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■札幌ビジュアルアーツ写真学科25期卒業制作作品展 (2025年1月31日~2月5日、札幌)

2025年02月04日 15時59分31秒 | 展覧会の紹介-写真
 卒展シリーズの3本目。
 写真の専門学校で、技術的な水準では申し分ない写真を毎年並べています。
 今年は20人で、例年よりは多めだと思います。
 
 冒頭画像の左側の5枚組は高橋謙太「astronomy」。
 赤道儀を使い2~3時間星空を追尾して撮影した天文写真で、オリオン座、すばるとカリフォルニア星雲、アンドロメダ大星雲など、オーソドックスな並び。これだけ長時間追尾しても星が点で写っているのはえらい。
 
 
 この学校は、写真業界で生きていく即戦力の要請を主眼としていると思うのですが、これまでは、毎年1人か2人は
「この発想はなかった」
と感服させられるユニークな作品を出す人がいました。
 ところが今回は、わりと予想の範囲内というか、それぞれじぶんの好きな分野をきわめようとしている人が多かったように見受けられました。
 
 
 レトロな自動車、カーレース、自衛隊機、鉄道、建物の壁、工場群、女性のポートレート…。
 どれもすでに取り組んでいる人がいる分野です。
 だからダメだと言っているわけでは、もちろんありません。
 就職したらじぶんの好きなモチーフばかりを追いかけることはできなくなりますから、卒展の場でくらい、思いっきり「好き」を追求したくなる気持ちはわかります。
 
 
 今回、もうひとつの特徴と感じたのは、内省的なスナップを出した人が複数いたことです。
 もしかしたら、昨年までもそういう作品は出品されていて、筆者が気づいていなかっただけなのかもしれません。

 この手のさびしげな写真は、以前だったら大学写真部の展示でよく見かけたような気がします。
 ある種の「エモさ」が見る人の共感を得やすいということがあるのでしょうが、先に挙げた各分野の写真よりもさらに商売のタネになりにくそうなタイプでもあります。

 ビジュアルアーツの卒業生の皆さんが今後どういう写真を撮っていくのか筆者には見当もつきませんが、だれかが「自分だけの写真」を撮り続けていければ(それでメシを食っていくかどうかは別にして)いいな、と思っています。


2025年1月31日(金)~2月5日(水)午前10時~午後6時
富士フイルムフォトサロン札幌(札幌市中央区大通西6)

□専門学校札幌ビジュアルアーツ http://www.visualarts.ac.jp/

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専門学校札幌ビジュアルアーツ写真学科 卒業制作展 (2009、画像なし)

2007年
2006年



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