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「Kit_A」名義で、ロードコーンを主題にしたさまざまな作品を長年制作・発表し続けている札幌の北さんの個展。
ロードコーンとは、工事現場などで置かれているカラフルな(赤の単色が多い)三角錐の物体です。幅広い場面で活用され、通行する人に注意を促しているわりには、主役として注目されることはほとんどありません。
単にロードコーンの形状や素材、色を絵画や写真のテーマにしているというだけではなく、それをひとつのきっかけとして、人間や社会まで考察を広げているところにKit_A さんの営為の意味があるのだと、筆者は思います。
なので、ギャラリー空間よりも、カフェ翼のほうが、筆者には興味深いのです。
カフェ側には、ロードコーンと一緒に写真を撮らせてほしいーと声をかけて個展会場などで撮影した膨大な写真が、壁一面に並んでいます。
その数、延べおよそ1800人!
このブログの読者にも写っている人がおそらくおられることでしょう。Kit_Aさんは撮影用にミニチュアのロードコーンをいつも持ち歩いているようです。
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こちらは、インスタグラムにアップした、データつき画像。
Instagram の正方形に合わせて、なるべく写っている人のイメージが大きくなればと、45度傾けてシャッターを押した画像が多くなっています。
個展会場でKit_Aさんと話しているとき、当然のように? 話題は、北海道を拠点とする現代アート作家のひとり藤木正則さんのことになりました。
これは偶然ですが、Kit_Aさんが一番最初に500m美術館で写真を撮ったとき、そこに藤木さんが写っていたそうです。
藤木さんは、国内でもかなり早い時期から「行為」を主題にしてきたアーティストで、会った人に名刺を渡してもらったときの写真を撮り続け、それを『行為 名刺交換』(現代企画室)という書籍にまとめているほどです。
藤木さんとKit_Aさんの違いは、藤木さんが「一期一会」なのに対し、Kit_Aさんのインスタには何度も登場している人がけっこういることと、これは時代の差もありますが SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)を活用していることでしょう。
とはいえ、「人との関係性」に焦点を置いたアートとしての共通点が感じられますし、Kit_Aさんの積み上げてきたものの大きさをあらためて実感することになりました。
さて、会場のもう半分を占めていたプリント作品群は、これまでKit_Aさんが路上などで撮りためてきたロードコーンの膨大な写真のデータを大量に重ね合わせて、1枚限りのイメージとは相当に異なる画像をつくりあげたものです。
フィルム時代でしたら、これだけのフィルムを重ね合わせるのは物理的に困難なので、デジタルならではの作品だと感じました。
デジタルの場合も露出などで苦労はあるようですが…。
中央にぽつんと置かれた金色のロードコーンが、恰好のアクセントになっています。
これは、会場を訪れた人たちの撮影用としても会期中に使用されていました。
こちらの2枚は、コロナ禍の最中に、花見の名所・円山公園(札幌)で撮影されたもの。
北海道の花見といえばつきもののジンギスカンもこのときは禁止されており、この2枚のイメージは、コミュニケーションそのものよりも、コミュニケーションの不全を暗示した作品になっているといえそうで、目を引きました。
会場ではほかに、廃ロードコーンを融解させて作ったアクセサリーなども展示されていました。
会期中に間に合わず、アップが遅れてすみません。
2025年1月22日(水)~2月2日(日)午前10時~午後6時、火曜休み
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)
Instagram : @kit_a
Twitter (X) : @yellow_sky_t
http://roadcone2014.blogspot.com/
過去の関連記事へのリンク
■札幌のアーティスト50人展2024 vol.1 夏展「はこ」
■第2回 朝里川 桜咲く現代アート展 (2022)
■第6回500m美術館賞 阿児つばさ/T Kit_A (2018)
■ ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
Kit_A「ROADCONE WITH…」 (2014)
■Kit_A(a.k.a. KITA YOSHIKI) Speech Balloon (2013)
ロードコーンとは、工事現場などで置かれているカラフルな(赤の単色が多い)三角錐の物体です。幅広い場面で活用され、通行する人に注意を促しているわりには、主役として注目されることはほとんどありません。
単にロードコーンの形状や素材、色を絵画や写真のテーマにしているというだけではなく、それをひとつのきっかけとして、人間や社会まで考察を広げているところにKit_A さんの営為の意味があるのだと、筆者は思います。
なので、ギャラリー空間よりも、カフェ翼のほうが、筆者には興味深いのです。
カフェ側には、ロードコーンと一緒に写真を撮らせてほしいーと声をかけて個展会場などで撮影した膨大な写真が、壁一面に並んでいます。
その数、延べおよそ1800人!
このブログの読者にも写っている人がおそらくおられることでしょう。Kit_Aさんは撮影用にミニチュアのロードコーンをいつも持ち歩いているようです。

こちらは、インスタグラムにアップした、データつき画像。
Instagram の正方形に合わせて、なるべく写っている人のイメージが大きくなればと、45度傾けてシャッターを押した画像が多くなっています。
個展会場でKit_Aさんと話しているとき、当然のように? 話題は、北海道を拠点とする現代アート作家のひとり藤木正則さんのことになりました。
これは偶然ですが、Kit_Aさんが一番最初に500m美術館で写真を撮ったとき、そこに藤木さんが写っていたそうです。
藤木さんは、国内でもかなり早い時期から「行為」を主題にしてきたアーティストで、会った人に名刺を渡してもらったときの写真を撮り続け、それを『行為 名刺交換』(現代企画室)という書籍にまとめているほどです。
藤木さんとKit_Aさんの違いは、藤木さんが「一期一会」なのに対し、Kit_Aさんのインスタには何度も登場している人がけっこういることと、これは時代の差もありますが SNS(ソーシャルネットワーク・サービス)を活用していることでしょう。
とはいえ、「人との関係性」に焦点を置いたアートとしての共通点が感じられますし、Kit_Aさんの積み上げてきたものの大きさをあらためて実感することになりました。
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フィルム時代でしたら、これだけのフィルムを重ね合わせるのは物理的に困難なので、デジタルならではの作品だと感じました。
デジタルの場合も露出などで苦労はあるようですが…。
中央にぽつんと置かれた金色のロードコーンが、恰好のアクセントになっています。
これは、会場を訪れた人たちの撮影用としても会期中に使用されていました。
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こちらの2枚は、コロナ禍の最中に、花見の名所・円山公園(札幌)で撮影されたもの。
北海道の花見といえばつきもののジンギスカンもこのときは禁止されており、この2枚のイメージは、コミュニケーションそのものよりも、コミュニケーションの不全を暗示した作品になっているといえそうで、目を引きました。
会場ではほかに、廃ロードコーンを融解させて作ったアクセサリーなども展示されていました。
会期中に間に合わず、アップが遅れてすみません。
2025年1月22日(水)~2月2日(日)午前10時~午後6時、火曜休み
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)
Instagram : @kit_a
Twitter (X) : @yellow_sky_t
http://roadcone2014.blogspot.com/
過去の関連記事へのリンク
■札幌のアーティスト50人展2024 vol.1 夏展「はこ」
■第2回 朝里川 桜咲く現代アート展 (2022)
■第6回500m美術館賞 阿児つばさ/T Kit_A (2018)
■ ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
Kit_A「ROADCONE WITH…」 (2014)
■Kit_A(a.k.a. KITA YOSHIKI) Speech Balloon (2013)