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■無自覚なシマウマたち 札幌市立大学デザイン学部藤沢レオ研究室 (2025年2月19~23日、札幌)

2025年02月23日 12時22分38秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 会場の入り口でりっぱなリーフレットを受け取りました。
 そこにはステートメントとおぼしき文章が書いてありました。

世の中を「白く」整えようとする試みは、一見美しく
穏やかに見えるかもしれないが、
実際にはその白さが黒い部分を隠し、
より陰湿にさせているのではないだろうか。

(中略)

白か黒かに分けるのではなく、
曖昧な「グレーゾーン」を認めることに意義がある。
表に出ることで救われるものや、個性として輝くものがあり、
それこそが人間らしい豊かさを生む鍵ではないだろうか。

(強調は原文のまま。以下略)


 中を開くと12人のローマ字名と作品の題が記され、それぞれ短い文章が附されています。

 
 おそらく作品が先ではなく、ステートメントのほうが先にあり、それに沿ってインスタレーションや立体造形をつくったものと思われます。自作の詩を印字していた人、写真をびっしりと壁に貼り付けている人もいました。
 
 冒頭と2枚めの画像は、参加者が、淡墨と濃い墨の墨汁を、空中につるしてある紙に垂らしていく、参加型作品です。
 紙の上に広がる墨痕は日々変化していくのでしょう。
 
 
 コンセプトが先にあるのだとしたら、会場の統一感も納得できます。
 
 画像で見れば分かるとおり、ここには有彩色が少ししかありません。
  
 
 ただ、学生の作品に文句をいうのも大人げないかもしれませんが、なまじ出来栄えが良いので、あえて言わせてもらいますね。
 皆さん、生まじめなんだよな。グレーが大事というわりには。

 ステートメントでグレーゾーンの大切さについて述べているのは、筆者も合意します。ただそれは、現代社会を比喩的に説明しているのであり、それをそのまま受け取って、白と黒と灰色について考察し作品にしても、禁欲的でスタイリッシュな美しさは表現できても、実社会のグレーさには接近してゆかないんですよね。
 これからさまざまな経験を積み視野を広げ、思考をやわらかくしていけば、作品の幅も広がっていくのだと思います。期待しています。
 
 
2025年2月19日(TUEママ)~23日(日)午前10時~午後5時(最終日~3時)
コンチネンタルギャラリー(札幌市中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)



・地下鉄東西線「西11丁目駅」2番出口からコンチネンタルビル入り口まで徒歩1分
・市電「中央区役所前」からすぐ

・じょうてつバス、ジェイ・アール北海道バス「西11丁目駅前」から約50~250メートル、徒歩1~4分

・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「北1条西12丁目」から約490~570メートル、徒歩7分
(手稲方面行きのバス全便が止まります。小樽、岩内行きの都市間高速バスも利用できます)


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