玄米ごはん族のあしたのたのしみへ

玄米と野菜、果物で今日から明日へ。農業と穀物菜食の日々

南房総市富山で研修会

2019-07-14 21:54:17 | 
 昨日、自然農塾の研修会に参加させていただきました。高速で3時間の南房総市富山で自然農塾を開かれている五十嵐先生の不耕起栽培田を見学しました。佐倉自然農塾の鳥居先生に率いられて雨もなく寒くもなくすごしやすい天気の中で勉強させていただきました。前日までの雨が止むのですから、すごいことです。

 五十嵐先生の田にはコナギがありません。アオミドロが覆っています。びっくりしました。



 下の田。



 山の中にあり、トラクターやコンバインとは無縁の世界です。全面積が手植えです。

 




 固い田面にふわふわトロトロ層がのってその上にアオミドロやサヤミドロがのっています。浮いている、のではなく、のっています。



 だいたいアオミドロで覆われていますが、少しサヤミドロがありました。

 


 田面を横から見たイメージです。



 一年を通してどういう作業をされているかのイメージです。



 

 午前中、現地見学をさせていただきました。昼食を公民館でいただき、午後からグループ討論で現地体験を自分のものにしました。問題点が明らかになってから五十嵐先生のお話をお伺いするとピタリと解決しました。
 広島県や東北地方から来られた方々もおられました。ものすごいエネルギーです。

 不耕起栽培の鍵は、粘土質の田かどうか、です。砂質土ではフワフワトロトロ層を田面に作ることはたいへん難しくなりフワトロ層で雑草を包むことができなくなります。

 作業手順はイメージ図の通りです。
 3月中旬、米ぬか散布、水を入れる。水位は田面にヒタヒタ水にする。ザリガニさんを警戒し、穴はすぐに塞ぐ。
 米ぬかを栄養にしてイトミミズさんが大繁殖しそれらの糞が発酵してフワフワトロトロ層ができる。粘土質の田面なら固いので支えられるが、砂質土の田面では砂の隙間からにげていきフワフワトロトロ層はできない。
 この層が雑草の芽に太陽光があたるのを防いで雑草の芽は固い田面とフワフワトロトロ層の間で枯れる。
 強力な雑草のコナギを例にとると、気温や土中の温度が上がって発芽準備完了から発芽すると10cmの厚さに成長したフワフワトロトロ層の一番下で圧迫されて浮き上がることもできないで太陽光も届かず枯れるしかない。
 5月になり連休中に田植えをするころになると、フワフワトロトロ層の上にアオミドロが繁殖している。アオミドロがないところにはサヤミドロが繁茂している。フワフワトロトロ層の窒素分はこれらの藻が吸い取ってくれる。苗の根は固い田面を突き抜けて田植えされている。藻と苗は競争しない。コナギのように苗の根にからんでくるものがない。藻がはるか上で太陽光を遮断している。
 苗の根が丈夫なら分けつも多くなり葉や茎は真っすぐ育つ。すごい苗だ。
 固い田面に田植えすると指先はどうなるのだろう。田植機でしかやったことがない人間は五十嵐先生が、田植機でやっても雑草は出ない、と答えてくれたのでホッと一安心、その際、田植機の使い方、乗り方を教えていただきガゼンやる気が出た。
 田植えが終わると、中耕除草機に引かれるようなこともなく雑草がないので田の中に入る必要がない。
 畦から這い出してくるつる草を二週間おきにたぐりよせて畦に塗り込む。畦の草刈りは半分ずつ残しながら行う。カメムシの逃げ込む先を作っておくためだ。畦に逃げ込むことができなければ稲に取り付く。逃げ道は作っておくことがだいじ。
 ものぐさ人間は月に一度、全面刈りをやっているが二週間に一度の半分残し刈りにすれば良い。その方が見回る回数がふえて、体も楽だ。
 8月には水を切る。田面を乾かす。9月になると稲刈り。自然農でいつまでも水を張っている方がいるが、倒れるおそれがある。水を切れば根は下へ伸びる。それだけ頑丈になるが普通の農家のように中干しで田面に亀裂をつけるような強烈な乾かしかたはしない。
 稲刈りを手でやるようなことは絶対にしない人間はここで困ったが、先生が、コンバインでも収穫できる、とおっしゃってくれたのでホッと安心、考えてみれば乾くとガチガチに固くなって手におえないのが粘土質土だ。
 稲刈りが終わると田面を乾かし雑草の種を乾燥させて枯らす。3月に米ぬかをまき水を入れるまで、とことん乾燥させる。カチカチに田面を固める。固める目的は、

 フワフワトロトロ層とその上の藻を支えるため。

 もし、雑草の発芽準備完了までにフワトロ層が田面にのっていなければーーーーーーーーー

 中耕除草機に引かれる楽しい楽しい筋力トレーニングが待っている。


 五十嵐先生、鳥居先生、スタッフの皆様、遠いところからお越しのエネルギッシュな皆様、いつも気力充分の皆様、どうもありがとうございました。

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