「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の治療 (3) (力動的精神療法)

2008年09月05日 21時14分22秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55782548.html からの続き)

 濃厚な外来治療のうち、力動的精神療法の 三段階についてです。

・試しの時期

 この医師は頼りになるのか、自分を見捨てていくのか、

 治療開始時点で 境界性パーソナリティ障害の人は、

 例外なく 半信半疑の気持ちを持ちます。

 そのため 意識的・無意識的に、

 医師を怒らせたり 苛立たせたりする言動を繰り返します。

 自殺のそぶりも 見られます。

 この 「試しの時期」 を 乗り越えることによって、治療は 次の段階に入ります。

・徹底操作期

 試しの時期が、見捨てられ不安を 行動によって示す時期だとすれば、

 徹底操作期は それを言葉で示す時期です。

 不安や葛藤、実体験などが 医師に語られ、対話の中で 洞察を深めていきます。

 本格的な治療の時期です。

・終結期

 治療によって 回復してくれば、医師への依存の気持ちが 生まれるのは自然です。

 しかし 医師がいなくても、

 自分で自分を 支えられるようになることが 治療の終結です。

 主治医との別れが スムーズにできれば、治療は成功し 回復したと言えます。
 

 見捨てられ不安の原因が 幼い頃の母子関係にあるという マスターソンの理論は、

 現在ではむしろ 否定的だといいます。

 けれども、この治療法は今でも一定の評価を保っています。

 境界性パーソナリティ障害の 精神療法では、

 「試しの時期」 「徹底操作期」 「終結期」 が 何らかの形で認められます。

 これは外来だけでなく、入院精神療法でも同じです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55806575.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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