一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

直輸入の弊害?

2010-07-09 | あきなひ

1年越しの契約解釈の争い。

訴訟の提起に関するお知らせ
(平成22年7月8日 日本エスコン 8892)

(2) 請求原因の概要(当社の主張概要)
平成20年5月28日付で、当社と平和不動産との間で本売買契約を締結し、平成21年3月31日までに当該信託受益権を平和不動産に引き渡し、平和不動産から本売買契約の売買代金の支払を受ける予定となっていました。当社は、平和不動産の意向に従い本不動産のうち土地を取得し、本売買契約を履行するため平和不動産の意向に従った建物を建築しましたが、その後、平和不動産より、本不動産を現物で購入したいとの申入れがあったため、平成21年2月27日に平和不動産への本不動産の引渡をすべく準備を予定通り行っていました。
しかし、当社が平成21年2月20日付で、平成20年12月期決算短信及び有価証券報告書における継続企業の前提に関する事項について、注記(以下、「本注記」という。)する決議を行った旨発表をいたしましたところ、平和不動産より、本注記が、本売買契約における当社の表明保証事項に抵触しており、取引前提条件を欠くことになるため、本売買契約を履行することが出来ない旨の連絡がありました。
当社といたしましては、本注記は、本売買契約における表明保証事項に抵触する事象には該当しないものと考え、平和不動産に対し、繰り返し本売買契約の履行又は本不動産の現物での購入を求めてまいりました。しかしながら、現在に至っても当該取引の履行がなされず、かつ、平和不動産は当該取引の履行を行う意思をみせておりません。

平和不動産が引渡しを受けないのなら、15ヶ月もグズグズやってないで、とっとと契約解除をして損害賠償請求をしつつ物件は別の人に売ってしまえばよかったと思うのですが、時期を考えると平和不動産が高値掴みしたのでこれを逃がすと簿価割れで赤字も出せないという状態なのかもしれません。

当初の信託受益権による売買というのと、土地を取得して建物を建築する--では、信託に入れたのは何?とかいうあたりがリリースからはよくわかりませんが、ファンド仕立てにしていて、市場下落後の価格で売るとエクイティ全損+融資も一部回収不能になるので同意も得られなかったとかいうような事情があるのかも。

一方で、平和不動産もGC注記が契約違反になるならこれ幸いと契約を解除して、自分のほうから損害賠償請求をするのが本来なら得策です。

リリースからは表明保証条項がどのような内容かは不明ですし、表明保証違反の効果が契約上どのように規定されているかもわからないのでここからは推測なのですが、不動産の証券化で一般的になっているアメリカ流の契約書を日本法に当てはめたときのズレが出てきた結果ではないかと思いました。

「表明保証」というのも今まで日本の契約書にはなかったもので、これの日本法における意味については裁判で争われた例もありますし、それについて法律雑誌にも弁護士が論文を書いたりしています(論文書く前に争いのない契約書作れよ、というつっこみをしたくなったのですが、大きなローファームで標準的な書式になっちゃってるとは変えられないんでしょうか)。

この表明保証というのはさまざまな事項に関して契約時およびクロージング時に真実であることを表明し保証しなさい、というようなことが書いてあったり、また、「クロージングの条件」として「表明保証条項がクロージングの時点に真実であること」とかいう条項があったりします。

本件も平和不動産はこのような条項を理由にクロージングをしない(引渡しを受けない)と主張しているのではないかと思うのですが、クロージングの条件が成就しないときのメカニズムがはっきりしていなかったのではないでしょうか?

契約条項のどんな部分が争いになっていたのかも興味ありますが、両方とも1年間何やっていたのかというのも知りたいところです。

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NHK大相撲生中継中止

2010-07-07 | よしなしごと

個人的には予想外だったのですが、相撲協会と一蓮托生になるのを避けたということでしょう  

NHKのサイトから福地茂雄会長記者会見コメント(抜粋) 

NHKは、今回の野球賭博問題について、大相撲の根幹に関わるもので、反社会的な勢力である暴力団との関与も指摘されるなど、極めて重大で遺憾な事態だと考えています。社会的にも大きな反響があり、視聴者の皆さまからは、連日たいへん厳しい意見が寄せられています。  

相撲協会の処分は調査委員会の『勧告』を受け入れたたいへん厳しい内容でした。また暴力団排除など今後の再発防止のための『ガバナンスに関する委員会』を立ち上げることもわかりましたが、委員会のメンバーや改革の方向性などについては、現時点では具体的な道筋はまだ見えていません。  

確かにこのとおりで、解雇と謹慎でしのごう、という状況ではだめ、ということですね。 
それまで、しごきでの死亡事件などいろんな不祥事があっても淡々と生中継をしてきたことへの反省もあるのでしょうか。 

一方で、NHKも生中継を再開するのに「改革の方向性が見える」というハードルを設定したことになるので、NHK自身の見識が今後も問われることになります。 
さらに、一場所4億円超と言われる放映権料の妥当性とか、いままでBSと総合テレビで流していた大相撲中継のかわりのコンテンツがどうなるかが注目されます。
ここで大リーグ中継と海外TVドラマばかりでは、テレビだけで4局も維持できる番組制作力があるのかが問われてしまいます。  

NHKの改革という意味でも、結果的には(「視聴者の皆様」にとって)いい判断なのではないかと思います。

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『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』

2010-07-06 | キネマ

独身最後の夜を友人と馬鹿騒ぎをする「バチェラー・パーティー」の翌朝、目が覚めたらひどい二日酔い(hangover)で記憶がないだけでなく、肝心の花婿がいなくなっていた。そして花婿を探すために前夜の行動を辿っていくと、常識外れの馬鹿騒ぎの実態が明らかになり・・・というコメディです。 
ここまで派手ではないものの、酒飲みなら多少の経験はあるような話を、目いっぱいふくらませていいるので、自らの失敗を省みたり、どうせやるならここまでやってみたいなどと思いながら楽しめます(女性が観ても面白くないかもしれませんけど)。  

ラストの種明かしは、爆笑です。

設定やセリフ回しがpolitical incorrectの微妙な線をついてるところも楽しめます。

もともと日本では公開されない予定だったらしいですが、町山智浩氏の紹介などで話題になり、 映画「ハングオーバー」劇場公開を絶対に求める会などの運動(言葉遣いは変だけど)もあって  


日本では9月21日に行われた第2回したまちコメディ映画祭in台東の前夜祭である映画秘宝ナイトで一度上映され、その後はビデオスルーとなる予定であったが、劇場公開されることが決定した。(wikipedia


ということです。  

公式サイトもありますが、予告編や解説はあとにして、主人公たちと同じくなんの予備知識もなく観たほうが楽しめます。


上記wikipediaによると続編の製作が決定しており、タイガー・ウッズへ出演依頼がされているそうで(まあ、そういう類の毒のある映画ですw)、実現すれば楽しみです。

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大相撲「賭博」問題

2010-07-05 | よしなしごと

年寄りは昔のことはよく覚えているようで、親と話していて大相撲の野球賭博の話になったら、大鵬も昔は「田岡」(山口組三代目)って書いた化粧回しを締めてた、と言っていたので、本当かい?と調べてみたら こんなのこんなのがヒットしたので、どうやら事実らしいです。

昔はおおらかだったんですね。  


今回の相撲協会の処分にしても「賭博」に焦点が当てられていて暴力団排除が前面に出てきていないのは、突き詰めてしまうと、いつの時点から暴力団と縁を切ったのか、関係は今に始まったことじゃないだろう、いつ以降はアウトなのかという線引きをせざるを得なくなってしって、親方は全員アウトということになってしまうからなのかもしれないなぁ、などと思っていたところに、野球賭博関係の処分が決まったようです。

【大相撲野球賭博】琴光喜、大嶽親方を解雇 理事長代行に村山氏
(2010年7月4日 19:48 産経新聞)  

特別調査委員会(座長=伊藤滋・早大特命教授)からの謹慎勧告を受け入れた武蔵川理事長(元横綱、三重ノ海)の代行には、調査委が推薦した外部理事で元東京高検検事長の村山弘義氏(73)が就任した。代行期間は名古屋場所千秋楽の25日まで。

昨日はこんな報道もありましたが、
大相撲:賭博問題 相撲協会理事長、放駒親方を代行指名へ 調査委推薦を拒否 (2010年7月4日 毎日新聞) 

調査委は6月末に名古屋場所開催を認めた際、理事長代行を置くことを条件とし「国民の目線の事態の解決にあたることができ、かつ反社会的勢力に対応するためにふさわしい理事」を適任者と定めて村山外部理事を推し、文部科学省にも報告した。  
だが内部理事の親方からは「トップの仕事は暴力団排除だけでない。相撲界を理解する人間でないと」と反発の声が上がり、処分対象外の放駒理事の代行就任を推す意見が出て、反論はなかったという。

場所中に限ってということであれば、ここでまた閉鎖性を発揮するのも得ではないという判断が働いたのでしょうか。NHKの中継は6日に相撲協会の説明を聞いてから決める、ということなので、その辺も影響したのかもしれません。

しかし、「相撲界を理解する人間でないと」=相撲界の慣行は尊重しろ、というのが通用するためには、力士や親方や相撲協会が世間的に尊敬される(少なくとも胡散臭いと思われない)ことが前提なので、このタイミングでそういう意見が出るあたりが、まだ状況が見えていない感じがします。


ところで、内閣総理大臣杯や天皇賜杯をやめる、という話はなぜでなかったんだろうと調べてみると、内閣総理大臣杯は、「様々な競技・分野で最優秀を取ったものに対して内閣総理大臣から贈られる」ので、都度渡されるようです。なので、これはやめる、ということは可能ですが、文部科学省が名古屋場所開催に異議を唱えなかったのであればやめるのは「閣内不一致」になってしまいます。
天皇賜杯は「宮内庁を通じて競技大会を運営する団体に対して下賜されている」ものなので、今や占有権限は日本相撲協会にあるようです(ゴルフコンペの持ち回りのトロフィーと同じですね)。なので宮内庁側からは今さら返せとはいえないのかもしれません。


こう考えると、歴史と伝統がある団体は諸制度の「慣性」が大きいというのも、そこにいる人にとっては強みになっていると改めて認識。
事業仕分けも、あまり派手なやり取りにならないものの方が問題は深いのかもしれませんね。


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企業の英語公用化

2010-07-03 | あきなひ

Twitter経由のネタ

楽天の英語公用語化がビミョーな理由  

いろいろ説得的な理由が挙げられていますが、僕はここが一番だと思いました。

「英語を公用語化する」なんていうと一瞬ちょっとグローバルで
かっこいい感じがするが、実際は極めて日本的な考え方である。
多くの日本企業が海外進出に失敗している理由は、
無理に日本国内で育てた人材を海外に送ろうとしてることだ。
大人の日本人を何年アメリカに置いたところで、
現地の米国人と同じにはならない。
むしろ現地の人を採用し
業務全体を現地化してしまうことがグローバル化の早道ではないのか。
実際、楽天の海外業務のほとんどの部分が買収によるものである。
経営に携わる一部の人にとっては英語が重要になるが、
全社員に英語を話させる意味は無いように思われる。  

新興企業・オーナー企業以外でもこれを真似をする会社が出てきそうですね。
でもそういうところは大体従業員に英語を学ばせる割に、経営陣は日本語・日本人のままだったりするんですよね。

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「菅」測気球の迷走?

2010-07-02 | まつりごと

消費税増税といっても実施は二、三年後と言ってるんだから、各論のつっこみに考えなしに反論しても混乱するばかりだと思うのですが、これが菅総理のキャラなのでしょうか。 
出だしからうまく取り入ったと思った財務省は困っているかもしれません。  

消費税上げで首相「年収2百~4百万以下還付」
(2010年7月1日00時46分 読売新聞)

これに関連して、政府高官は同日、「(食料品などに)軽減税率(を適用する)より税金還付方式の方がスムーズではないか。所得税と住民税の非課税世帯の人が(低所得者ほど税負担が重くなる)逆進性で苦しまないようにしないといけない」と語った。

逆進性を心配するのであれば、消費税増税をすべきか、という入り口のところを議論すべきだと思います。 
物品による軽減税率は、諸外国でもあるので、流通業者の事務負担増はあるものの可能かとは思いますが、実際に支払った消費税額を還付するのでは還付にかかる徴税側の事務コストが膨大にかかりそうです。

上の記事も、具体的にどうするか心配しています。  

菅首相が想定している具体的な制度は不明だが、〈1〉所得税を支払っている人には一定の所得制限を設けたうえで、一般家庭の標準的な消費税の負担額を所得税額から控除〈2〉所得税の支払い分だけで控除しきれない部分は、給付金として還付するなどの給付付き税額控除を想定しているとみられる。さらに、所得税の課税対象となっていない世帯(夫婦・子2人)の年間所得325万円以下の低所得者については、消費税の支払い分をそのまま還付することが念頭にあるとみられる。

 〈1〉は結局課税最低限の引き上げと同じですね。でも厳密に言うと所得制限の前後で損得勘定が逆転するので、主婦のパート労働の配偶者控除を意識した103万円ラインとか社会保険料負担の130万円ラインのように「年収325万円以下にしてくれ」というような笑えない話が出てくるかもしれません。  
一方、〈2〉の方式をとった場合は不正還付が問題になりそうです。たとえば僕の親は年金生活者なので「低所得者」に該当するのですが、僕の使った消費税の領収書を渡せば還付できてしまうわけです(貯金を取り崩して消費すれば年間所得を超える消費というのもありうるので)。これを防ごうとすると、日常品の購入のときにもいちいち本人確認して宛名入りの領収書を出せ、とかいうことになります。(それでも介護をしている家族が本人の代わりに買い物をするときは困ります。)また、「収入」でなく「所得」で線を引くとすると、自営業者の赤字年度の事業分の支出と個人分の支出の区分けなども微妙になりそうです。  

そんなことを議論する前に、逆進性を持つ消費税の増税の是非や税収の使途のをどこまで厳格にしばるか、という議論をきちんとして、増税する場合には生活保障的な手当ては別の制度でおこなって、消費税の制度自体は極力シンプルにするというのが本来の議論のあり方でしょう。


この辺の細かな議論を差し置いて発言してしまうのは「バルカン」の面目躍如か、自民党へのクリンチの一環なのかもしれません。


 

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『インビクタス~負けざる者たち』

2010-07-01 | 乱読日記
残念ながら日本は敗退してしまいましたが、4年後につながるきっかけは、反省材料も含めて得られたのではないかと思います。

南アフリカ、ワールドカップつながりで、先般公開された映画を見そこねたので原作を読みました。

1994年に南アフリカの大統領に就任したネルソン・マンデラが、1995年に南アフリカで開催されたラグビーのワールドカップによって国民の心を一つにする過程を描いています。

とはいうものの、「スポーツは人々の心をつなぐ」とか、今回の日本代表のような予想外の活躍で日本中が盛り上がったというようなレベルではなく、元々は南アフリカにおけるラグビーは人種対立の象徴で、それを南アフリカ国民がはじめて一体感を得られたイベントにまで結び付けたネルソン・マンデラの政治家・人間としての能力と運を描いています。

本書は前半部を南アフリカの民族対立の歴史、政治的時代背景、そして収監中からのマンデラの敵を味方に取り込む能力について語ることに費やします。
ここの部分は僕のような知識のない人間にとって勉強になるのはもちろんですが、そこで、人種対立がもたらした政治的複雑さ、対立の根深さが語られます。

南アフリカでのラグビーは、白人の中でもオランダ系のアフリカーンス語を話すアフリカーナーのスポーツでした。アフリカーナーは白人の多数派であるものの、経済(金鉱山やダイヤモンド鉱山)を握っているのはイギリス系企業であり、「英語を話す白人」に対しても屈折した思いがあります。
一方で、内陸部への植民の過程(これも元はと言えばイギリスがケープを植民地にしたからですが)で黒人の原住民を駆逐していったのはオランダ系住民であり、また当時も警察官や軍人など黒人差別の前面に立っているのはアフリカーンスということもあり、黒人にとってもラグビーは差別する側の象徴でした。そのため南アフリカ大会の前までは黒人は常に相手チームを応援していたほどだそうです。

後半では、それらのもつれた糸が、マンデラの大統領就任、そして1年後のラグビー・ワールドカップ南アフリカ大会、そして南アフリカチームの優勝まで、きれいな一本の糸になっていくところは、あらかじめシナリオを書いてもここまではうまく行かないだろうというほど感動的です。

ネルソン・マンデラという人物は、南アフリカにとってまさに"right person in the right place"な存在だったというのが読後感。このときを待つために27年間の獄中生活があったのではないか、という印象をもったくらいです。




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