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■佐々木ゆか展 (2021年11月1~28日、札幌)

2021年11月28日 09時31分58秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
ホテル地下のエレベーターホールから店舗前のスペースを活用して毎月開かれている「北海道にゆかりのある作家たちの絵画展」第8弾。
 佐々木ゆかさんは全道展会友、独立展会友の若手画家です。
 ついつい若手と書いてしまうのですが、そして1988年生まれですから間違いではないのですが、武蔵野美大在学中から「サッポロ未来展」などに出品していましたから、キャリアはそれなりに長いです。

 筆者が最初に彼女の絵を意識して見たのは、全道展か「はしどい展」か忘れましたが、そのときは
「あ~、ジャグジー風呂で仰向けになっている女性像なのか」
で、終わってしまいました。
 見る目が足りなかったんだと反省しています。
 佐々木さんの絵は、近年はやりの「美人画」ではないしハイパーリアル系の人物像でもない。かといって、独立美術や全道展に昔から多い日本的フォーブとも全く違います。市場とも技術至上主義とも一線を画したところで、存在している絵なのでしょう。筆者がたまたま見たときにジャグジーのように、水の泡がつくる白い線が女性のまわりにおどっていたというだけだったのだと思います。
 その女性像は、エロティシズムとも違うし、かといって出来合いのフェミニズムに回収されてしまうような思想のイメージ化とも違う。かんたんな言語化ができそうで、けっしてできない、ただいっしんに筆を執り続ける女性の存在の芯のようなものが、そこに表出されているのではないかと感じるのです。

 正直に告白すると、筆者には、その芯がなんなのかははっきりとはつかめてはいません。
 でも、これからも足をとめて見ていこう―、という気になった個展でした。
 ちょっとつけ加えると、青い空間に水が流れ落ちているだけで、人物が登場しない絵が数点ありました。あるいは、これらの作品が、人間の存在の神秘につながる通路なのかもしれません。

 なにやら作文めいたテキストになってしまったことをおわびします。


2021年11月1日(月)~28日(日)午前10時~午後7時(最終日~4時)
ニューオータニイン札幌地下(札幌市中央区北2西1)

□佐々木ゆかさんのサイト https://www.yuka-sasaki-art.com/
□ツイッター @yukasartist



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