博士が杏子とルートに語る、美しい数字の世界の話です。
友愛数,完全数など、僕たちが学校では習わなかった、とても興味深い性質の数字を教えられました。
杏子の誕生日2月20日の「220」と〔*注〕、博士の記念の時計の番号「284」。
〔*注:ちなみに、心子の誕生日は1日違いの2月21日です。
この日は「境界に生きた心子」の発刊日でもあります。〕
それぞれの約数(その数自身を除く)を足してみると、
220:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
284:1+2+4+71+142=220
神秘的なえにしに結ばれたお互いの数字、これを「友愛数」と言うそうです。
極めて稀にしか存在しない、貴重な繋がりの組み合わせです。
それから、約数を足すとその数自身になるという数字を「完全数」と言うそうです。
最小の完全数は6です。
6の約数を足すと、1+2+3=6 になります。
次に小さい完全数は28。
約数:1+2+4+7+14=28
それは博士が大ファンである、江夏豊投手の背番号でもあります。
さらに完全数は、1から始まる連続した自然数の和になります。
6=1+2+3
28=1+2+3+4+5+6+7
美しいですね……。
見事に自己完結する「完全数」。
完全な人が滅多にいないように、完全数も30ほどしか発見されていないといいます。
また、「素数」は1とその数自身以外に約数がない、他と比べることができない孤高の数字です。
この「博士の愛した数式」も、他に似たものがない、素数のような映画と言えるのでしょう。