一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『フルメタル・ジャケット』

2009-01-18 | キネマ
かなり昔の映画だと思っていたのですが『プラトーン』(1986年)の一年後の公開だったんですね。
(ベトナム)戦争映画が「殺す側」の映画から「殺され(もす)る側」の映画に変わってくるあたりの時期で、いい映画がけっこう出た頃です。

前半の訓練シーンが圧巻で、時間配分的にはベトナムでの場面の方が少ないのですが、どちらも密度の濃い映像で迫ってきます。

劇場で観たときには記憶に残っていなかったのですが、ラストシーンの行軍のときにミッキーマウス・マーチを歌ってるんですね。
東京ディズニーランドが開園したのは1983年でしたが、まだ世の中いたるところに、という感じでもなく、自分の中でもそんなにポピュラーな存在ではなかったのかもしれません。



Full Metal Jacket - Mickey Mouse song




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『スティング』

2009-01-17 | キネマ
僕が子供の頃は、年末になるとテレビ東京(当時は「東京12チャンネル」といってました)のお約束は『大脱走』でした。
オールスターキャストでストーリーも面白く、かつ家族で見ても健全、しかも長尺ということでテレビ局としては恰好の映画でもありました。

そんなことを思い出しながら見たのが『スティング』

いわずと知れた名作です。
まともに見たのはテレビでやってたのを見て以来二十数年ぶり。

ひとことひとことまで神経が行き届いた科白にユーモアがうまく仕込まれていて、たっぷり楽しめました。


中身の説明は野暮なので省略。

人物設定や脚本でも「古典」となるような映画ですが、こういう作品を踏まえたうえで新しい映画を作るというのは大変ですね。



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では「強欲資本主義」を全否定すればいいのか?

2009-01-16 | あきなひ
前のエントリで言いかけたことの続きです。

日経ビジネスの新年号の表紙が「ウォールストリートを背景にした二宮金次郎の銅像」というのが象徴的でした。記事内容も日本を代表する企業の創業者の社訓にから「「経済」と「道徳」の均衡を保つ日本流のバランス感覚」を学ぶ、とか、日本企業の「ものづくり」の世界に通じる強さとかでした。

それはそれで悪いとは言わないのですが、ちょっと変わり身が早すぎませんかね?


そもそも「浮利を追わず」とか「三方よし」とかの教訓は、ややもすれば我々はそれを忘れがちであるからこそ定められているのだと思います。
そうだとすれば、ウォール街のビジネスが崩壊したからといって全否定するのではなく、なぜ日本もそれを真似しようとしたか、真似をしたことの何がよくて何が悪かったかをきちんと検証することが大事だと思います。

世の中が「ものづくり」「道徳」となったらなったで『共生者』に登場するような輩は、今度は切り口を変えてまた企業に食い込んでこようとするはずですし、そこまで悪質でなくても昨日まで口を開けば"Global Financial Market"などと言っていたファンド会社の人間が「御社の企業理念に感銘を受けました」などと言って転職してくるだけの違いでしかなくなってしまうと思います。
調子と要領のいい人は、マスコミだけでなく世の中にたくさんいるわけですから。


ここのところ書かれた本などを読んでみると、今回の金融危機をもたらしたバブルのひとつの原因は過剰なインセンティブをつけた報酬体系にあったように思います。
しかし、投資銀行の経営幹部の報酬が桁外れに高かったり、ヘッジファンドの報酬体系がモラルハザードを生みかねないものであったとしても、それは会社の取締役会や株主、出資者が承認して初めて可能になるもので、問題はウォール街の相手方(の心の隙)にあったとも言えます。

もっとも企業経営者の報酬が不合理に高かったりガバナンスが効かないというのは、アメリカの事業会社でもそれ以前から問題になっていたわけで(『CEO vs 取締役会』など参照)何も強欲なのはウォール街に限ったことではなく、権力一般が人間を歪める可能性があるわけです。

そうだとすると「ウォール街の強欲資本主義を捨ててものづくりを中心とした経済と道徳の両立した経営」を目指したとしても、同じ轍を踏ませるような制度的な仕組み(または制度的な仕組みのゆるさ)があったとしたら結局お題目で終わってしまいかねません。

こんなときだからこそ、全否定の過剰反応でいいところまで捨ててしまったり、原因を深く検証せずに同じ轍踏んでしまわないように、地に足の着いた議論が必要だと思います。


たとえば上で触れたような「モラルハザードを生みがちな誤ったインセンティブ」や「経営者に対するガバナンス」について考えて見ます。

日本でもここ数年、上場企業の役員報酬としてストックオプションを導入する企業が増えました。
ただ、最近導入した企業はほとんどが行使価額を下回っているので、無償で割当てられたとはいえ当初の目論見よりは相当目減りしているはずです。
一方で通常ストックオプションの行使期間は退任後○年間という制限があるので、たとえば「退任後2年」というような比較的短期の制限がある会社の取締役は、今退任すると株価が割当時の行使価額まで回復しない可能性が高くなります。
さらに、あと1,2年取締役をやって現在の低い株価水準を前提にストックオプションが得られたとするとその部分は将来値上がりが期待できます。
つまり「今退任するのは損」ということになってしまいます。

つまり株価の急激な下落局面においては、取締役には留任するインセンティブが働く構造になっているわけです。


これって規模は小さいですけどウォール街で問題になったことと構造的には同じですよね。


(総理大臣も読めないくらいの)「未曾有の経済危機」において今年は「現体制で脇を固める」経営をするという企業も多いかと思いますが、こういう報酬体系をとると、折角の経営判断だとしてもそれが本当に会社のためを思っての意思決定なのか疑義をはさまれることになりかねません。
特に「そんな考えはない」と証明すること自体「悪魔の証明」で不可能だということがつらいところですが、逆にそれをいいことに開き直る経営者が出てくる可能性もあります。

このへん株主総会招集取締役会で社外監査役などからツッコミがあると面白いのですが、つっこんだ社外監査役もどの程度の説明で納得すれば善管注意義務を果たしているかがわからないので、結局(またはそもそも最初から)そのような「無粋な」ツッコミはしない、というのが実際ではないでしょうか。
ここはコーポレートガバナンスの問題です。

ことほど左様に、日本の企業にも既に「強欲資本主義」の種は撒かれて根を張りつつあるわけです。

なので、「強欲資本主義」から決別しものづくりの原点に回帰して経営を立て直す、というような恰好いい宣言をして留任する経営者がいたら、ストックオプションはどうなっているかをこっそりチェックしてみたらいかがでしょうか。
「相場展開によってはモラルハザードを起こしかねないような制度は廃止する」とまで言い切る経営者が出るでしょうか・・・


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『強欲資本主義 ウォール街の自爆』

2009-01-16 | 乱読日記
著者は1980年代に住友銀行からゴールドマン・サックスに転職し、その後独立して自分の投資銀行を経営している人です。

投資銀行が顧客のために専門知識を使って良質なアドバイスをして報酬をもらう、という昔のスタイルから、顧客の利益でなく自らの報酬を最大化するような「強欲資本主義」のスタイルに変質した時点で今回のバブルとその崩壊の種はまかれていた、ということを「良識あるベテランが」解説するとともに、それに巻き込まれた日本の将来を憂う、という本です。

投資銀行の業務の変化が豊富なエピソードで語られるとともに、今回の金融危機のしくみがわかりやすく解説されていて参考になります。

ただ、著者が最初に就職した住友銀行(当時)の幹部の銀行家としての見識の高さについて触れているくだりが何回かあるのですが著者が転職する1984年以前はそうだったのかもしれませんが、平和相互銀行の合併以後の住友銀行のイメージの方が強い僕としては、この部分は商売上のリップサービスなのか皮肉なのか判断がつきませんでした。

著者は終章でアメリカの「強欲資本主義」に追随した日本の現状も憂いています。
ここの部分は多少雑な感じもあるのですが、不況による経済的なダメージよりは心理的なもの(=日本社会の変質による不況から立ち直る足腰の弱体化)の方が心配という問題意識は共感するものがあります。
さらに、少子高齢化を前提にゼロ成長を受け入れ、身の丈に合った新しい生き方を模索すべき・・・と続きますが、そこのところは問題提起だけで終わっています。


ちょっと気になるのは、警鐘をならすあまり今のウォール街を全否定しているかのような書きぶりは、すぐにやれ「ものづくり」だ「社会貢献」だという過剰な反応を引き起こすように思います。著者はまだウォール街を引き払っていないわけで、そこの存在意義までは否定したわけではなく、付き合う上では注意が必要といいたかったのだと思います。
日本企業が過剰に内向きになったり先祖がえりするのもどうかと個人的には思うのですが。
本書はベストセラーになっていて、また著者が雑誌などにもしばしば寄稿する「有識者」で影響力もありそうなだけにちょっとそこが気がかりです。



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そういう問題もあったのか-John C. Coffee, Jr.教授の論文「何が問題だったのか」

2009-01-15 | 乱読日記

ろじゃあさんのところでも紹介されていた「NBL」という企業法務関係の雑誌の新年号にコロンビア大学ロースクールJohn C. Coffee, Jr.教授の「何が問題だったのか-2008年金融危機に関する検証」という論文が掲載されています。

今回の金融危機に関して制度的な問題点を中心に分析しています。具体的には以下の点を指摘しています。

1.SECによるデュー・デリジェンスの水準の緩和の影響

SECは、資産担保型の証券化に関する開示およびデュー・デリジェンスの水準を緩和したこと、特に2005年規則AB(資産担保証券の発行について規定するもの)を採用したことで、引受証券会社はデュー・デリジェンス努力を怠るようになった。

2.格付機関が「ゲートキーパー」(=本来投資家が行うことのできない検証・認証サービスを提供する専門家)として機能しなくなったこと

ストラクチャード・ファイナンスは格付機関の事業の40%以上を占めたわけであるが、この40%は、おそらく、4,5社以下の投資銀行が牛耳っていた。したがって、結果としては、顧客が自身のゲートキーパーに対する支配権を取得し、格付けを過剰に吊り上げるために、これを巧みに利用できるようになったのである。

3.SECのCSEプログラムが大手投資銀行のレバレッジの規制の機能を果たさなかったこと

(大手投資銀行はSECが2004年に大規模投資銀行向けにのみ設定した連結監査プログラム(CSEプログラム)に参加したことで負債対資本レバレッジ率を大幅に増大させることになった。このプログラムの導入はもともとEUの2002年に金融コングロマリット規制の例外規定の適用を投資銀行も受けることができるように導入された。しかしこの制度はバーゼルⅡをベースにしたもので、個別の金融機関にリスク予測の計算モデルを作らせそれを当局が監督と監視をすることを前提としていた。ところが・・・)
SECが・・・各投資銀行に独自のリスクモデルの作成をゆだねる形で規制プロセスが開始された時点で、SECが主要な投資銀行によるレバレッジを制限する権限も能力も欠いていたというのは紛れもない事実である。株式市場の圧力や短期型の経営者報酬制度に押されて、こうした機関における上級経営者たちは、CSEプログラムの規制プロセスを、自主規制へと上手く転換していったのである。

日本の新聞や雑誌記事などではあまり触れられていない切り口だと思いますので、機会があればご一読をお勧めします。


ところで、「能力を欠いていた」という意味では格付機関も上のように経済的圧力だけでなくいろんなものが証券化商品になる中で、よくわからないものも格付けせざるを得なくなり、「できません」ともいえないので適当に理屈をつけてみると、その事例がスタンダードになって・・・という連鎖があったように思います。

10年以上前、外人投資家が日本の不良債権や不動産に投資し始めたとき、その投資(や投資ビークルへのローン)の証券化のために格付会社にインタビューされたことがありました。
最初は面倒くさかったのですが、彼らもレポートを書くためのストーリーやチェックポイントがあるのでそれに沿うように回答してあげればいいんだ、と途中でコツをつかんでからはそんな負担でもなかった記憶があります。何しろこっちのほうが圧倒的に対象資産についてはわかっているわけですし、向こうは最初の頃は日本くんだりの不動産市況とか「行きの飛行機で勉強しました」程度の知識しかなかったので(声をかけられなければ一生縁がないような話ですからね。)。

結局「しなければならない」という動機付けでする仕事は(「うまくいかなければ降りてもいい」という気構えでする仕事と違って)リスクを軽視しがちになるのでしょう。

本書で触れられている金融機関の経営者や幹部社員のインセンティブ報酬やヘッジファンドの報酬体系などはいい例ですね。


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これぞ日本的経営?

2009-01-14 | あきなひ

期間工や派遣社員の削減が非難されてますが、正社員として働くのもつらい会社のようです。

トヨタ、部長級社員2200人が新車購入へ
(2009年1月14日12時2分 日刊スポーツ)

トヨタ自動車の部長級社員約2200人が、3月末までにトヨタの新車をそれぞれ購入する取り組みを始めたことが14日、分かった。  
トヨタは「あくまで自発的な措置で強制力はない」としている・・・ 
対象車種に制限は設けず実際に購入したかどうかの追跡調査もしないという。

実際に部長クラスがこぞって「自発的」に新車を買うとしたら、ちょっと怖いですね。
(「部長級社員が2200人」というのもすごいですが・・・従業員が7万人くらいいるとしても3%(30人に一人)って多くないですかね。)

マクドナルドの「やらせ」が非難されてますが、そうだとしたらこれも一種の売上の水増しなんじゃないでしょうか。
追跡調査までして実質的な強制だとしたら完全なアウトでしょう。
以前問題になった期末の目標達成のための販売店名義による登録(これも自発的な購入ですよね)との線引きってどこにあるのでしょうか。


実はこれ、取引先にも「押し付け販売」にならないような形で「お得意様割引キャンペーン」などを実施し、しかも実際上は断りにくくさせるための意図的なリークだったりして。


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『共生者 株式市場の黒幕とヤクザマネー』

2009-01-14 | 乱読日記
『情報革命バブルの崩壊』では「論外」として扱われていたろくでもない事業を怪しい筋からのファイナンスとM&Aで化粧している会社(切込隊長自体はこっちを語っても詳しそうですが)の仕組みやそこに関連する人々について実名で語っているのが本書です。

著者は証券会社勤務後、ソフトバンクでイー・トレード証券の立ち上げに携わります。そのとき知り合った仕手筋を顧客として囲い込む中でいろいろな筋の人と知り合い、時にはファイナンスのスキームを提案したりしていました。
そのへんの仕手筋の裏話から資金供給する暴力団との関係、資金繰りに困った会社が仕手筋や暴力団の手に落ちたり、新興企業の経営者やファンドマネジャーたちが取り込まれていったり、それに群がって一儲けをたくらむ「共生者」たちの実態が描かれています。


著者は適法なファイナンス(資金調達)の手伝いをしているだけで違法な行為には関わらないことをポリシーにしていたそうで、まあ、それはそうと信じるとしても書いていない(書けない)部分は他にいっぱいあるんだろうなという感じでもあります。

さらに著者は最近の仕手筋の変質を指摘しています。
昔は市場で株価を吊り上げて高値で売り抜けるという「真っ当な仕手戦」をやっていたものが、今は第三者割当てた新株引受権付社債などを投資ビークルで取得しその出資権を市場外で転売していったり、会社の経営権を握り自らの会社に融資をさせたり担保提供させるなどで会社を食い物にしていく、という市場外に活動を移していて(春日電機などがいい例です。)、そこは市場外なので法の規制がほとんど及ばないため、詐欺・甘言・恫喝・脅迫なんでもありの世界になっているそうです。
こうなるともはや「錬金術」ですらなく、「相手の弱みに付け込み、当事者能力を奪ってしゃぶりつくすのは、ヤクザの”シノギ”そのものである。」
といいます。


普段の仕事では怪しそうな案件はその時点で排除してしまうのですが、投資ファンドの仕事をやっているインセンティブ報酬の高い(=体のいい歩合制です)連中はけっこうややこしいものに手を出していたりしていしたようです。
これからそういう「しこった」投資案件の破綻や換金処理の過程で、本書に書かれたような実態が表に出てくるのかもしれません。



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クリード

2009-01-14 | あきなひ
今日の不動産株の下落の原因になっていたようです。
会社更生手続開始の申立に関するお知らせ
(平成21年1月9日 株式会社クリード)
日経新聞によるとDIP型の会社更生の初めての試み、ということですが、そもそもこういうファンド会社はメーカーと違って固有の技術力とかノウハウやブランド力は特になく雇用も多くない、いわば投資判断する人と資金の集合体のようなもので、特に民事再生にしろ会社更生にしろ別に再生しなくても「社会経済的損失」ではないんですよね(それはマンションデベロッパーにもいえますが。)。


クリードは優良物件揃いなので会社更生で抵当権の実行を抑えつつ丸ごと引き受けるスポンサーを探すという作戦なのかもしれませんが、このタイミングで資金を持ってるようなスポンサー候補の投資家は、現在の経営陣と妙なローン付きの物件を引き受けるよりは、世の中にいっぱい出ている(そして今後も出そうな)売り物を拾ったほうがいい、という判断をするのではないでしょうか。
第一四半期報告書によると販売用不動産と仕掛販売用不動産をあわせても700億弱(しかも簿価で)ですから、スポンサーになっても一躍大ポートフォリオを手に入れられる、というわけでもないですし。


そういえば先に逝ったデベやファンド会社のスポンサーってどうなったんでしょうか。
地元金融機関が破産になるよりはまし、と救いの手を差し伸べたパターンぐらいのような・・・
あ、中国資本が入るパシフィックホールディングスもありましたね(これは逝ってはいないか)


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『情報革命バブルの崩壊』

2009-01-13 | 乱読日記
切込隊長の新刊

情報革命、いわゆるIT企業の成長は、金余りを背景に技術革新による経済効率の上昇の過大評価を前提にインフラ面の無理を資本市場による資金調達で補いながら達成されてきたもので、ソフトバンクのダンピング攻勢に引きずられたインターネットの接続業者(NTT、KDDIなど)が安価な定額制でインフラを提供するなかで、「無料モデル」を前提にコンテンツ関連業者は高い収益を得てきた。
しかし、動画サイトの成長など通信量が飛躍的に増える中でインフラ事業者が定額制を維持するのが難しくなってくる一方で、資本市場からの調達が困難になる中でIT企業は曲がり角に直面している。

という話。

要するに金余りがすべての帳尻をあわせてきた、というところがバブルだったわけで、それが崩壊した中で生き残れるIT企業がどこまであるか、という問題提起であります。

業界のことに疎い私としてはなるほどなぁ、というところが多い本でした。


行間でいろいろ言いたい内幕もあるようですが、そのへんは別のところで、ということでしょう。


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『きのう何食べた?』と『おつまみ横丁』

2009-01-12 | 乱読日記
週刊モーニング連載中の作品

作者のよしながふみはゲイの登場人物を描くことが多いらしいのですが、本作もゲイの弁護士と美容師のカップルをめぐる話です。
とはいっても話のもう一つの中心が、弁護士の作る料理。
この弁護士の安い食費(月2万5千円以内)でいかに無駄なく美味いものを作るかへのこだわりをレシピとともに面白おかしく+ためになるように描いています。

僕の知り合いの弁護士や美容師は定時に帰れるという人は一人もいないので、本書にあるように「弁護士と美容師が深夜でなく二人そろって食卓を囲む」というのはとても非現実的に思うのですが、その意味ではワーク・ライフ・バランスがもう一つのテーマともいえます。


年末、料理を作る機会も多かったので料理の部分を「自分でも作れるかな」という関心で読み、実際にいくつか作ってみました(残念ながら写真にとるほどの余裕はなし(笑))。


料理の部分でちょっと気になったのが、食材の安さ、特売品とか「底値で買う」ことへのこだわり。
こういう消費者の姿勢は日本の農業の復活にとってはよくない、ということについてはこちら参照。
それから、登場するメニューに炒め物や肉料理がけっこう多いこと。健康とスマートさを気にしているという設定の主人公としてはどうよ、という感じですが、安いことを基準に食材を選択してから料理を組み立てると自然とそうなるのかもしれません(普段外食が多い僕としては、家では油っこいものは敬遠しているので気になるだけかもしれませんけど)。


料理づいた勢いで近所の書店のレジの脇においてあったおつまみ横丁―すぐにおいしい酒の肴185を買ってしまいました。

こちらはより実践的で、比較的簡単に出来てけっこう本格的な酒の肴のレシピが満載です。


結局家でも酒飲んでれば、油物がどうこうと言っても変わらないんですけどね・・・








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点滴バー

2009-01-11 | あきなひ

1年位前に知り合いのお医者さんから「二日酔い外来をやろうと思うんだけどいくらなら出す?」と聞かれたことがありました。

二日酔いの原因は脱水症状が主なので、点滴で水分を補給してやれば一発でかなり回復するとか。
ただ保険が利かないので全額自費になるのでそれなりの金額の負担が必要になるのだそうです。そこでマーケティングを兼ねた質問。

利用するにしても大事な仕事があるときなど「ここ一番」に使うとしても3000円~3500円ぐらいかな、というのが僕の返事でした。

そのお医者さんは、早朝から医院を開けておかなければいかない、または電話で連絡を受けてから医院に出かけて開く手間などを考えると5000円くらいはほしいかな、と言っていて、今のところまだ実現してはいなそうです。

そうしたらこんなニュースが
風邪や疲れに「点滴バー」 都心に増加、効果に疑問も
(2009年1月11日(日)11:18朝日新聞)

東京都心で滋養強壮や美白を売り文句にした「点滴外来」が増えている。おしゃれな内装で「点滴バー」と名乗るところも。

二日酔い対策ではなくビタミン剤や栄養剤が中心のようです。
記事では料金は2000円からと栄養ドリンクの一番高いやつと同レベルくらいの設定になってますが、恵比寿ガーデンプレイスや東京ミッドタウンの中などにあるTENTEKI10という店(診療所)の料金メニューを見ると、「宴会翌日対策」は7000円とやはり高価です(さらに初診料が1000円かかるようです)。
飲み代より高くつくんじゃ意味ないですね(苦笑)

しかも、営業時間が10:30からとかなので、そもそも電車に揺られてそこまで行くのがつらい、というレベルだとあまり使い勝手はよくなさそうです。


やはり家で温めにしたスポーツドリンクかしじみの味噌汁でも飲んでいたほうがいいかもしれません。

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「こころ」の伝達

2009-01-10 | よしなしごと

脳情報通信で「こころ」の伝達を可能に、大阪大とNICTが共同研究
(2009年1月8日(木)00:30 Internet Watch)  

国立大学法人大阪大学と独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は7日、脳情報通信分野における融合研究プロジェクトの基本協定を締結した。脳のメカニズムの研究をベースに、人の「こころ」を伝達する技術や、脳のメカニズムを応用した次世代の情報通信ネットワーク技術の実現を目指す。  

基盤技術として高度な脳計測技術が確立すれば、例えば、頭の中で「あ」「い」「う」「え」「お」……と考えた時に、それぞれ脳のどの部分が活動するかをマッピングできるようになる。これにより、頭の中で考えた言葉(内語)を言葉に出さずとも情報端末機器に出力できる「内語タイプライター」の可能性が生まれる。さらには、目で見ている情景を脳の活動をもとに再現したり、頭の中でイメージしているだけでディスプレイに出力できる「心象イメージイラストレーター」といった新しいインターフェイスも期待される。  

科学の進歩自体はいいことだと思うのですが、脳の活動をそのままアウトプットできるのは便利なことなのかどうか。  

仕事などの会話では「あ、この人よくわかってないけど相槌だけうってるな」とか「自信がないので総論でごまかしているな」と思うことがあります。
後で調べるなりして結果的にうまく回れば問題はないのでそこでいちいち問いただすのは大人げないということになるわけですが、頭の中のイメージを出力するような技術ができてしまうと「とりあえずその場をしのぐ」ということがしにくくなります。  

自分の知識とか理解力が白日のもとにさらされてしまうとなると、逆にコミュニケーションに対して構えるようになってしまうかもしれません。  

昔(昭和の時代)によくいた「まあちゃんとやってよ」という指示しかしない上司は昨今はさすがにつとまらなくなっているのですが、この技術が発展するとだいたいの方向性を示して細かいところは部下のほうが詳しいから任せるよ、というような指示をしようとしても、「まずは成果物のイメージのすり合わせをちゃんとやりましょう」ということになりかねません。
上司が楽ができなくなるのは世の中の趨勢で仕方ないかもしれませんが、あまり事前のすり合わせを精緻にやりすぎると、上司の頭の中の範囲にある予想された結果しか出てこなくなり、問題解決や新しい提案などは全体のパフォーマンスは逆に低下してしまうように思います。  


こういう技術は、僕が歳とって、その場しのぎやあいまいな指示に安住する前に開発しておいてほしかったです(苦笑)。

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オバマ氏の昼食会

2009-01-09 | まつりごと

歴代大統領がオバマ氏に経験伝授=ホワイトハウスで昼食会
(2009年1月8日(木)12:00 時事通信)

20日に就任するオバマ次期米大統領が7日、ホワイトハウスでブッシュ大統領ら歴代の4人の大統領と一堂に会し、昼食を共にした 集まったのはオバマ氏とブッシュ大統領のほか、カーター、ブッシュ父、クリントンの歴代大統領。
昼食会に入る前に執務室で並んで記念撮影したオバマ氏は、「これらの方々はこの執務室の重圧と可能性の両方を理解しておられる。これらの方々の助言と忠告、親交を得る機会が持てたことは、私にとって非常に名誉なことで感謝する」と述べた。

こういうニュースを見るとオバマ次期大統領のプローションのセンスを感じます。
「未曾有の経済危機」に対して民主党も共和党もなく一致団結しようとか、敵を作らない全方位なスタイルを象徴的にアピールできた(したかった)のではないかと思います。
また、在職年数では共和党に負けている民主党が頭数で押し出しを得るいい機会という部分もあるでしょうが、それ以上に共和党の2人というのはブッシュ親子だ、ということの異常さを奇しくもアピールしていると思うのはうがちすぎでしょうか。


 

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にほんごがほろびるとき

2009-01-08 | よしなしごと

テレビで韓国で漢字学習ブームが起きている、という特集をやっていました。

韓国では1970年代の軍事独裁政権下で、それまで漢字とハングルが併用されていた(日本で言う漢字かな混じり文)がハングルのみの使用に強制されたんだそうです。
しかしそのために、もともと漢字で導入された概念を表音文字のハングルだけで表記することになったため(にほんでいえばひらがなだけをつかえときょうせいされたようなものですね)、どうおんいぎごはぶんみゃくでくべつするしかなく、そのためわかもののこくごりょくのていかがとりざたされたり、またこてんぶんがく(これはもちろんかんじはんぐるまじりぶんやかんぶん)がよまれなくなったりというもんだいがひょうめんかしてきているそうです。

しかしもともとはんぐるはちゅうごくやにほんのしはいからのどくりつなどみんぞくてきあいでんてぃてぃにかかわるものなのでしんぶんなどでかんじがふっかつするというものではなく、しょうがくせいののうのかっせいかにやくだつとか、がくせいのしゅうしょくにゆうりというようなどうきがぶーむのはいけいにあるようです。

その話を聞いて、日本の漢字かな混じり文は便利だなと改めて思いました。
(上のように書くとまるで『アルジャーノンに花束を』の書き出しですよね)

『日本語が滅びるとき』流に言えば、漢字かな混じり文という現地語たる日本語は古くは中国の文化=漢語(普遍語)の「図書館」にアクセスし、それを日本語(現地語)の「図書館」に取り込むために役に立ち、また明治維新以後はカタカナも含めて西洋の普遍語(当時は英語仏語独語の鼎立)の「図書館」にアクセスしそれを日本語の「図書館」に取り込むことに役立ったわけです。

民族のアイデンティティとか植民地支配の歴史の払拭という政治的意味も大事かもしれませんが、言葉はやはり道具としての有用性を最優先すべきなのでしょう。その意味では漢語と大和言葉がごたまぜになって出来た「日本語」の融通無碍さは大事にしないといけないですね。

ただそれは常に日本語を生かそうという努力の賜物であり、現在インターネットの世界ではさらにその努力が求められているそうです。
小飼弾氏曰く

今日のインターネットは、著者も主張するように英語で構築されている。しかし器としてのインターネットが英語で出来ていようとも、そこに載せるべき内容(content)は、英語である必要もなく実際そうではない。日本語もきちんと「乗せることが」できる。 今では当たり前のことではあるが、それは放置の結果ではない。それは数多くの人が「英語しか載せられない器などごめん被る」と、英語以外の言語も載せられるように、英語で尽力してきた結果なのである。

水村美苗氏の本は「日本近代文学」に特権的地位を与えているところはどうかと思うのですが、それ以外の現状認識の部分(ある意味岩井克人的な分析)は示唆に富むと改めて思った次第。


 

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Morgan破綻!

2009-01-07 | ネタ

いろんなところで取りあげられてそうな一発ネタなので早めに(って十分遅いか(汗))

JPでもStanleyでもないMorganというオチです。



フランス:ファッションブランド「MORGAN」が破綻
(2008年12月31日 23時12分 毎日新聞)

英BBC放送(電子版)が31日伝えたところによると、フランスのファッションブランドで、日本にも進出している「MORGAN(モルガン)」が管財人の管理下に置かれ、事実上経営破綻(はたん)した。

元ネタはこれ
Retailer Morgan in administration
(17:01 GMT, Wednesday, 31 December 2008 BBC News)

French women's clothing store chain Morgan has gone into administration, the latest retailer to be hit by the sharp fall in consumer spending. 

アパレルのMorganの公式サイトはこちらです。
ファッションに疎い私ですが、あ、そういうお店も見たことあるな、という程度には記憶にあるので、一時は日本でも流行ったのでしょう。


倒産関連で言えば今朝の話題はウエッジウッド
Wedgwood goes into administration
(22:11 GMT, Monday, 5 January 2009 BBC News)

あらあら、と思ったら
債権の取立不能のおそれに関するお知らせ (2009年1月6日 ニッコー株式会社)
ウエッジウッドへの売掛債権3億円弱が焦げ付いたとか。
OEMをやっていたんでしょうね。
それならこの機会にいっそのこと会社ごと買ってしまえばと思ったのですが、20年10月期の決算短信をみると赤字続きなので(「住設環境機器事業」のウエイトが過半なのが痛いのかもしれません)ちょっと無理かもしれません。

ちょっと前ならアラブかロシアの富豪がすぐにでもスポンサーに名乗りを上げていたところでしょうが、今回は誰が登場するのでしょうか。

ウエッジウッドは現在はアイルランド法人(1987年にアイルランドのWaterford Crystalが買収してWaterford Wedgwoodになった)で、アイルランドとイギリスの地元での雇用への影響も懸念されているようなので、U2とかが名乗り出たりしないかな、などと思ったりして。

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