うかのように雄大な姿を見せている。

2011_03040005 今日も変わらぬ一日が始まった。

ただ、昨日よりも今日のほうが

少しだけ風が少ない。

そして前を向く時間も

少し多くなりそうだ。

そんな予感のする朝のひと時、

ひとつの「決心」が自分を支え、

ひとを支えると知った。

頑張ろうともせずに、生きてゆけるこの幸せのひとかけら。

それが僅かな笑顔の源になるのならそれも私の生きがいとなる事は

間違いのないこと。

決めた。

堕ちたそこに少しだけ見えた心の置き所。

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4 コメント

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普段は刺激がほしいとか、毎日の生活に不満を持っ... (yoppe)
2011-03-19 22:37:56
普段は刺激がほしいとか、毎日の生活に不満を持ったり、でも
平々凡々な日々が、実は幸せだったりするのですよね
両親の住んでいた家が、水没とわかりました
ちょっと、悲しいですね
安否のわかった方から、父に「大丈夫!心配しないで!」と連絡が
あったそうです
感傷的になってる私のほうが恥ずかしいと思いました
福島原発や、計画停電など、私も政府の対応にジレンマを感じたりしてます
でも、被災地の方は、今、一生懸命生きようとしてます
私たちひとりひとりの、応援している心が、被災者の方への励ましに
なるのかな、って感じたりしてます
北海道は、まったく普通通りの生活ですが、そちらは、不便な生活ではないですか?
返信する
Unknown (一路)
2011-03-21 07:53:49
_________________________









     yoppe様へ









昨日、ガソリンが手に入らず約40kmぐらいをママチャリで移動しました。
最初は好天から気持ちよさも感じていましたが、
最後は息も絶え絶えで・・・(笑)
そして食料品や諸々のものが手に入りにくくなっています。
でも、このくらいのことは何でもありませんよ。
こうしてみると、普段のなんでもない普通の事が本当は凄く便利で
その事にさえ感謝して生きていかねばならないのだとと改めて感じました。
今、被災して苦しんでいる方々に比べれば、ほんの小さな事ですが
そうした気持ちが結局は人々を救う第一歩となるのだとも思えました。
yoppeさんのご両親も思い出の地の被災でさぞかし心を
痛めていらっしゃる事でしょう。
どうか、お気を落とさぬように、と言っても今、それは・・・。
皆さんが早く笑って暮らせる時が来る事を祈らずにはいられません。
頑張りましょう。
返信する
長い時間の停電と電車の節電による暖房ナシ状態で (事務局A)
2011-03-23 21:50:55
長い時間の停電と電車の節電による暖房ナシ状態で
被災地の方は、どんなに寒いだろう?ということを
想像することができました。

大きな声で叫ぶのは苦手ですけど、
「自分のできることからはじめなければ」と思ってます。

岩手で仕事上お世話になった方と、
昨日ようやく連絡がとれて事情を伺ったところ、

「4日間家からでられなかったのでリンゴを食べていた」
とのこと。

支援物資を送りたいけど、
宅急便は水上止まりなのです(ーー;)

TVで報道されているところ以外も
かなり深刻なんだと知りました。

ですが、できることから、はじめたいな!
と思ってます。

また、農家の皆様も心配です。
返信する
Unknown (一路)
2011-03-24 18:25:00
___________________________









      

     事務局A様









テレビで報道されている以上に現場は大変と言う事なのでしょうね。
実際に体験した人でなければ、その恐怖心とか悲惨さは
語りつくせぬものがあるのでしょう。
でもなんにせよ、お知り合いの方と連絡が取れてよかったですね。
今だに消息の分からない方がたくさん居られるそうですもんね。


私も少しでもと思い、自治体で集めていた支援物資に
参加賞で頂いたTシャツやらタオルやらをと思ったのですが
それらのものは受け付けていないとのお知らせ。
やはり日本全国から寄せられるので、それらのものは
かえって邪魔になっちゃうのかなと。。。


直接お送りもできないというのも辛いですね。
早く道路やライフラインが整い、せめてそうした気持ちだけでも
届けられる事が出来ると良いなと切に思います。
返信する

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