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■前澤良彰作品展 Something else (2020年9月12~27日、札幌)

2020年09月26日 08時38分01秒 | 展覧会の紹介-写真
(承前)

 非常に高品質なモノクロ(「akan」のみカラー)プリント12点の、道内の風景写真。

 どうしてこんなに存在感のあるプリントなのだろうと考えながら、むかしフィルムが主体だった時代に、大判・中判カメラによる写真が、大きく引き延ばしても全体まで粒子が細かくて明瞭なものだったことを思い出しました。

 前澤さんによると「ステッチ」という手法を用いているとのこと。
 複数の写真(ネガ)を、フォトショップでつなぎ合わせているのです。
 もちろん、継ぎ目はまったくわかりません。
 使っているカメラはニコンD3。わりと古めのデジタルカメラです。複数の写真をつないでいるので、大判カメラを使っているのと同じ効果が出るのです。
 どうりで、隅々までピントが合った、精緻なプリントができるはずです。
 カラーのデータをモノクロにしてインクジェットで出力していますが、一般的なインクジェットの画質からは想像できない水準です。

 最初に目に入ってきたのは「sapporo2020-01」。
 雪の上に200台ほどの車が同じ向きで並んでいる、不思議な光景です。
 種明かしをすれば、札幌郊外のスキー場でレンズを向けたそうです。
 筆者の若いころは、車の上にスキーを積んでいくのが主流でしたが、いまそういう設備をのせている車ってほとんどないんですね。

 このほか、霧になかば覆われた山のシルエットと月をとらえた、水墨画のような作品や、吹雪の中の針葉樹林や、鹿部の大樹林など、非常に静謐な風景写真が並んでいます。
 この静けさには、心打たれます。
 北海道の自然にひそむ精神性もただよっているようです。




どうも風景写真というものは
その風景が消え去ってから
かたりかけてくるらしい。
“何か他のもの”を…。



 出品作の地名は次の通り。
sarufutsu
shimamaki
sapporo
shikabe
sapporo
sapporo
sapporo
akan 2017-07
Shintotsukawa
Shakotan
Wakkanai
kamikawa


2020年9月12日(土)~27日(日)午前11時~午後6時(最終日~5時)、火曜休み
GALLERY 創(札幌市中央区南9西6 sou.agson.jp )

関連記事へのリンク
記憶の循環 (2011、画像なし)
New Point vol.7 (2010)

参考
□artscape キュレーターズノート https://artscape.jp/report/curator/10152264_1634.html



・市電「山鼻9条」から約110メートル、徒歩2分(内回りだと、信号を渡ってすぐです)

・地下鉄南北線「中島公園駅」1番出口から約380メートル、徒歩5分

・ジェイ・アール北海道バス「循環啓55」「循環啓55」「循環啓65」「循環啓66」で、「南9条西7丁目」降車、約210メートル、徒歩3分
(ギャラリー門馬近くの「旭丘高校前」から「循環啓55」で直行できます)

・じょうてつバス「南9条西11丁目」から約750メートル、徒歩10分。(快速7、快速8は通過します)

・中央バス、ジェイ・アール北海道バス「中島公園入口」から約650メートル、徒歩8分


(この項続く) 


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