今、闘病中という漫画家の赤塚不二夫さん。02年に倒れ、看病する奥さんにはこの夏先立たれ、辛い晩年を迎えていらっしゃる。いやご本人意識がないというから、酔生夢死の境地かも知れぬ。ヨボヨボになってても構わない、もう一度元気に現れて「これでいいのだ!」なんて言ってほしいものだ。
赤塚さんといえば酒だ。飲まなきゃいられないほどシャイなくせに、人恋しい寂しがりやだった。焼酎のウーロン割りを最後まで放せなかった。そして何処までもサービス精神の旺盛な方だった。作品も突然劇画調になったり、何社もの編集者が寄ってたかって自分たちで描いたりもして、これ全て読者を驚かせようというサービス精神だったと思う。
友人も何度か家へお邪魔し、すごい数の喜劇関係のビデオを見せられたという。古いビデオを見せて呑みながら、「これがいいんだよ、お前!」なんて言ってらしたそうな。
ある日、友人が氏を訪ねるというので、「チビ太のおでん、あの種類は何かを訊いてきてもらえない?」と言伝を頼んだ。
そうして、もらってきてくれたのがこの色紙。
何かの番組で紹介したかもしれないし、しなかったかもしれない。
チビ太のおでんは、上から「コンニャク、がんも、ナルト」だった。ナルトというのがどうにも引っかかったが、よく見りゃああそうか、横に線が入ってる絵を何度も見た覚えがある。
安い、それこそ屋台で売りに来るようなおでんには、ナルトを斜めに切ったようなのが入っていたのだろう。濃い醤油味がしっかり滲みたナルトなら、それなりに食えるかもしれない。
木村伊兵衛の写真で、下町に売りに来るおでんの屋台に群がる子供の中にチビ太そっくりなのを見つけ、ああ、赤塚さんが見てたのもこの世界なのだなと思った。
普通サインを求めると、バカボンのパパを描かれた。「お前さぁ、簡単そうにいうけど、チビ太は意外と難しいんだから…」と面倒くさがりながらも、鉛筆で下書きまでして描いてくれたのが、この一枚。
ああ、オレも厚かましくお宅に押しかけりゃよかった・・・。
下積み時代のタモリが居候していたことでも有名。
この色紙は貴重ですねぇ。
下書きペン入れした色紙なんてそこらにあるもんじゃないよね。
一番下がちくわぶぢゃなくってよかった。
関西人にとって信じられない、うどん粉の塊りを
ちくわに似せた姿にしてある「ちくわぶ」。
きょうびこの境界線もなくなってきましてね、
大阪のスーパーでもちくわぶ、割と売られてます。
ナルトかちくわぶか…というと、私ならちくわぶ選ぶかもね。
あれはあれで、濃口醤油をきかせたおでんだしでグズグズになる一歩手前まで煮込むと、ま、それなりに食えるものです。
うどんのような団子の味、おでんの出汁がしみると旨いですよね。ボクは浪花っ子ですが「ちくわぶ」を初めて食べた時は新鮮でしたね。東京の濃い目のダシの「おでん」には合う、合う、ってな感じですわ。
ちなみに宇野重吉さんの息子さん、〝ルビーの指輪さん〟が「ちくわぶ」大好きでっせ、「くわぶがないとおでんじゃない」って関西テレビの某番組、おでん特集のゲストの時にしみじみ語ってられていたのを思いだしました。
ちくわぶがきらいというわけではなくって、チビ太のおでんの最下段がちくわぶだったら、あれは関東限定の漫画になってしまうとおもったのでした。
うちのおでんにも、最近はちくわぶが入ります。