「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の治療 (6) (入院治療 1)

2008年09月09日 21時11分26秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55818917.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の入院治療は 原則として短期間で、

 長くても 1~2ヶ月です。

 あくまでも 治療の中心は外来で、入院はそれを補完するものです。

 徹底的な治療という イメージではなく、

 外来治療の間に挿入される という位置づけです。

 また 入院することは、「一定の枠組み」 を定めることができます。

 入院治療には、計画的なもの,緊急避難的なもの,中庸のものがあります。

o計画的な入院治療

 外来治療を進める中、医師と患者の話し合いで、

 一時的な入院に 合意してなされるものです。

 一定の治療目標を 立てるのが普通です。

 例えば、自傷行為を減らす,家庭や職場環境から いったん離れる,

 依存を絶つ などです。

 入院すると 現実には、病棟で問題行動が出てきます。

 規則違反や、自室での自傷行為,医療スタッフへの暴言など、

 入院前の人間関係の問題が、そのまま病院の中に 持ち込まれてしまいます。

 そのため 病院によっては、

 境界性パーソナリティ障害の人の入院を 嫌う所もあります。

 他の患者さんに 悪影響があるためです。

 しかし、こうした院内の問題行動を 単に迷惑行為と 捉えるのではなく、

 洞察の第一歩として 活用することが必要です。

 その行動に至った心理を 本人と一緒に分析したり、

 適切な対応を 話し合ったりすることが、回復への またとないステップになるのです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55858526.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

武蔵川・新理事長に 物申す

2008年09月08日 21時39分17秒 | Weblog
 
 北の海理事長が やっと辞任しました。

 理事も当然 辞めるべきなのですが それはさておき、

 武蔵川 (元・三重ノ海) 新理事長に対しては、

 このことを言う人は 他にいないだろうから書きます。

 現役時代の三重ノ海と、初代・貴ノ花 (故・二子山親方) の 対戦の話です。

 僕は 貴ノ花のファンだったので、絶対忘れません。 (`ε´)

 当時 貴ノ花は大関で、輪島,北の海,三重ノ海が 横綱でした。

 貴ノ花は 体に恵まれず、優勝争いに食い込むことは 多くありませんでしたが、

 ある場所の終盤、貴ノ花は 輪島,北の海を 連日土俵に沈め、

 日本中が 異常に盛り上がりました。

 そして翌日は 三重ノ海戦です。

 貴ノ花は 凄まじい気迫で、三横綱を倒す勢いに 満ちあふれていました。

 三重ノ海は、貴ノ花と真正面から 闘う気力を すでに持っていませんでした。

 怒濤のように沸き返る 観衆の中での立ち合い、

 行司の軍配が返り、両者は見合います。

 しかしこの時、三重ノ海は わざと顔を横に背けて  「待った」 をしたのです。

 貴ノ花の激しい気合を そぐ魂胆です。

 相撲の立ち合いというのは、両者が みなぎる気をひとつにして、

 ぶつけ合うもので なければなりません。

 100メートル走のスタートと同様、同じ瞬間に 立つためのものであり、

 タイミングを外すための  “駆け引き” に使ってはいけないのです。

 もちろん 立った直後は、ねこだましや はたき込みなどはありますが、

 それは 相撲四十八手の 「技」 のうちです。

 しかし 立ち合いはあくまでも、お互いの気持ちを合わせて、

 同時に立つための ものなのです。

(僕は 剣道をやっていたので、その瞬間は よく分かります。)

 さて、貴ノ花・三重ノ海の 2度目の立ち合いです。

 貴ノ花は 再び気合を充溢させ、仕切り線に両手を付きます。

 そこで 三重ノ海は、またやる気なさそうに 顔を背けました。

 「待った」 というのは、立とうとしたけれど どうしても合わせられなかったとき、

 止むを得ず するものであって、意識的にやってはなりません。

 しかし三重ノ海は 最初から計画的に、合わせようとしなかったのです。

 そして、三たびの仕切り直し。

 貴ノ花は もう一度気持ちを 入れ直しました。

 すると 今度は三重ノ海は、貴ノ花が ちゃんと仕切る前に、

 一人で先に 立ってしまったのです。

 体勢不充分の貴ノ花は、力を出すことができないまま、

 三重ノ海に 押し出されてしまいました。

 これは 相撲の立ち合いではありません。

 ただの騙し討ちであり、「技」 ではないのです。

 三重ノ海は 正々堂々の闘いから逃げ、あさましい手段で 自分の星を手にしました。

 こんな 汚いことをする男が、今度の理事長です。

 武蔵川親方は見識があって、弟子の指導にも 非常に厳しいという 話も聞きましたが、

 この混乱した角界を、こんな卑怯な男が 浄化できるのか、

 僕には とても疑問です。σ(`ε´)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

境界性パーソナリティ障害の治療 (5) (中庸の外来治療)

2008年09月07日 21時15分16秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55806575.html からの続き)

 実際の外来治療は、「淡白な外来治療」 と 「濃厚な外来治療」 の

 中庸を取っていることが 多いようです。

 「折衷的精神療法」 と呼ばれることもあります。

 濃厚な外来治療の 力動的精神療法は、精神分析の専門家でなければ 行なえません。

 元々 人数が少ない上、

 保健医療の範囲で 濃厚なカウンセリングを行なうのは 現実的ではありません。

 弁証法的行動療法は、多くのマンパワーと 専門家チームを要します。

 効果が実証されていても、実際に行なえる施設は かなり限られています。

 境界性パーソナリティ障害は まれな病気ではないので、

 一般的な精神科やクリニックで 可能なことが必要条件です。

 「中庸の外来治療」 は、一見 表面的な対応に見えても、

 実際は 濃厚な治療理論を踏まえ、

 時には 濃厚な関わりも加えていくものを 指しています。

 治療が進むうちに、時には 一時的な入院治療を はさむことも必要になります。

 これが 現在の日本の精神科で 最も普通に行なわれている、

 境界性パーソナリティ障害の治療と 言えるでしょう。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55844874.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

境界性パーソナリティ障害の治療 (4) (弁証法的行動療法)

2008年09月06日 21時35分39秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55794415.html からの続き)

 濃厚な外来治療のうちの、弁証法的行動療法 (DBT) についてです。

 マスターソンの力動的精神療法は いわば古典的な治療ですが、

 弁証法的行動療法 (弁証法的認知行動療法) は 新しい治療であり、

 かなり効果があると 認められています。

 力動的精神療法が 障害の理由を 過去の体験に求め、

 それを 解決しようとするのに対して、

 認知行動療法は 原因には拘らず、

 今現在の感情や思考を 見つめて、行動を変えていこうとするものです。

 「弁証法」 とは、例えば 「怒り」 と 「許し」 のような、

 対極的なものを 統合していくという意味合いです。

 特に、生の行動や現実を 受容することが重視されるのが 特徴です。

 行動療法,教育,集団精神療法 (患者グループの話し合い) を

 組み合わせたものです。

 まず 自分の行動、特に衝動的な行動を コントロールすることを目的とします。

 第一は 「自殺リピーター」 から脱することで、

 さらには 生活全般や治療が スムーズに進むことを目指します。

 最終的には、空虚感やアイデンティティ障害を 克服することがゴールとなります。

 治療期間は 約1年が目安ですが、様々な工夫が試みられています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55818917.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
関連記事:
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/48490642.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55145497.html
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

境界性パーソナリティ障害の治療 (3) (力動的精神療法)

2008年09月05日 21時14分22秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55782548.html からの続き)

 濃厚な外来治療のうち、力動的精神療法の 三段階についてです。

・試しの時期

 この医師は頼りになるのか、自分を見捨てていくのか、

 治療開始時点で 境界性パーソナリティ障害の人は、

 例外なく 半信半疑の気持ちを持ちます。

 そのため 意識的・無意識的に、

 医師を怒らせたり 苛立たせたりする言動を繰り返します。

 自殺のそぶりも 見られます。

 この 「試しの時期」 を 乗り越えることによって、治療は 次の段階に入ります。

・徹底操作期

 試しの時期が、見捨てられ不安を 行動によって示す時期だとすれば、

 徹底操作期は それを言葉で示す時期です。

 不安や葛藤、実体験などが 医師に語られ、対話の中で 洞察を深めていきます。

 本格的な治療の時期です。

・終結期

 治療によって 回復してくれば、医師への依存の気持ちが 生まれるのは自然です。

 しかし 医師がいなくても、

 自分で自分を 支えられるようになることが 治療の終結です。

 主治医との別れが スムーズにできれば、治療は成功し 回復したと言えます。
 

 見捨てられ不安の原因が 幼い頃の母子関係にあるという マスターソンの理論は、

 現在ではむしろ 否定的だといいます。

 けれども、この治療法は今でも一定の評価を保っています。

 境界性パーソナリティ障害の 精神療法では、

 「試しの時期」 「徹底操作期」 「終結期」 が 何らかの形で認められます。

 これは外来だけでなく、入院精神療法でも同じです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55806575.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

境界性パーソナリティ障害の治療 (2) (外来治療)

2008年09月04日 21時12分58秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55758084.html からの続き)

 次に 外来治療と入院治療についてです。

 以下のように分けられます。

◎外来治療

o 淡白な外来治療

o 濃厚な外来治療

 1.力動的精神療法

 2.弁証法的行動療法

o 中庸の外来治療

◎入院治療

o 計画的な入院治療

o 緊急避難的な入院治療

o 中庸の入院治療
 

 順に紹介します。

◎外来治療

o 淡白な外来治療

 あえて心理面に深入りせず、現実の問題にアドバイスしたり、

 家族や職場の 環境を調節したり、薬を処方したりします。

 医師は患者と 一定の距離を取りつつ、

 一般のカウンセリングや精神療法よりも サラッとした印象があります。

 「支持的精神療法」 とも呼ばれ、濃厚な治療より むしろ淡白な治療の方が、

 境界性パーソナリティ障害には 適しているという見解もあります。

o 濃厚な外来治療

1.力動的精神療法

 境界性パーソナリティ障害に特有の  「見捨てられ不安」 の根本は、

 幼い頃に 母から見捨てられた体験を 味わったためだという、

 マスターソンの考えに 基づいています。

 これを解決・克服することが 回復であるという理論です。

 力動的精神療法には 次の三段階があります。

・ 試しの時期

・ 徹底操作期

・ 終結期

 続けて紹介をしていきます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55794415.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「12人の怒れる男」

2008年09月03日 22時46分19秒 | 映画
 
 法廷劇の不朽の名作 「十二人の怒れる男」

 (1957年.シドニー・ルメット監督)を、

 ロシアの名匠 ニキータ・ミハルコフ監督がリメイクしました。

 話の骨格は そのまま踏襲しながら、

 舞台を 現代のロシアに変え、ロシアが抱える 様々な社会問題も糾弾していきます。

 チェチェンの少年が、養父であるロシア人将校を 殺害したという事件で、

 明らかに有罪と 思われていますが、少年は否認しています。

 評議に入った陪審員たちは、議論の必要もないと 早々に切り上げようとしますが、

 一人の陪審員が おずおずと、少年の一生がかかっているのだから

 話し合いだけでもしようと 異論を挟むところから、話は展開していきます。

 有罪無罪は 全員一致でなければならず、

 有罪に対して 少しでも 「合理的な疑い」 があれば、無罪にしなければなりません。

 またロシアでは 死刑が廃止され、

 最高刑が終身刑であることも、最後のどんでん返しに 繋がっていきます。

 オリジナル版は 子供のとき テレビで見た覚えがあります。

 評議室だけの密室劇だったと 記憶していますが、

 リメイク版は 少年の痛ましい生い立ちや 拘置所の少年の姿などを、

 カットバックで挿入します。

 評議室は改築中のため、臨時に学校の体育館で 評議が行なわれ、

 それも作品に 膨らみを与えています。

 各陪審員の体験談が語られ、他の陪審員の 心を動かして、

 一人 また一人と、有罪から無罪へと 転じていくのです。

 感情論や一般論が 目立って、事件の個別の 検証が少ないのが 歯がゆいのですが、

 それでも 画面は緊迫感に満ち、卓抜した演出に 引き込まれました。

 有罪に 「合理的な疑い」 があれば、無罪を証明する 必要はありません。

 少年は放免されて、捜査がやり直されるのです。

 映画は 綿密な真相解明よりも、現代ロシアの諸問題

 --チェチェン紛争,人種差別,公共事業の杜撰さ,権力の腐敗など--

 を訴えているようです。

 俳優でもある ニキータ・ミハルコフ監督が 陪審員の進行役になり、

 最後の一番おいしいところを 持っていっちゃってますが、

 法の厳粛さを超えた 人間の慈愛を描いています。

 
 日本でも来年 裁判員制度が始まりますが、

 人を裁く場に立つことの 参考になるかもしれません。

(関連記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54174871.html )

 ところで 「十二人の怒れる男」 の日本版には、

 1991年の 「12人の優しい日本人」 (中原俊監督) があります。

 日本に陪審員制度があったら という仮定の話ですが、

 いかにも 日本人ならこうなるだろうという 傑作でした。

 ユーモアたっぷりの映画ですが、脚本は 三谷幸喜が書いていました。

 この頃から 才気を発揮していたんですね。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

境界性パーソナリティ障害の治療 (1) (精神療法の枠組み)

2008年09月02日 21時39分01秒 | BPDの治療について
 
 パーソナリティ障害の治療には、誰もが認める 決定的なものはありません。

 症状は人によって 様々であり、個別の環境に 合わせたものが行なわれます。

 共通点は、精神療法と薬物療法を 組み合わせるということです。

 また、外来治療と入院治療に 分けられます。

 これらについて 紹介します。

△薬物療法

 主に 衝動的な行動を抑えること,感情の不安定さを 軽くすることが目的です。

 薬だけで 境界性パーソナリティ障害を 治そうとするものではありません。

 逆に、薬なしで治療できることは まれだと言えます。

 境界性パーソナリティ障害の人の 不安定な感情は、

 治療そのものを破壊することもあり、それを食い止めるためにも 薬の力は必要です。

 抗うつ薬,抗不安薬,睡眠薬,抗精神薬,感情調整薬など、

 あらゆる薬が 手を変え品を変えて 処方されるのが特徴です。

 どれが最善というものはなく、一人一人の患者に 合った処方があります。

△精神療法

 境界性パーソナリティ障害の 治療の中心となるのは 精神療法です。

(カウンセリングと ほぼ同じ意味です。)

 色々な手法がありますが、

 「一定の枠組みの中で行なう」 ということが 共通することです。

 枠組みには、時間的枠組みと 空間的枠組みがあります。

 前者は 診療時間を設定することで、その時間以外には 診察を行ないません。

 緊急に 具合が悪くなったときでも、

 時間外の診療回数などを 決めておくことが必要です。

 一定の枠組みがあった方が、境界性パーソナリティ障害の人は 何故か落ち着きます。

 自分の自由や 裁量によることが多いほど、

 境界性パーソナリティ障害の人は 行動のコントロールが 付かなくなりがちなのです。

 また 枠組み設定には、

 一定枠の中で 自分の行動のコントロールを 学ぶという意味もあります。

 後者の空間的枠組みは、決められた場所だけで 診療を行なうことです。

 理由は 時間的枠組みの場合と ほぼ同じです。

 一定の枠組みを保つことが、回復のためには必須です。

 逆に 枠組みのない治療は、一時的にはうまくいっても、必ず破綻する運命にあります。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55782548.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

治療の継続について (4)

2008年09月01日 23時37分16秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55731322.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の人は、治療を始めても 診察室に入れなかったり、

 病院に行きたいのに 行けないということも あるかもしれません。

 勇気を出して 診察室に入っても、何も言えなかったり、

 心にもないことを言って 自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。

 でも、それらも全て 治療の一環だと考えるべきです。

 例え治療が 進んでいないように見えても、定期的に通院するということが、

 あとから振り返ると 大きな意味があったことが分かります。

 とにかく、長い目で見て 治療を継続していくことが 必要なのです。
 

 回復過程では、自己破壊的行動や 自殺・自傷行為が

 まず最初に治まるか、回数が減ります。

(そこまで行くのも、かなりの道のりを 要しますが。)

 すると 周りの人の態度も 変わってきて、回復への 良いスパイラルが生まれます。

 けれども、虚ろな心や アイデンティティの障害のような

 内面的な症状は、なかなか消えません。

 ただし、普通の人でも それはある程度 持っているものなので、

 患者が 治っていないと言っても、

 実際は 病的レベルではなくなっているかもしれません。

 現実的に 周囲と問題なくやっていける 状態になれば、もう大丈夫と言えます。

 また、治療が終了するときには、信頼している主治医と 別れなければなりませんが、

 主治医と離れても 大丈夫になることが 回復の目安にもなります。

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする