一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「菅」測気球の迷走?

2010-07-02 | まつりごと

消費税増税といっても実施は二、三年後と言ってるんだから、各論のつっこみに考えなしに反論しても混乱するばかりだと思うのですが、これが菅総理のキャラなのでしょうか。 
出だしからうまく取り入ったと思った財務省は困っているかもしれません。  

消費税上げで首相「年収2百~4百万以下還付」
(2010年7月1日00時46分 読売新聞)

これに関連して、政府高官は同日、「(食料品などに)軽減税率(を適用する)より税金還付方式の方がスムーズではないか。所得税と住民税の非課税世帯の人が(低所得者ほど税負担が重くなる)逆進性で苦しまないようにしないといけない」と語った。

逆進性を心配するのであれば、消費税増税をすべきか、という入り口のところを議論すべきだと思います。 
物品による軽減税率は、諸外国でもあるので、流通業者の事務負担増はあるものの可能かとは思いますが、実際に支払った消費税額を還付するのでは還付にかかる徴税側の事務コストが膨大にかかりそうです。

上の記事も、具体的にどうするか心配しています。  

菅首相が想定している具体的な制度は不明だが、〈1〉所得税を支払っている人には一定の所得制限を設けたうえで、一般家庭の標準的な消費税の負担額を所得税額から控除〈2〉所得税の支払い分だけで控除しきれない部分は、給付金として還付するなどの給付付き税額控除を想定しているとみられる。さらに、所得税の課税対象となっていない世帯(夫婦・子2人)の年間所得325万円以下の低所得者については、消費税の支払い分をそのまま還付することが念頭にあるとみられる。

 〈1〉は結局課税最低限の引き上げと同じですね。でも厳密に言うと所得制限の前後で損得勘定が逆転するので、主婦のパート労働の配偶者控除を意識した103万円ラインとか社会保険料負担の130万円ラインのように「年収325万円以下にしてくれ」というような笑えない話が出てくるかもしれません。  
一方、〈2〉の方式をとった場合は不正還付が問題になりそうです。たとえば僕の親は年金生活者なので「低所得者」に該当するのですが、僕の使った消費税の領収書を渡せば還付できてしまうわけです(貯金を取り崩して消費すれば年間所得を超える消費というのもありうるので)。これを防ごうとすると、日常品の購入のときにもいちいち本人確認して宛名入りの領収書を出せ、とかいうことになります。(それでも介護をしている家族が本人の代わりに買い物をするときは困ります。)また、「収入」でなく「所得」で線を引くとすると、自営業者の赤字年度の事業分の支出と個人分の支出の区分けなども微妙になりそうです。  

そんなことを議論する前に、逆進性を持つ消費税の増税の是非や税収の使途のをどこまで厳格にしばるか、という議論をきちんとして、増税する場合には生活保障的な手当ては別の制度でおこなって、消費税の制度自体は極力シンプルにするというのが本来の議論のあり方でしょう。


この辺の細かな議論を差し置いて発言してしまうのは「バルカン」の面目躍如か、自民党へのクリンチの一環なのかもしれません。


 

コメント
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