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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

脳の溝の形成過程の謎

2016-02-13 08:30:42 | 研究
大人の人間の脳を、しわしわのクルミの実のような外見にしている深い溝は、大型で強力な処理装置を小さな頭蓋骨の中に収めるための自然の解決策だったとする研究論文が発表されたそうです(AFPBB NEWS)。これまで、大脳皮質や灰白質と呼ばれる脳の外層に溝が存在する理由は以前から判明していた一方で、その形成の仕組みは謎だったそうです。この溝(脳溝)の形成が物理現象で説明できるそうです。大脳皮質の溝は、胎児の脳が成長するにつれて、複数の弱い箇所にゆがみが生じることによって発生するそうです。人間の胎児の脳は、最初は溝がなく滑らかな状態で、受精後20週頃から溝の形成が始まり、子どもが月齢約18か月になるまで続くそうです。脳溝構造を成す大脳皮質の表面積は、人間の頭と同じ大きさの、脳溝のない脳の表面積の3倍近くに及ぶそうです。大脳皮質として知られる灰白質は、下部の白質に比べて、脳の成長期に神経細胞の数、大きさ、形状、位置が全て相まって急激な膨張を起こし、これにより大脳皮質が圧迫されることで、力学的不安定性が引き起こされ、それが原因で脳に局所的に溝が生じるそうです。
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