お店が開店すると、 何やら 入り口付近で、「ごおおおおおつつつつつつ・・・・・」 という何かが押し寄せて来る殺気を感じた。
闘牛化したお客様の群れだ
中には、よたよたとした足取りの方もいらっしゃる。
どうか、転ばないようにお気をつけ下さい!
大半のお客様の目的は、特売の砂糖のようだ。
「砂糖は?」と、数十回、お尋ねがあった。
売り場中央通路に『特設コーナー』があり、 そこに砂糖も てんこ盛りにされている。
ハマグリ君が砂糖を台車に乗せ、行き来している姿を何度かお見かけした。
そのたびに、ハマグリ君 目がけて殺到する 主に老男老女の群れ。
ハマグリ君って、こんなに人気者だったんだ。
「押さないで下さいっ!サインは後でね、サインは」
とでも言いたげな表情のハマグリ君である。(?)
その間、私は漬け物を出していたのだが、矢木さんと岸辺さんが手つだってくれたので、早く終了。
定番商品のカップラーメンを荷出ししていると、冷凍食品も入荷された。
「冷凍食品、きたよ~」
という、岸辺さんの呼びかけに反応し、私とハマグリ君、そして普段、見慣れない夜間バイトの男の子が冷凍食品の荷出しを開始。
「今日のお客さん、殺気だってるね! さっき、荷台を引っ張ってたら、偶然、お客さんの肩に触れたんよ。『すみません』って謝ったら、その人、自分の肩を手で 『振り払った』のよ!」
「ええ~ そんな、ばい菌じゃ、あるまいし。『お払い』しなくたって・・・。すごい人がいるもんですね。いやだな~」
通りかかった店長が、スタッフの一人に指示を出した。
「特売のジュース、底上げして!」
冷凍食品を出し終え、定番商品を出していると、 再び通りかかった店長が、お城納豆を6ケース引っ張ってきた。
「あっ、鈴木さん、納豆なくなったから、出してくれる?」
えっ?開店して2時間で、納豆がなくなった
あんなに今朝、たくさん出したのに。 バックへ行くと、 岸辺さんと矢木さんが、闘牛客の話題で談笑していた。
すなわち、お払いの話題。
ここで働き始めてから、こんなにバタつくのは、初めてだ。 皆、疲れて見える。
その時、私は、店長の 呟きを聞き逃さなかった。
「ふうっ・・・。タバコ吸いたい・・・」
タバコは諦め?いったん、深呼吸した店長は、バンと、私が運んでる途中の荷物をたたき、
「よし!ハマグリ、お前、カゴに行け」
と、闘牛士のような風格で指示を出した。
一度は疲労感漂う雰囲気に包まれたグロッサリーの控え室(??バックのことね)だったが、 店長の一言で、 スタッフは再び、闘牛祭モードである。
店長に指名を受けたハマグリ君が、先頭を切って、売り場へと突進して行った・・・。
ご健闘をお祈りします!