汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 掌

2011年01月05日 | 初期中期の詩
すれ違う想い 香ばしいパンの香りが
この部屋の中にとぐろを巻いている
幽かな空間の微動を感じ取り
怯えている少女
その手には幾つもの時代の亡骸達がひしめいている

確かなものを追い求めている男
その後ろから追従する女の情念
そのどれもが静謐に心を鎮めながら
また一つ 時間は未来への脚を伸ばしていく

老いぼれた言葉は 明らかな欺瞞に満ちている
闇にまどろむ後悔を背中に乗せて
あらゆる臆病は 視界の中で乱舞している

薄れていく記憶
かじかんだ掌が感じる 遥か遠くの温かさ
視界は紅一点を求めて 旅を始める

憶病な女が 刃物を手に取るとき
津波は 街を呑みこみ 悪魔が哄笑する
それは安らぎを忘れた女の執念



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