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■中野邦昭日本画展 Thank you,Good-bye ギャラリー山の手(4月16日まで)

2009年04月13日 23時55分20秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 中野邦昭さんは札幌の日本画家で道展会員。
 毎年の道展、「北の日本画展」はもちろん、さいとうギャラリーの年2度の企画展、石狩支部高文連の顧問展、自らが指導する「みなもの会」の展覧会などなど、非常に精力的に制作・発表に取り組んでいます。近年は「春の院展」で作品を見ることも多いです。
 個展は2004年にギャラリー山の手で、翌2005年にギャラリーDORALでひらいています。筆者は札幌にいない時期だったので、いずれも拝見していません。
 今回は、200号クラスからポストカードサイズまでの日本画をはじめ、テラコッタなどの立体小品もあり、非常にバラエティーに富んだ内容になっています。

 なぜか題のついていない大作が圧巻。
 中野さんが近年取り組んでいる、北海道の木造家屋を丁寧なタッチで描写している作品です。この絵でも、犬小屋やさびかけた灯油タンク、積み上げられた魚箱といった細部の描写が説得力を持っています。右手の電柱の列は、遠景の海へと視線を導きます。
 もう1点、初めて見た大作は「北の干場」。
 題のとおり、魚を干す木の骨組みが、家の周囲にそびえ立っているという図です。これだけでかい干し場は筆者も見たことはありません。魚の水揚げや網外しといった漁港の情景を絵にする人はいますが、人間を介在させずに、人間くさい営みを描ききる力量はすごいと思います。
 既発表作ですが「月の日」は、雪の日に、防風林の手前に立つ木造家屋を正面から描いています。この絵にも人物は登場しませんが、窓から漏れるあかりが、人間への懐かしさみたいな感情をかきたてます。
 この絵のすばらしいのは、遠くにある家からもやはり黄色い燈火が漏れていること。北海道の農村地帯では、となりの家が、本州の常識では考えられないほど離れている場合が多いのですが、それでも人のぬくもりを求める心は変わらないのです。
 今回の個展には、木造家屋をモティーフにした作品のほか、「炎舞」「惜別」といった、縦長の構図に女性を描いた作品も出品されています。
 いずれも、中野さんの画風はきわめて写実的です。もちろん、リアルなタッチであることが目的なのではなく、そこには人間に対する深い洞察と情愛がこめられているのだと思うのです。


 おもな出品作は次の通り。
いちご(同題2点)
はまなす
芍薬(同題2点)
コスモスと文鳥
たおれてもなお(コスモス)
コスモスのゆくえ
流れていく時
雪どけ(エゾノリュウキンカ)
福寿草
鳥(立体。同題9点)
猫(立体)
月の日
北の干場
昼下がり
風の形
炎舞
雪の日の月
惜別
十勝

白銀の滝
天の川 


2009年3月27日(金)-4月16日(木)10:00-17:00(最終日-16:00)、日曜休み
ギャラリー山の手(西区山の手7の6 地図K)

第63回 春の院展 (2008年5-6月)
第22回北の日本画展=同時開催 第1回企画展「北の息吹」(2007年)
第13回みなもの会新春日本画展(同)
20周年記念 北の日本画展(2006年)
第3回高文連石狩支部美術部顧問展(同)
第17回 北の日本画展(2002年)
 =以上画像なし


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