猫猫先生こと小谷野敦さんの『日本売春史』。
ブログは時折拝見するのですが、著作を読むのはは初めてです。
ブログ同様、舌鋒鋭く「学問的誠実さの欠如」に対し容赦ない批判を繰り出します。
中世の遊女は聖なるものであった、という諸説を批判し、江戸時代の遊里の「粋」を語る論者を切り、そして彼らが現代の売春について語らないことについて切って捨てています。(これについては『江戸幻想批判』という著作もあります。)
そしてまた、現代の売春について語ることが「自分たちが売春していない限り、何を言おうと偽善になるという無限ループ」に陥ってしまう、と、現代売春論の混乱も一刀両断しています。
作者は本書の末尾で
現在わが国に存在する職業としての売春を黙殺して、過去を賛美するような行為は不誠実である。古代から現代に至るまでの、一貫した日本売春史を記述することによって、そうした論者たちを追い詰めることが、私の目論見だった。
と書いています。
確かにさまざまな論者を追い詰めてはいます。
ただ、江戸期から現代に至るまでの概観をしながらもややもすれば他の学者の説を攻撃する部分の方が盛り上がってしまっていて、筋が追えなくなってしまうところもあります。
その意味ではエンターテインメントとしても楽しめる本でもあります。
おまけとして、本書にあった豆知識
吉祥天は、もともとはヒンドゥー教の美と富の女神で、ヴィシュヌの妻ラクシュミーである。
で思い出すのがミタル・スチールのCEOラクシュミ・ミタル氏。
Wikipediaにも
なお、ラクシュミは女神の名前であるが、ラクシュミー・ミッタルは男性である。