昨年の日本アカデミー賞で、全部門優秀賞を受賞した話題作。
西岸良平「三丁目の夕日」を原作に、昭和33年の東京を舞台にした秀作です。
ハリウッド映画のような凝ったストーリー展開やスピーディーな演出もなく、極めてオーソドックスなドラマなのに、ぐんぐん作品に引き込まれたのは何故でしょう?
僕が主人公の少年たちとほぼ同年代だという、ノスタルジックな思い入れだけではないと思います。
「セカ中」や「黄泉がえり」のあざとくて間延びした演出に、退屈や苛立ちを覚えた僕も、大いに涙腺を刺激されました。
そんな心の故郷のような作品が、最新のFVXの進歩によって実現したというのもまた味わい深いです。
少しずつ高くなっていく建設中の東京タワー,当時の都心の街並,黒煙を吐き出しながら疾走するSL,銀座を走る路面電車など……。
ささやかな笑いと涙を届けてくれた一作でした。