以前の記事で、僕は「ユング心理学研究会」という所に所属していることを書きました。
(書庫「心理」1月29日「ユングの連想実験(1)」)
http://www002.upp.so-net.ne.jp/u-jung/Index.htm
今月は「傷ついた治療者をめぐって」というタイトルでセミナーがありました。
傷ついた治療者でなければ患者を癒せないのか、というテーマです。
そのなかで次のようなことが言われました。
治療中、患者が治療者に起こす投影〔*注〕は、治療者に不安を引き起こしたり、攻撃的なものとして感じられる。
〔*注:自分の中のネガティブな感情や難点を、自分のものとして抱えるのは堪えられないため、それを相手のほうへ投げ映し、相手のものとして移しかえてしまうこと。
自分の心を守るための無意識の防衛機制。〕
しかし、治療者は患者から受けたこの傷(逆転移)を、引き受けることが重要である。
治療者の個人的な傷がうずくことで、深い治療関係になる。
治療者は逆転移を分析し、それを活用して患者を癒すことができる。
これを患者の側から見ると、患者の無意識の働きがあるように思われる。
投影は患者が自分の不快な感情を取り除くためだけではなく、ポジティブな目的も含まれている。
つまり、患者が治療者の中に傷つきを見い出したり、作り出したりしようとしている。
そのことによって、無意識に治療状況に持ち込もうとしているかのようである。
(続く)