褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦(1972) 失われていく伝統に哀愁が漂う

2013年01月26日 | 映画(さ行)
 かつて1940年代から1960年代初頭にかけて、ハリウッドで隆盛した西部劇。しかし、一時期は盛り返したこともあったが、今ではすっかり西部劇は下火になってしまい、カウボーイが活躍する映画なんて全く無いのに等しい。
そんな衰退する西部劇に対して、アメリカの精神、伝統、誇りが情感たっぷりに描かれた映画が今回紹介するジュニア・ボナー 華麗なる挑戦だ。経済発展の波に押されて、すっかり時代遅れの象徴になってしまったロデオを生業とする主人公の姿に、観ている我々は何を感じ、何を悟るのか

 ロデオの大会に出場するために、アメリカ中を転々としているジュニア・ボナー(スティーブ・マックィーン)は久しぶりに故郷のアリゾナ州、プレストンに帰ってくる。彼の帰ってきた目的はアメリカの独立記念日(7月4日)に毎年行われるフロンティア・デイ記念ロデオ大会に出場して、今まで乗りこなせなかったサンシャイン号という名前の荒牛と対決するため。
 故郷で久しぶりに父のエース(ロバート・プレストン)、母のエルビラ(アイダ・ルピノ)、兄のカーリー(ジョー・ドン・ベイカー)達との再会を喜び合うはずだったのだが、ジュニア・ボナー(マックィーン)が最初に目にしたのは、父親のエース(プレストン)の牧場や住んでいた家がブルドーザーで破壊されていく様子。その姿に古き良き西部の伝統が消え去りつつあることを実感したジュニア・ボナー(マックィーン)は驚きと同時に、ショックを受ける。
 そして、いよいよロデオ大会の当日。ジュニア・ボナー(マックィーン)は、かつてはロデオの達人として名を馳せた父親のエース(プレストン)と一緒にロデオ大会に出場し、そしていよいよサンシャイン号と対決するのだが・・・

 すでにカウボーイの姿はダサいものになってしまい、ロデオも時代遅れであることを承知しながらも、ロデオにこだわり続けるジュニア・ボナー(マックィーン)の姿に、アメリカの古き良き伝統を守る心意気を感じる。
 一方、その逆に兄のカーリー(ジョー・ドン・ベイカー)はビジネスに才能を発揮し、次々と土地を買い漁り住宅を建てまくる。金儲け主義の姿は現代のアメリカそのもの。
 異なる考え方の兄弟の姿を通して、古き伝統を守ろうとする保守思想と古い物を壊して新しい物を生み出そうとする価値観の対立が見える。しかし、作り手の意図は明らかに前者の古き伝統を守ることに重きを置いている。
 とくにロデオと言っても色々な競技があり、こんなロデオ競技もあるのか、ヘェ~!と驚ろきの連続。数々のロデオ競技がサム・ペキンパー監督のお得意のスローモーション撮影で描かれているシーンは監督の想いが観ている側に伝わってくる。
 兄弟の考え方は両方ともアメリカという国を端的に表わしているが、父のエースの一攫千金の考え方もアメリカ人過ぎて笑える。同じ家族なのに、これだけ考え方が異なるとは流石は自由な考え方ができるアメリカ人だと納得した。

 そしてアメリカ人の愛国心がバリバリ伝わってくるシーンが多々ある。パレードのシーンにおける登場人物、酒場における国歌が流れてくるシーンなどなど。いや~本当に自分の国の良い事も悪い事も包み込んで愛するって本当に素晴らしい。まさかアメリカの西部劇から愛国心の素晴らしさを感じるなど夢にも思わなかった

 現代アメリカ社会に対する警告、予見をしている?といった深読みも可能だし、ノスタルジックな雰囲気に良い気分になれるし、とにかく主人公の最後に取った選択は日本人が観ていても妙に納得できる。ちょっと人生の世渡りに不器用な主人公を描いたジュニア・ボナー 華麗なる挑戦は、人生でオカネより大切な物があるのか無いのか迷っている人にお勧めしたい映画です

ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦 [DVD]
ジェブ・ローズブルック
角川映画


 監督はバイオレンス映画の巨匠として名高いサム・ペキンパー。個人的には大好きな監督で、好きな作品が多数。
悪役オンリーの西部劇ワイルド・バンチはとにかく燃える映画でお勧め。他にかなり近い距離で撃ち合うゲッタウェイ、死体の首争奪戦ガルシアの首、戦争映画の傑作戦争のはらわた、ダスティン・ホフマンが凶悪人とヤケクソで戦うわらの犬など、ここに挙げた作品はバイオレンス映画として全部お勧め。
 バイオレンス控え目の作品として、今回のジュニア・ボナー 華麗なる挑戦の他にも砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラードはハートウォームな作品でお勧めです。

 主演は大スターのスティーブ・マックイーン。多くの名作に出演しています。同じサム・ペキンパー監督作品でゲッタウェイ、楽しい脱獄映画大脱走、同じく脱獄もので自由への執念を感じさせるパピヨン、賭博映画のシンシナティ・キッド、ちょっとオシャレな強奪映画華麗なる賭け、刑事映画のブリット、パニック映画の金字塔タワーリング・インフェルノなど、どれもお勧めなのでここに挙げた作品は全部観てください

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