一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

介護保険制度

2007-06-11 | まつりごと
週末テレビを見ると、コムスンの話がさかんに取り上げられていました。

その中で「介護を金儲けの手段にした」という非難がされているのですが、介護保険制度を導入して、国は金銭の補助だけにして民間開放した時点で、介護をビジネスとして成立させることで民間企業の参入を促すという意思決定をしたんじゃないでしょうか。

介護事業をしている民間企業が利益を上げてはいけないのなら、現在コムスンの行っている事業を(グッドウィルグループ企業のかわりに)承継する企業は現れるわけがないと思うのですが。
そもそもコムスンすら(不正受給を前提としても?)赤字だったわけですから、(コムスンに利益隠しのような操作がなければ)なおさらです。

保険金の不正受給は免許剥奪に値するでしょうが、その場合の利用者へのサービスの継続をどうするかというのは、そもそもの制度設計(=別)の問題です。
いないのならそれこそ公的資金を導入して承継先に補助をすればいいわけです。


にもかかわらず、厚生労働省はなぜここまでコムスンを叩こうとするのでしょうか。
赤字だったコムスンは介護保険以上に株主を食い物にしていたはずです。
では介護保険は誰に食い物にされているのでしょうか。


介護保険をめぐる不正の報道の中に、「不要なサービスを提供して保険請求を水増ししている」というのがあります。
そういう不正をしながらも介護事業者は赤字だとすると、いちばん介護保険を食い物にしているのは介護を受ける国民の側だ、ということになります(たとえば本来は保険では買えない車椅子を購入したとして、事業者側は車椅子販売の利益だけですが、利用者はタダで車椅子が手に入るわけです)。。

つまり、介護保険というのは、昔の自己負担ゼロだった頃の老人医療と同様、利用者側のモラルハザードを招きやすい構造--制度として受益者に自制が働くような負担割合や不正をチェックするしくみが不十分なのではないかということです。

しかし、導入してさほど経っていない中で制度を見直すのは厚生労働省としても自らの間違いを認めることになるし、利用者の負担増を招くような改正は与党の支持も得られない、ということで、コムスンを追い込むことで他の事業者に自己規制を働かせるための「一罰百戒」効果をねらったというのは考えられないでしょうか。
でもそれで、民間企業が軒並み撤退したら困るんでしょうけど・・・


報道や調査を丹念にひろったわけでも、具体的なデータを調べたりしているわけでもない思いつきなのですが、どうも制度自体に問題があるのではないかという気がしています。
コメント (2)
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