このエントリは、展覧会の内容に感服して書くのではなく、その性質がおもしろいという理由でアップするので、あるいは関係者には失礼に当たるかもしれませんが、ご容赦願います。
会場でいただいたプリントによると、国際現代美術家協会(i.m.a.)は、1981年に創立され、86年に全国公募の団体展となったそうです。母体は、62年に発会した神奈川県美術家協会とのこと。神奈川協会の旗揚げには、有島生馬、土方定一、里見勝蔵といった顔ぶれが名を連ねています。同協会が20回記念展の際、フランスのソシエテ・ナショナル・デ・ボザールの作家を迎えて展示するとともに、会員がパリ・グランパレ美術館で開かれた展覧会に出品したのを機に、県展に国際部が誕生し、国際現代美術家協会につながったとのことです。
したがって、会の名称には「現代美術家」とありますが、実際に展示されているのは現代美術ではなく、具象の絵画が大半で、ステンドグラスのあかりなどもありました。
大同ギャラリーでは、下のフロアにフランスなど海外勢が、上のフロアに国内勢が展示されていました。海外勢は30号程度、国内勢は10号前後の絵が多いです。
両フロアを通じて筆者が知っていたのは、下のフロアの赤木曠児郎さん(油彩)と、上の階の渡辺節代さん(同)だけでした。
赤木さんは1934年生まれ。戦前から続くパリ在住の日本人画家コミュニティの、最終世代にあたる人ではないかと思います。出品作は朱色の線を使ってパリの古い建築を描いた、印象深い1点でした。
渡辺さんは先日、おなじギャラリーでステンドグラス教室展をひらいていました。絵筆も執るようです。
さて、この展覧会のどこがおもしろいのか?
それは、「日本の団体公募展芸術」の「国際版」を見ることができた、というところが興味深いのです。
日本の美術界は「現代アート系」と「団体公募展」に大きく分かれ、作家もジャーナリズムもギャラリーも、相互の交流はあまりありません。(ここでは、団体展に所属せず百貨店や「一枚の絵」などを活動の舞台にしている美術家も「団体公募展」系に含めます)
「現代アート系」のほうは、海外の情勢が逐一紹介されるし、日本の作家が国際美術展で発表する機会も多いのですが、「団体公募展」系の作家は戦後、国外との行き来が少なくなっています。
百貨店以外で、現代アート系以外の画家や彫刻家の作品を見る機会は、めったにないのが現状です(2006年、和田義彦画伯=爆=による盗作騒動がありましたが、その背景には、海外から紹介される情報が現代アート系に偏っている事情があるのです)。
極論すれば、「現代アート」と「公募団体系」のちがいは、作品の内容というよりも、前者が世界につながっていて、後者が国内で完結していることにあるということすらできるでしょう。
というわけなので、ともすれば、欧米では先鋭な現代アートが主流で、日本の団体公募展のような美術は存在しないかのように思われがちなのですが、決してそんなことはなく、団体公募展的な絵(ふつうの絵、と言い換えてもいい)もちゃんと制作されているのだ-ということがわかる貴重な機会が、この「i.m.a.」展といえるのです。
2009年2月19日(木)-23日(月)10:00-18:00
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A)
□http://homepage3.nifty.com/ima-1981/
会場でいただいたプリントによると、国際現代美術家協会(i.m.a.)は、1981年に創立され、86年に全国公募の団体展となったそうです。母体は、62年に発会した神奈川県美術家協会とのこと。神奈川協会の旗揚げには、有島生馬、土方定一、里見勝蔵といった顔ぶれが名を連ねています。同協会が20回記念展の際、フランスのソシエテ・ナショナル・デ・ボザールの作家を迎えて展示するとともに、会員がパリ・グランパレ美術館で開かれた展覧会に出品したのを機に、県展に国際部が誕生し、国際現代美術家協会につながったとのことです。
したがって、会の名称には「現代美術家」とありますが、実際に展示されているのは現代美術ではなく、具象の絵画が大半で、ステンドグラスのあかりなどもありました。
大同ギャラリーでは、下のフロアにフランスなど海外勢が、上のフロアに国内勢が展示されていました。海外勢は30号程度、国内勢は10号前後の絵が多いです。
両フロアを通じて筆者が知っていたのは、下のフロアの赤木曠児郎さん(油彩)と、上の階の渡辺節代さん(同)だけでした。
赤木さんは1934年生まれ。戦前から続くパリ在住の日本人画家コミュニティの、最終世代にあたる人ではないかと思います。出品作は朱色の線を使ってパリの古い建築を描いた、印象深い1点でした。
渡辺さんは先日、おなじギャラリーでステンドグラス教室展をひらいていました。絵筆も執るようです。
さて、この展覧会のどこがおもしろいのか?
それは、「日本の団体公募展芸術」の「国際版」を見ることができた、というところが興味深いのです。
日本の美術界は「現代アート系」と「団体公募展」に大きく分かれ、作家もジャーナリズムもギャラリーも、相互の交流はあまりありません。(ここでは、団体展に所属せず百貨店や「一枚の絵」などを活動の舞台にしている美術家も「団体公募展」系に含めます)
「現代アート系」のほうは、海外の情勢が逐一紹介されるし、日本の作家が国際美術展で発表する機会も多いのですが、「団体公募展」系の作家は戦後、国外との行き来が少なくなっています。
百貨店以外で、現代アート系以外の画家や彫刻家の作品を見る機会は、めったにないのが現状です(2006年、和田義彦画伯=爆=による盗作騒動がありましたが、その背景には、海外から紹介される情報が現代アート系に偏っている事情があるのです)。
極論すれば、「現代アート」と「公募団体系」のちがいは、作品の内容というよりも、前者が世界につながっていて、後者が国内で完結していることにあるということすらできるでしょう。
というわけなので、ともすれば、欧米では先鋭な現代アートが主流で、日本の団体公募展のような美術は存在しないかのように思われがちなのですが、決してそんなことはなく、団体公募展的な絵(ふつうの絵、と言い換えてもいい)もちゃんと制作されているのだ-ということがわかる貴重な機会が、この「i.m.a.」展といえるのです。
2009年2月19日(木)-23日(月)10:00-18:00
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A)
□http://homepage3.nifty.com/ima-1981/
当時私は29歳と若かったのですよ。たった一度の出品でしたがよく覚えております。
どんな作品で受賞したかというと、私のサイト内のWORKSの中の「封彩の構造88-2」です。
なつかしいですわ。
好き好きの問題かもしれませんが、すくなくとも今回の札幌の展覧会を見る限り、なんのために後発の団体公募展を立ち上げたのかよくわからない内容でした。