中学教師をしていたとき、生徒の窃盗事件で不始末をおかして退職。
同棲相手にDVを受けた末、その相手に自殺され。
不倫が破局して、ソープ嬢になり。
新たな同棲相手を殺害し、自殺未遂。
連行されて服役。
次の同棲相手はやくざで逮捕される。
それから10年以上世間との交流を絶って、引きこもり生活。
53才のとき、河原で中学生に殴り殺される。
……とまあ、悲惨で不幸な一生を送った松子。
暗く重い映画になりそうな話を、「下妻物語」の中島哲也監督は、
松子が愛しくなるようなファンタジーに仕立て上げました。
ミュージカルあり、CGあり、紙芝居のようでもあり、アニメのようでもあり、
悲劇も笑って楽しめる、見たこともないような映画です。
決していい人間ではない松子にも感情移入し、
むごい人生でもいいじゃないか、という気持ちになってしまいます。
主演の中谷美紀は、今までにない汚れ役、というよりも、“きたない役”という感じがするのですが、
よくぞこなしたと、「あっぱれ」をあげたい思いです。
松子のその時々の相方をつとめる脇役に、豪華な俳優陣やコメディアンなど、
ユニークな顔ぶれが登場しているのも見どころです。
満席で立ち見状態の館内でしたが、今年の話題作の1本ですね。