北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■メラニー・ヴィンドル (2016年3月25~28日)/ジン・ハオファン(Jin Haofan)=3月20~30日、札幌

2016年03月28日 14時02分24秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(画像は3月28日追加します)

 3月27日、SIAFラボと札幌国際芸術祭関連の行事のため、札幌市資料館を訪れた。その話は、後述する。

 いろいろなフライヤーをもらったが、その中に「さっぽろ天神山アートスタジオで開催中の展覧会」という紙があった。会期の項を見ると、片方が3月25日(金)~28日とある。
 げっ、あしたまでじゃん!

 天神山アートスタジオのアート・イン・レジデンス・ディレクター小田井真美さんにそのことを話すと、あす来てみたらと言われたので、午前11時半にうかがいます、ということに落ち着いた。

 天神山アートスタジオで開かれているのは、次の二つ。

“Good Night,Idiot”(おやすみ、おばかちゃん。) 金浩釩 ジン・ハオファン(Jin Haofan) ※釩は、かねへんに凡
=3月20日(日)~30日(水)午前9時~午後9時

“A Study on Yohaku-no-bi, audio visual Installation for a tea house” メラニー・ヴィンドル(Melanie Windl)
=3月25日(金)~28日(月)午前9時~午後9時


 ジン・ハオファンさんは、香港に近い深圳(しんせん。圳はつちへんに川)のアートセンターから派遣されてきた画家。深圳市は、経済特区に指定されて、広東省でも屈指の経済都市として知られる。
 画家は1月5日から4月2日まで滞在。最初は、まったく絵筆を執る気配がなかったそうなのだが、今月に入ってからやおらアクリル絵の具で描き始めたという。大きな作品は、A4ぐらいの普通のサイズの水彩紙をつなげている。
 「These Days I」などは、つららが描かれていたり、人の顔のまゆげに雪が積もっていたりして、冬の札幌の印象が反映されている。
 一方、「Idiot」などは、人間に対する不信というか皮肉というかわからないが、画家の心性をおおまかな筆遣いが反映しているようだ。

 それにしても、この会場でペインティングは珍しい。


  Windlさんはドイツのサウンドアーティストで、作品名の和訳は
「余白の美について 茶室のためのオーディオヴィジュアルインスタレーション」
となっている。
 天神山アートスタジオに、あまり使われていない茶室があることに目をつけて、シンプルな作品を設置した。「余白の美」が英文でも「Yohaku-no-bi」となっているのがおもしろい。日本らしい概念なのだろうか。
 見ていたら、作家が現れ、コンセプトの解説をしてくれた(が、英語なので、半分ぐらいわからない)。
 彼女は3月13~30日に滞在の由。

 一つめの部屋では、水の音と琴の音色によるサウンドが流れる。
 これは、余白の多い日本絵画のイメージ(水墨画などだろうか)に共通するものがある。

 二つめの部屋では、床の間に、掛け軸のかわりに、プロジェクターで植物が揺れる映像が投影される。植物は赤や白に明滅を繰り返す。
 このアートスタジオの周辺にあった植物とのことで、何という種類か尋ねたが、名前はわからないとのこと。しかし、小田井さんと話しているうちに、竹の近縁種のようだということに思い至り、どうやら「ササ」らしいということに落ち着いた。この場にはふさわしいようだ。

 最後の部屋には、細い木の枝を白く塗って、天井からつり下げるというインスタレーションを設置。
 枝ぶりは、書道の線が念頭にあったという。
 「集中して紙に向き合い、一気に仕上げるのは、すばらしい」
というようなことを話していた(ような気がする)。

 最後に彼女は、現代アートは理解できないと言って敬遠している人が多いが、感じるままに見てくれれば、というふうに語ったあとで
「でも、コンセプトについてたくさん話しすぎたかも」
と自分で言って笑っていた。知的で魅力的な方でした。


 小田井さん、ご協力ありがとうございました。
 ところで、小田井さんにきくと、天神山アートスタジオに滞在するアーティストは年間200人にも上るという。制作・発表の有無はアーティストに任されているので、全員が何らかの成果を発表したり残したりしているわけではないが、筆者の知らないところで、多くの営為がなされていることは間違いない。もう少し、こまめに足を運べたらいいと思った。



・地下鉄南北線「澄川駅」から約720メートル、徒歩10分
・同「南平岸駅」から約1キロ、徒歩13分

・地下鉄南北線中の島駅でじょうてつバス「環56」に乗り継ぎ「平岸1条16丁目」で降車、約560メートル、徒歩8分


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。