今朝は、豆腐のおばあちゃんが訳あって辞めた為、しかも、竹輪担当の花岡さんが休みの為、仕事の量は、たっぷり目だった・・・。
矢木さんは豆腐、末永さんは竹輪蒲鉾類、岸辺さんは牛乳、私はヨーグルト、デザート類をそれぞれ真面目に荷出しした。
こんなに真面目に仕事をするのは、久々のような気がするのは、何故だろう・・・?
今朝、仕事に来ている社員は南副店長だ。
いつもなら、「開店10分前」
次に、「開店5分前」
の二回、店内放送があるのだが、今朝は、恐らく忘れていたのだろう。
「開店3分前・・・」
という、副店長の店内放送が聞こえてきた時、
「ええ~っつ!? 3分前・・・」
という、矢木さんの大きな声が聞こえてきた。
そして、3分後の9時・・・。
「只今より、開店致します!」の店内放送の時間だ。
ところが・・・。
「只今より開店して・・・宜しいでしょーか!?」
という、副店長の哀願するような声が店内放送で聞こえてきた。
「駄目です って言ったら、どうなるんかね?」
矢木さんは、面白そうに言う。
さあ・・・・?お一つ、お試しになられては、いかがでしょうか、矢木さま。
結局は、多少、バタついていたものの、いつものように、店は開店した。
Welcome custmers!!! (いらっしゃいませ!)
さて、今日も一日、無事に仕事を終え、4人揃って上がり!である。
かしまし娘の先輩方3人は、今日、マネキンさんが店内で試食を勧めている「キムタクのカレーパン」 が、どのような味なのか、気になるらしい。
試食しよう、帰りに試食!!!
と、三人の内の誰かが言い出し、文字通り、試食を狙っていた。
キムタクのカレーパンの話で盛り上がる三人娘(注意:特に、矢木さんと岸辺さん)は、自分達の話が精肉の江原チーフに聞かれていることに、最初は気付いていなかった。
「あっつ!チーフ、お疲れ様です!」
やっと、江原チーフに気付いた矢木さんは、 「新発売のカレーパンって・・・?」
と、聞くチーフに説明を始めた。
チーフと別れた後、
野菜の陳列棚の横を通る・・・。
そわそわ・・・どきどき・・・ルンルン
これが、かしまし娘の心境のはずだ。
広場に来た。
そこでは、副店長が次なる売り場作りをしている。
「副店長、お疲れ様でした!」
「はい、お疲れ様」
そして、副店長の先には・・・。
いよいよ、その瞬間が来た!
マネキンさんの真横を通りすぎる瞬間が!
縦一列になり、
私は、一番うしろから、 おとなしく ついていった。
先頭は私の予想に反して、立ち止まらず、横目に試食のカレーパンをちらっと見ながら、通り過ぎていく・・・。
あれれ!?あれ~ あんなに待ち望んだキムタクのカレーパンの試食のチャンス到来なのに、いいの?通りすぎちゃって・・・。
まっ、私はいいけれど。
縦一列の順番は、最初は、こう・・・ (矢木さん、岸辺さん、末永さん、私) だった筈なのに、試食コーナーを通り過ぎた後は、何故か、
順序が大幅に入れ替わっていた。すなわち、私が先頭で、その後に、末永さんが続き、ず~っと遠く離れた所に、岸辺さんと矢木さんが立っている。
試食用カレーパンの皿に二人の視線が注がれたまま、時間が停止していたのだった。
一度は、通り過ぎたものの、やはり、未練があるらしい。
「どうしよう・・・。試食用のパン、3つしかないよ!」
これは、一大事!といった調子で岸辺さんが悩んでいる。
その先には、副店長と精肉のチーフがいて、二人で談笑しながら岸辺さんを注視している!
間違いなく、お二人の談笑の話題は「キムタクカレーパンを試食するか悩むグロッサリー女史」についてであろう。
グロッサリーの乙女達は今、4人居るのに、試食用のパンは3つしかなくて、一つ足りない!
この悩みを解決してくれたのは、マネキンさんだった。
「今、お切りしますよ!」
素早くカレーパンを新たに袋から取り出し、4つ切りにしてくれた。
「鈴木さんも、もらいなさい!」
長~い つまようじ (注意:普通サイズより、ずっと大き目!)に4分の1にカットされたキムタクカレーパンを刺し、再び縦一列になって、休憩室へと進んでいった。
キムタクカレーパンを大事そうに自分の胸元辺りに掲げ、すごすごと清楚に歩く私達4人の姿は、聖夜のミサに出席する為、キャンドルを持って教会へ向うクリスチャンの姿と重なる。
並び方と順序は、元に戻り、先頭は再び 矢木さん、岸辺さん、末永さん、私が最後となった。
その場で試食せず、二階の休憩室まで持っていくところがいい。
教会への聖なる扉・・・じゃなかった 休憩室の扉を開けた瞬間、
私達は、昼食をとっていた全スタッフの注目の的となった!
(・・・以下、略。もっと、居たかも?)
「あっ・・・あんた達、何、大事そうに持ってるの」
き・・・キムタクカレーパン・・・
日曜日は、ミサの日。
たまには、こんなミサがあってもいい・・・?
クリスチャンの皆様、ごめんなさい。