ボーダーの人は人格の「核」が育まれなかったため、苦しみや悲しみに向かい合うことが非常に難しいのです。
葛藤を冷静に見つめたり、自分を省みる自我の力が弱いと言えます。
心子にとって自分の言動を否認されることは、生存そのものが消滅してしまうくらい恐ろしいことでした。
彼女の過激な反応は、その恐怖を振り払って生き延びるための、命がけのあがきなのです。
生きる値打ちがあるのかどうか見いだせず、自分を大事にする気持ちがもろく壊れやすい。
それを無意識に取り繕うため、優秀さを気取るマスクをかぶり、相手が自分より劣って間違っていると主張することで、自分が非難されるのをなりふり構わず阻止しようとします。
もし相手が危険な人物だと見なされれば、自分がやられる前に先制攻撃をかけます。
そうしている間は、底なしの悲嘆や喪失感に直面しないですむからです。
闘うことで、辛くも倒れないよう持ちこたえているのです。
(続く)