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■釜谷美由紀写真展-忘れえぬ夏(8月24日まで)

2008年08月23日 01時13分06秒 | 展覧会の紹介-写真
 抽象絵画や現代美術の個展の多い老舗画廊「ミヤシタ」としてはめずらしい写真展。
 作者の釜谷さんは札幌在住で、東京まで通って、有名な写真家の須田一政さんに学んでいたそうです。
 そのためか、モノクロの焼きの技術はかなりいい線いっています。
 宮下さんによると、東京の貸し暗室に行って焼き付けをしたそうです。

 案内状に印刷されていた写真が、広島の原爆ドームで、開催時期が8月なので、戦争とか原爆に関する作者の考えが表明されているのではないかと早とちりをしている人もいそうですが、あまり関係なさそうです。
 写真は全点モノクロ。ただし、1点1点額装するのではなく、すき間をあけずに詰めて壁に掛けたり、数点を組み合わせて展示するなど、平面インスタレーション的なアプローチにもとりくんでいます。

 左側の壁に広島の風景が、中央の壁には、細長く切ったプリントに光る舗装路面や建物の窓などをとらえた写真や、雲を写した写真が、さらに右手の壁には、ユジノサハリンスクでのスナップがならんでいます。
 ユジノの作品は、フィルムの外箱?などがコラージュされ、ロシアフォルマリズムを聯想させるところもあります。




 全体的な印象を語ると、なにかを喪失したかのような、痛切な切なさが漂っているようです。

 東京での写真展を見た「上北沢暗室雑記帳」さんは、ユジノの作品群について、次のように書いています。

まばらに写った人々の背中が、夏なのに弱々しい日差しの醸す陰影と相まって実に寂しい。

http://blog.goo.ne.jp/kamikitazawa-darkroom/e/f456b909538b51704d3011648531fe4f

           


 これは、たとえば筆者が以前名付けた「Sスクール」の若手モノクロ作家と通じるものがあるように思えます。
 ふつうのスナップなのに、どうしようもないほどのさびしさ、かなしさが、画面全体から漂ってくるのです。
 たぶん、それは作者に訊けば、わかることなのかもしれません。
 しかし、事実を尋ねなくても、その切なさに無言で共感しているだけでも、十分なような気がします。 


08年8月6日(水)-24日(日)12:00-19:00(最終日-17:00) 月曜休み
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D) 

□miyuki kamatani photo http://www8.plala.or.jp/miyukam/Site/

□須田一政塾ブログ http://suda19.exblog.jp/7528622/


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