一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

粉飾決算も問題だけど別件捜査はいいのか?

2006-01-18 | あきなひ

今日もいろいろありました。

ライブドアの件ですが、報道の中心が粉飾決算に移りつつあるようです。
しかし、本丸が粉飾決算にあるとすればそれって「別件捜査」なんじゃないか、というのが非常に気にかかるところです。

目星をつけた企業に別件捜査に入って、資料一式を押収してからゆっくりあら捜し、という手法を容認すると検察権力への抑制が働かなくなるような感じがします。
そうだとすると、ライブドアの粉飾決算(もしあれば)より大きな問題なのではないか、と思います。

どうも報道機関は東京地検のリークの後追い中心のようで、そもそも推定無罪の原則(よく考えると1回捜査に入っただけで、逮捕も起訴も、任意の事情聴取すらもされてない)とか、別件捜査の適法性(捜査令状の名目はなんだったのか)についてはどこも関心をもっていなさそうなのが気になります。

(「風説の流布」かどうかはともかく)タイムリーなM&Aや株式分割で市場の期待を煽って株価を上げてきたライブドアは、東京地検の奇襲攻撃とその後のタイムリーなリークにしっぺがえしされても自業自得という部分はあるのですが、この手法がその他の堅気の企業に応用されるとなるとえらく迷惑な話です。

そこについては今後も注目していきたいと思います。

今回のライブドアの行為の違法性ついては47thさんの「ライブドア事件にみる経済事犯リテラシー」が掘り下げて考察されています。また、「ライブドア本体(単体)粉飾疑惑の気になるところ 」で、「別件問題」にも私などより鋭く言及されています。
また、会計士の視点からはGrandeさんの記事も参考になると思います。




で、ライブドア・マーケティングの案件についての続きです
(以下は会計知識に乏しい中での頭の整理のためのメモ程度にお考え下さい)。

今日の新聞で特集されていますが、「VLMA2号投資組合」というのは民法上の任意組合のようです。
今日の日経新聞では

(投資事業組合とは)民法によって設立が認められた「任意組合」の一種
上場企業の出資先は証券取引法で開示が義務付けられており、議決権が20%以上の出資先企業は連結決算に含める必要がある。
ただ、ファンドへの出資の場合は資産運用など純粋に投資を目的とするものも多い。そうした場合には開示をしなくてもよい決まりだ。
投資事業組合の場合は議決権という考え方がないため、お金を出資している企業の「実質支配」が及んでいるかがポイントとなる。組合の運営者を派遣しているか、どのくらいお金を常時出しているかなどが基準。最終的な判断は会計士だが、曖昧な部分があることは否めない。

とあります。

民法の任意組合の規定では

(組合財産の共有)
668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

とあります、要するに権利としては株式を共有しているわけです(組合が解散した場合財産の分配=換金してなければ現物の共有持分が戻ってくることになります)が、実際は株主名簿上は「〇〇組合業務執行組合員XX」が株主になります。
それを出資者のB/S上任意組合への出資とするか株式とするかの評価が分かれる、ということなんでしょう。
株式となれば出資シェアで案分したぶんだけ保有する事になります。そうなると「既に子会社なのを隠して株式交換をした」となります。
一方、投資組合は株を投資目的で保有しているのですぐに売ってしまうだろうし、いちいち組合資産の内容を資産計上するよりは出資として計上するほうが正確、と考えれば「任意組合出資」などとなります。

多分形式上は「投資組合」が有価証券の売買を目的とし、業務執行も第三者に委任しているのであれば、株式として計上しないから当然に違法とまでは言えないかもしれません。

となると問題は、もともとのマネーライフの株主が最初から投資組合に売却するつもりだったのか、ライブドアのかわりに投資組合が出てきたのか、ライブドアマーケティングとの株式交換を前提に合意したところ投資組合による取得に切り替わったのか(そのような記事もありました)というマネーライフ株取得の経緯にしぼられてくるのでしょう。

でも、ここでクロになると、会計監査人や監査役の責任も問題になってきますね。

コメント (2)
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1月17日のまとめ(途中)

2006-01-18 | よしなしごと
1月17日はいろんなことが重なったので、順番に考えてみたいと思います。

1 小島社長の証人喚問
今さらシャレにもならない「想定の範囲内」の展開でしたが、逆にここまで証言拒否をして大丈夫なのかなぁというのをこちらで書いてます。

個人的には政治家とのつながりは、政治家本人が偽造を知っていて分け前に預かっていたとか言うのでなければ後回しにしてもいいのでは、と思ってます。
誰が「構造計算なんて偽造したって誰も検証できない」などとパンドラの箱を開けたのかについて、(国会だけでなく)追求してもらいたいです。
今のところ内河が黒幕風ですが、どこまで誰(検察か国税かはたまた国会?マスコミ??)が切り込めるのか

2 ライブドア
報道などを見ると、これも構造計算と同様のストレートな粉飾決算とか虚偽の開示が多かったようですね。
「法の抜け穴(グレーゾーン)をついた」というような芸もなく、単なる違法行為の積み重ねだとするなら、解明は早いかもしれません。

※ 「24」シーズン4で出てきた、非常時にすべての電子情報を消去するために電子機器をすべて破壊してしまう電磁波爆弾(EMBとか言ったっけ?)くらい用意してなかったのでしょうか・・・

証券取引法上は偽計取引はわかるのですが「風説の流布」となると、じゃあ、誤発注を公表しない場合はどうなるんだろう、とこちら(=それをうまくつくと相場操縦ができちゃうのでは、というエントリ)に追記しました。


3 宮崎勉最高裁判決

4 阪神大震災11周年

については改めて。
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「証言を控えさせていただきます。」

2006-01-18 | よしなしごと

さきほどニュースでヒューザーの小島社長の証人喚問を見ました。

ロッキード事件のときは「記憶にございません」が有名になりましたが、今回は「証言を控えさせていただきます」が決め台詞になりそうですね。

ちなみに議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の抜粋です。

第1条の4  証人は、各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長の許可を得て、補佐人を選任することができる。
 補佐人は、弁護士のうちから選任するようにするものとする。
 補佐人は、証人の求めに応じ、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関し、助言することができる。

第4条 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者
 自己の後見人、後見監督人又は保佐人
 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者
2 医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職にある者又はこれらの職にあつた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。ただし、本人が承諾した場合は、この限りでない。
証人は、宣誓、証言又は書類の提出を拒むときは、その事由を示さなければならない。

第6条  この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。

第7条  正当の理由がなくて、証人が出頭せず、現在場所において証言すべきことの要求を拒み、若しくは要求された書類を提出しないとき、又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、一年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
 前項の罪を犯した者には、情状により、禁錮及び罰金を併科することができる。
終わった後のインタビューで補佐人の弁護士がたしか「偽証罪での立件のおそれがあったので」と言っていたのですが、確かに国会だから何でも喋れ、というのでは人権もなにもあったものではないですが、伊藤代議士との関係などは本人に刑事訴追のおそれはないと思いますし、「虚偽の陳述」をしなければいい(記憶違いなら仕方ない)のですから証言拒否の理由にはならない気がするのですが。

そう考えると「記憶にございません」のほうが高等戦術ですかね。


小島氏再喚問も(2006年1月17日 22:18 朝日新聞)
与野党は「正当な理由がないのに証言を拒否した」として、小嶋氏の再喚問や議院証言法違反での刑事告発を検討することで合意した。
とのことですが、実際にそこまでやってみて伝家の宝刀が竹光でない事を検証して見せてほしいです。
コメント (1)
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