アカデミー賞最有力と言われるヒューマンドラマ。
ひとつの交通事故をきっかけに、様々な人間たちのドラマが交錯し、ぶつかり合って(クラッシュして)いきます。
愛あり、悲劇あり、涙あり、希望あり……。
ひとつのエピソードは感動を呼び起こし、ひとつのエピソードは絶望的に終わり、ひとつのエピソードはおとぎ話のように……。
人種差別主義者が自らの命も省みない正義感だったり、若く純粋な青年が己の罪を隠滅したり……。
とにかく一筋縄ではいかない、善と悪とが常に隣り合わせに併存している映画です。
作劇の基本の起承転結など超越し、いくつものエピソードが次々と繰り広げられていきます。
普通の映画は、一人の主人公の視線でドラマが進み、クライマックスでカタルシスを迎えるわけですが、この映画は全員が主人公で、ハッピーエンドと惨劇とが共存しています。
観終わったあとは複雑な気持ちに捕らわれました。
しかし正にそれこそが人間であり、世界であるわけでしょう。