褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 コントラクト・キラー(1990) 自暴自棄になっている主人公です

2024年12月30日 | 映画(か行)
 俺なんかは、人生やってられね~、なんて思って何もかもが面白くない時がある。競馬の馬券が全く的中しない時なんか毎回そのように思ってしまう。そんな時がずっと続くとストレスが溜まってついつい大食いに走ってしまう。そんな俺と同じく人生が嫌になってしまう主人公を描いたのが今回紹介する映画コントラクト・キラー。しかし、この主人公は俺よりもその度合いが深刻なのだが、その様子を見ていると何故か笑えてしまう。まあ、何か楽しいことが一つでもあれば生きていける。俺だってその週の競馬の馬券が外れても、また来週の競馬を楽しみに生きている。

 さて、誰でも自暴自棄になってしまうことがあるとは思うが、それでも生きていけると思えるストーリーの紹介を。
 フランス人のアンリ(ジャン=ピエール・レオ)はイギリスの水道局で働いている。そんな彼は友達もおらず、しゃべることも殆どない。唯一の趣味は自宅のアパートの屋上で飼っている花に水を与えていることぐらい。ある日のこと、アンリは上司に呼ばれて、解雇を宣告されてしまう。 
 すっかり落ち込んでしまったアンリは首吊りやガス自殺を試みるがなぜか上手くいかない。しかし、彼はコントラクト・キラー(雇われの殺し屋)の存在を知り、その事務所を訪ねて、自らに殺し屋を差し向けるように依頼する。
 アンリは住んでいるアパートの前にある酒場で殺し屋を待っていると、その店でバラを売っているマーガレット(マージー・クラーク)に一目惚れ。恋に落ちたアンリは再び生きる気力を取り戻すのだが、既に殺し屋はアンリに向けられていた・・・

 主人公に起きてる事は、かなり深刻なのと裏腹にかなり笑える。殺されるのを断ろうとして再度コントラクト・キラーの事務所を訪ねるも何時の間にやら壊されていたり、挙句の果てに強盗殺人犯の濡れ衣を着せられて警察からも逃亡する羽目になったりで、生きる気力を取り戻してからも笑える展開が続く。もちろん殺し屋もしつこく追いかけてくる。
 しかし、主人公のアンリを演じるジャン=ピエール・レオ(フランソワ・トリュフォー監督作品の常連の人)だが,終始無表情のままなのがシュールで笑えるし、セリフも主人公だけでなく他の人間も極端に少ないのだが、そのセリフの一つ一つを取ってみても独特の間があり笑わせる。何かと笑わせる展開が続くが、イギリスの階級社会に対して皮肉を効かせているのも見逃せないし、派手さの無いモノトーンな映像も見せるべき点として挙げておこう。
 台詞が少なくて、登場人物達が無表情。そして結構な出来事が起きているのにオフビートな作風、そしてアキ・カウリスマキ監督の作品と聞いて心が躍る人に今回はコントラクト・キラーをお勧めに挙げておこう

 監督は先述したフィンランドの俊英アキ・カウリスマキ。小津安二郎監督のような独特な作風が印象的。敗者三部作といわれる浮き雲過去のない男、そして個人的に大爆笑できたのがレニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ、そしてル・アーヴルの靴みがきなどがお勧め







 
 
 

 
 
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