一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

みっともない

2006-01-06 | あきなひ

ライブドア紹介の報酬巡り対立 コンサルがリーマン提訴
(2006年 1月 6日 (金) 08:28 朝日新聞)

ライブドアによる05年2月のニッポン放送株買収に絡み、約800億円を資金提供した米投資銀行のリーマン・ブラザーズと、同社をライブドアに紹介した東京都内のコンサルタント会社の間でトラブルになっている。両社は「紹介契約」を結んでおり、コンサルタント会社は「成功したら4億円の紹介料を支払う約束だ」とするが、リーマンは「単に引き合わせてもらっただけ」などと応じていない。

リーマンも払っときゃいいのに、という話です。
800億のMSCBを引き受ける時点でリーマンとしてはリスクと期待利益の算盤勘定の中に4億円を織り込んでいたはずなので、払い渋る必要はないと思うのですが。

仲介報酬については「仲介業者には報酬請求権があるが、請求できる額は契約の成立にどの程度尽力したかによる」というような判例があったと思います。
なのでリーマンの言い分とすれば「紹介だけじゃ満額払えない」というのかもしれませんが、記事を見るかぎりでは「紹介契約」なので、紹介すれば義務を履行したことになる契約なんじゃないでしょうかね(ディールを取ってこれなければ担当はクビ、という世界では融資機会の獲得は生命線なので、そんな契約があってもおかしくないと思います)

そもそもが曖昧な契約で、MSCBの額を見てコンサル会社が分け前に預かろうと食い下がってきた、というなら争う事もあるかもしれませんが、そもそも解釈に疑義のあるような曖昧な契約を法務セクションが通したのか、またもし担当者の一存で契約を結んでいたのか、いずれにしろリーマンの内部統制上の問題も浮き彫りになってしまいますね。


普通に考えると裁判で争ってクライアントに迷惑をかけたり、内幕を公にする意味は全くないと思います。


実は、日本の代表が本国に「だから高いコストをかけて六本木ヒルズに引っ越した甲斐があったろう」などと大見得を切ったところにこの請求書が出てきて、「今さら払えねぇ」とかいうような、理屈以外の人間関係要因が背景にあんじゃないでしょうかというのが僕の勘ぐりですが真実はどーでしょうか?

投資銀行はイメージが大事で、しかもGSやMSほど「名門」でないリーマンがせっかくライブドア問題ではひとり勝ちをして名をあげたのに台無しですね。

早速「だからあそこは・・・」と言われてそうです。

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「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」

2006-01-06 | 乱読日記

年末年始シリーズ(厳密に言うとクリスマス前後からですが・・・)その4

同じ著者による「ビジョナリー・カンパニー」がベストセラーになったので、そのタイトルを流用していますが、内容的には二番煎じでなく、非常にいい本だと思います。

作者は前作「ビジョナリー・カンパニー」に対する「とりあげられた会社はそもそも偉大な創業者の手になるもので、普通の会社には役に立たない」という指摘を受け、普通の企業から偉大な企業へ飛躍を遂げた会社の研究をしたのが本書です。

そこで明らかになったのは、企業が飛躍を遂げるには、カリスマ的な経営者も従業員を鼓舞するような燦然たる経営ビジョンも大リストラも起死回生のM&Aも画期的な新技術も必要なく、飛躍した企業に共通している点は、謙虚で意志の強い経営者が適切な人材とともに確固たる信念を持って地に足のついた努力を積み重ねる、ということだった
と、かいつまんで書いてしまうとあたりまえのような話なのですが、それを具体的な事案やエピソード、特に、同業で「偉大になれなかった企業」との比較により、説得力をもって描かれています。

また、今までビジネススクールや経営コンサルタントによって提唱されてきた経営理論は捨て去って、まっとうに地道に経営すればいいんだ、という(新書版粗製濫造経営書のような)精神論・抽象論と違い、本書は成功の要因の厳密な分析と定義がなされていて、実践の指針としても参考になります。

日本では経営書にこういう理論的にしっかりしてしかもわかりやすい著作が少ないのは、経営学やビジネススクールの学者がちょっと有名になるとマスコミが手っ取り早いビジネス本や評論をいっぱい書かせて消費してしまうからでしょうか。


最後に本書から、内容には直接関係はないですが気に入ったひとこと  

「ビジネスでも人生でも、完全な失敗以外でもっとも危険なのは、成功を収めているが、なぜ成功したのかが分かっていない状態だ」







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「阿片王 満州の夜と霧」

2006-01-06 | 乱読日記
年末年始読書シリーズその3です。

満州国で阿片の専売権を与えられ「阿片王」と異名をとった日本人里見甫についてのノンフィクションです。

ただ、いかんせん60年以上前の満州国のことで、記録もほとんど残っていない中で、里見の遺児基金名簿を手がかりに関係者を探してインタビューして「阿片王 里見甫」の実態を明らかにしようとした労作です。

労作ではありますが、結局全貌どころか満州国での阿片の流通の実態やそこで動いた金という話は明らかにならず、里見の生活や里見に影のように付き添っていた「男装の麗人」の行方と生い立ちにかなりの部分が割かれています。

そして、文章も「魔都上海の闇の奥で冷たい笑みを浮かべる里見の姿が浮かんでくるようだった」という調子の、思い入れたっぷりな叙情的フレーズが多く見られる反面、肝心の思い入れの対象となる里見甫の実態なり作者が理解した実像が浮かび上がってこないので、残念ながら読者としては感情移入ができずに、かえって違和感を感じてしまいました。

テーマとしては非常に面白いと思うだけに、また、周辺のさまざまな登場人物の関係には新たに知った部分も多いだけに、残念です。

こうやって、過去は埋もれてしまうのでしょうか。
でも、たった60年前のことなので、また別のリサーチや切り口を切り開く作家(本書の著者である佐野眞一氏でももちろんいいですが)を期待したいです。


PS 帯の「構想十年、満州の歴史を書き換える凄絶な人間喜劇!」というキャッチフレーズは誇大広告です。それに日本語になってないし・・・







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