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金属作家の鴨下蓉子さんが、札幌の地下鉄真駒内駅からほど近い、真駒内川の岸辺に「GALLERY kamokamo」を開設しました。
オープンを記念して「半円形-ものがたり展」がひらかれています。
出品しているのは、鴨下さんのほか、精緻な鉛筆画で知られる木村環さん、水の反射を利用したインスタレーションを制作する佐々木秀明さん、石を思わせる陶のオブジェで独自の境地を開く松原成樹さん、手漉きの紙を用いた立体造形やインスタレーションを手がける美水まどかさんの5人です。
案内状に、シャドウボックスの技法を使った作品の写真が出ていましたが、これは木村さんでしょうか。
松原さんによると「明るいスペース」とのこと。
これに伴い、地下鉄南北線自衛隊駅前の近くに鴨下さんがひらいていた「GALLERY WORKSHOP YO」は閉じました。
ここまで書いてから、4日に会場をのぞいてみました。
円筒形の目立つ建物。
入り口は、左奥にあります。
中はそれほど広くないですが、明るい空間です。
ただ、窓が小刻みに配置されているので、油彩などの展示にはあまり向いていないかもしれません。
今回の展覧会より後の予定は、まだ何もないそうですが…。
目を引いたのが、美水さんの、本のかたちをした作品。
ゲバラやリュウキンなどの画像をあしらった小品は赤く、「青い花」と題された作品はどこまでも深い藍色が特徴です。
「青い花」は、テキストが印字されているページと、ただただ藍色だけのページがあり、見ていると、ノヴァーリス(ドイツの詩人)の世界に引きこまれていきそう。
松原さんは、これまでの作風とすこし変わっています。
いちばん手前に置いてあったのが、木と小鳥と、根元に腰掛ける人物がいる情景を描写した作品。
ともすれば通俗的な説明になりがちな題材ですが、シンプルな処理で、気品の薫る作品になっています。
松原さんによると、英国の小説家D.H.ロレンスの晩年についてつづった夫人の手記から着想を得ているそうですが…。
鴨下さんのアクセサリーは1962年にオホーツクの浜辺で拾った流木のかけらをあしらっています。
半世紀近い時の歩みがそこに凝縮されているかのようです。
これは、筆者なりの解釈ですが、19世紀後半以降の近代絵画・美術は、物語の挿絵や聖書の図像から脱して自立の歩みを強めてきました。
また、マラルメからグリーンバーグ、フリードにいたる論調のなかで、各ジャンルの芸術は純化すべきであるという主張が強くなされてきたという歴史もあります。
でも、個人的には、いろんなジャンルが交錯して影響しあったほうが絶対におもしろいと思うんですけどね。
美術あるいは絵画の純粋化が、抽象表現主義からミニマルアートに至って袋小路に突入してしまったのではないかと思うと、ますますその考えを強くします。
もうひとつ。
これも何度も書いてることだけど、フォルムや色だけの追求をしていると、普通に生活してる人の日常からどんどん離れていっちゃうんですよね。
それが、果たして芸術にとって良いことなのかどうかというと、やっぱり違うと思うのです。
2011年5月1日(日)~10日(火)11am~7pm
GALLERY kamokamo(札幌市南区真駒内幸町1の1の15)
・地下鉄南北線「真駒内」駅から700メートル、徒歩約9分
(札幌芸術の森から帰路の途次では、ひとつ手前の「南区役所前」でおりると、220メートル、徒歩約3分です)
駐車スペース2、3台
□ZUZU ZAKKA http://silversd.cocolog-nifty.com/blog/
(作品の写真が大量にあります)
■ジュエリー作品展-4人4彩-(2008年)
オープンを記念して「半円形-ものがたり展」がひらかれています。
出品しているのは、鴨下さんのほか、精緻な鉛筆画で知られる木村環さん、水の反射を利用したインスタレーションを制作する佐々木秀明さん、石を思わせる陶のオブジェで独自の境地を開く松原成樹さん、手漉きの紙を用いた立体造形やインスタレーションを手がける美水まどかさんの5人です。
案内状に、シャドウボックスの技法を使った作品の写真が出ていましたが、これは木村さんでしょうか。
松原さんによると「明るいスペース」とのこと。
これに伴い、地下鉄南北線自衛隊駅前の近くに鴨下さんがひらいていた「GALLERY WORKSHOP YO」は閉じました。
ここまで書いてから、4日に会場をのぞいてみました。
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入り口は、左奥にあります。
中はそれほど広くないですが、明るい空間です。
ただ、窓が小刻みに配置されているので、油彩などの展示にはあまり向いていないかもしれません。
今回の展覧会より後の予定は、まだ何もないそうですが…。
目を引いたのが、美水さんの、本のかたちをした作品。
ゲバラやリュウキンなどの画像をあしらった小品は赤く、「青い花」と題された作品はどこまでも深い藍色が特徴です。
「青い花」は、テキストが印字されているページと、ただただ藍色だけのページがあり、見ていると、ノヴァーリス(ドイツの詩人)の世界に引きこまれていきそう。
松原さんは、これまでの作風とすこし変わっています。
いちばん手前に置いてあったのが、木と小鳥と、根元に腰掛ける人物がいる情景を描写した作品。
ともすれば通俗的な説明になりがちな題材ですが、シンプルな処理で、気品の薫る作品になっています。
松原さんによると、英国の小説家D.H.ロレンスの晩年についてつづった夫人の手記から着想を得ているそうですが…。
鴨下さんのアクセサリーは1962年にオホーツクの浜辺で拾った流木のかけらをあしらっています。
半世紀近い時の歩みがそこに凝縮されているかのようです。
これは、筆者なりの解釈ですが、19世紀後半以降の近代絵画・美術は、物語の挿絵や聖書の図像から脱して自立の歩みを強めてきました。
また、マラルメからグリーンバーグ、フリードにいたる論調のなかで、各ジャンルの芸術は純化すべきであるという主張が強くなされてきたという歴史もあります。
でも、個人的には、いろんなジャンルが交錯して影響しあったほうが絶対におもしろいと思うんですけどね。
美術あるいは絵画の純粋化が、抽象表現主義からミニマルアートに至って袋小路に突入してしまったのではないかと思うと、ますますその考えを強くします。
もうひとつ。
これも何度も書いてることだけど、フォルムや色だけの追求をしていると、普通に生活してる人の日常からどんどん離れていっちゃうんですよね。
それが、果たして芸術にとって良いことなのかどうかというと、やっぱり違うと思うのです。
2011年5月1日(日)~10日(火)11am~7pm
GALLERY kamokamo(札幌市南区真駒内幸町1の1の15)
・地下鉄南北線「真駒内」駅から700メートル、徒歩約9分
(札幌芸術の森から帰路の途次では、ひとつ手前の「南区役所前」でおりると、220メートル、徒歩約3分です)
駐車スペース2、3台
□ZUZU ZAKKA http://silversd.cocolog-nifty.com/blog/
(作品の写真が大量にあります)
■ジュエリー作品展-4人4彩-(2008年)