「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

守秘義務? 

2006年06月02日 19時52分51秒 | 「境界に生きた心子」
 
 「境界に生きた心子」を読んでくれた、僕の高校の同級生の友人の人が、

 拙著を書くに当たって僕には守秘義務があるのではないか、と言われたそうです。

 でも、もちろん僕に守秘義務はないでしょう。

 守秘義務というのは、業務上の立場で知り得たことを、その職業の倫理性からいって

 他言してはいけない、というものです。

 僕は業務で心子と付き合っていたわけではありません。

 また、ノンフィクションを書く場合、誰かを批判したり、事実と異なることを書いたりするのでなければ、

 当事者や関係者の許可を得る必要も、法的にはないはずです。

 ただ道義的には、了承を得ておくほうがベター、ということはあるでしょう。

 心子のお母さんに拙著を非常に喜んでもらえたのは、とても幸いなことでした。

 でも、もし心子が存命だとすると、彼女にとっては非常に傷つく結果になるかもしれず、

 その場合は僕は書けなかったかもしれません。

(書いても罪にはならないと思いますが。)

 しかし、著作が仮に誰かの名誉を損ねるとしても、内容が事実であり、

 社会に知らせるべき公益性が高ければ、出版は許されます。

(例えば、政治家の犯罪を追及することなど)

 拙著の場合は、内容は全て事実のままです。

 そして、境界例という、誰もが無関係ではない今日的な心の障害を、

 興味本位ではなく、正しく伝えて理解してもらうという、公益性があると考えます。

 従って拙著は、守秘義務や遺族の了承に関して問題はない、というよりも、

 いつか誰かがきっと書かなければいけないテーマだと、僕は思っています。
 
コメント
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