昨日、最終回を迎えたばかりのシリーズの番外編である
ミスした私は、行く先々で (売り場、バック、プラットホームを巡る途中) ありと、あらゆる人々に声を掛けられ、慰められた。
最初は、ほぼ、同時に『未発注』と悟った西村チーフ。
「荷物が入ってこない方が、副店長が発注しやすいじゃないですか 」
「とにかく、今日は、平常心で仕事をして下さい!」
今、思い出しても、泣けてくる。
だが、(荷物がこない、荷物がこない、荷物が・・・水曜日までこないっ) まるで、呪いの呪文を唱えるかのように、『荷物が来ない』というセリフが、 頭の中で、堂々巡りをした。
次は、つばめ君。
プラットホームで出会ってからというもの、めったに話しかけてこない彼が、 声を掛け(コケコッコ)、仕事しにくいのでは?と、気に掛けてくれた。
店長も、明らかに この日、私に気を配っていた。
「次は何をしようと思っているのですか?」
・・・だなんて、私が ふらふらとハイジ化し、自分で自分が何をしているのか 分かっていないようだと、案じたからであろう。
あとになって、店長の意図に気付くものの、
「定番商品がはいってこない」 という事実は、(クリスマス前は、お客さんいっぱいで、売れまくるかも~)という、将来に対する明るい展望を一瞬にして奪い去ったのだ。
元気が出る筈もない。
「気にせんでええ」
と、三回繰り返した川石さん。
「社員はカップラーメンは買わないで!お客様用に、とっておいて~」 という私に、
「まあ、そう、気にしなさんな。失敗は誰にでもある!」
と、慰めてくれた高田さん。
「乾物の棚は、いっぱいに埋まってるから、大丈夫!足りる、足りる!」
と、私を安心させようとしてくれた、矢木さん。
ざっと数えただけでも、総勢6名である。
しかし・・・。
どの方の、どの慰めの言葉にも、私は元気がでなかった。
そして・・・。
とことん落ち込んだまま、 フランクフルトのハイジ化したまま、 コーヒーを荷出ししていたハマグリ君に会ったのだ。
「俺は馬鹿です」
常日頃、彼は自分で、こう言っている。
ある日、南副店長は、
「俺、お前は馬鹿な振りしてるだけかと思ったら、ホントに馬鹿だった」
と言っていた。
「いいか? 面接で『日本の首相は?』と聞かれたら、『小泉さん』って答えるんじゃないぞ! 今は、あ・べ・さんだからな 何か、分からない事を聞かれたら、むやみに答えるんじゃない 『分かりません』と言え 墓穴を掘るより、そのほうがいいぞ」
面接試験の為の準備講座らしいが、なんちゅうアドバイス・・・。
また、ある時は、 西村チーフも、パソコンの前で発注操作を説明しながら、
「お前、ホントに分かったんか 一回、聞いて覚える奴おらんぞ! 5回も聞く人もいるからな」
と、ハマグリ君をケナシテ?いた。
勿論、これらは すべて、上司のジョーク。
ご愛嬌。
そして、ただ、何となく、 たわいない御喋りをし、 特別、真剣に悩みを聞くでもなく、 慰めるでもなく、 むしろ、 恐ろしいことが待ち受けているかのような話をして聞かせ・・・
(例えば、副店長は首根っこを掴んで・・うんぬん)
思いっきり笑わせ、 気が付いたら、いつの間にか、 元気になっちゃってたあ~
うそお~ ・・・という具合に、谷底からぴょ~ンと、空まで舞い上がるかのごとく、 あらら、元気になっちゃってたわ、 笑えるし、 楽しめるし、 仕事も普段通りできそうな気分に知らない間に なってしまっているのである!
こんな風に、周囲を笑わせ、元気にするのが、彼のキャラなのである。
恐ろしい話をし、余計に落ち込ませるようで・・・ 実は、無条件に元気になってました!
その後の私は、普段通り、他のスタッフと話ができたし・・・。
すべて、結果オーライ。
こんな すごい才能を持つ彼を天才と呼ばず、なんと言おうか
ありがとう、ハマグリ君。
君こそ お笑いの・・・ あるいは、落ち込んだ人を復活させる天才だ。
グロッサリーの他のスタッフ誰一人、私を立ち直らせることが出来なかったというのに。
君は、特別な努力なしに、 ごく自然体で偉業を成し遂げるとは・・・。
これを天才と言わず、なんと言おうか?
感謝
最後に・・・。
特筆すべき事実は・・・
ホントの馬鹿は、私です。