「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

傷ついた治療者(2)

2006年02月25日 17時56分55秒 | BPDの治療について
 
 ボーダーの人も、これと同じことをしているのではないかという問いかけがされました。

 ボーダーの人の言動は、攻撃的だったり相手を不安定にしたりしますが、彼らは無意識のうちに、相手の中に自分と同じ傷つきを引き起こし、共感的状況を作り出そうとしているのかもしれないと。

 これが正しいかどうか、僕の立場では言えませんが、興味深い観点であるのかもしれません。

 一般的にはこれとは逆に、ボーダーの人の言動には巻き込まれないように、ということが言われます。

 そうすることで、何があっても動かないものが存在するのだということを、ボーダーの人に教えることになる、と書いてある本もありました。


 一方、書庫「女医さんのお話」の11月12日の記事で、「境界に生きた心子」を読んでくれた女医さんが次のように語っています。

「(ボーダーの人は、)感情に巻き込まれず優しく応対してくれる人に対して、
『とってもいい人だけど所詮私の気持ちはわからない!』と、
人柄は認めても感性は見下しがちです。

 ですからこのタイプの人に対しては、
『本人のその時々の感情と完璧に同じ感情エネルギーを表現して、共感を示した後、すばやく感情をコントロールして巻き込まれずに対処する』
ということを繰り返しやって見せるのが効果があります。

 そうすることで、
『共感できる感情を持った上で、更に感情をコントロールする方法がある。その方がもっと能力が上だ』
と体験的に教えることができます。」

 「傷ついた治療者」の話は、これと通じるようなことがあるのかもしれません。

 何が正しいか僕にはまだ分かりませんし、ボーダーの人によっても違うのかもしれません。