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抜海駅まで2.3キロを歩く●抜海へ、冬の旅(13)

2025年02月14日 10時59分10秒 | つれづれ写真録
(承前)

 いよいよ、本郷新の釣り人としての号「抜海」にまつわる稚内の冬の旅も佳境です。
 佳境というか、あいかわらずばかな旅の報告ですが…。
 札幌・大通公園の「泉」や札幌駅前の「牧歌の像」などで知られる札幌生まれの彫刻家、本郷新が、「抜海」の名をつけた稚内の漁港から、3月のダイヤ改正で廃止される抜海駅までを歩くのです。



 吹雪じゃなくて、ほんとうに助かりました。

 この季節の北海道の日本海側としては、標準的な気温と曇り空といえそうです。



 本格的に歩き出す前に、左側に折れて海へと続く道があったので、あらためて冬の日本海を眺めに行きます。
 あたりには、すっかり元の形を失うまでに壊れた廃屋が点在し、風土の厳しさを実感しました。



 筆者のような人間は、冬の海といえば、こんな鉛色を想起します。
 風も波も、むしろ穏やかなほうでした。




 集落に残ったほとんど唯一の公共的な施設である郵便局。商店などは見当たりません。道内ではこのような地区が数多くあります。
 このほか、民宿が1軒ありました。



 会館と消防団を兼ねた建物だと思います。




 旧抜海小中学校の校舎が、集落の北のはずれに立っていました。
 稚内市のサイト(https://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/kyoiku/gakkoshugakushien/gakkokyoiku/shisetu.html)によると、平成18年度(2006年度)に廃校になったそうです。
 校門の前に「避難所」の看板が立っています。




 
 こぢんまりとした集落を抜けるとあとは、ずーーーーーっとおなじ風景が続きます。

 左側は風雪を防ぐ金属の柵、右側は丘陵。

 柵は時々途切れることがあり、そこから日本海が望まれます。
 眺望の妨げではありますが、これが無いと、路上に雪の吹き溜まりができて大変なことになります。

 2、3分おきに車が通りすぎます。
 歩道が積雪で歩けないため車道の端を歩いているため、ちょっと怖いです。

 向こうから海側の道路端を歩いてくる高齢の女性とすれ違いました。
 ちょっとびっくりしましたが、上り列車を抜海駅で降りて歩いてきたのでしょうか。

 ほかに歩行者は誰一人いません。
 家が沿道に一軒もないので当然です。

 正直、ちょっと飽きてきました



 そりゃそうですよね。

 現代人が屋外の長い距離を歩くことはままあることです。
 ただし、自然のなかでも、たとえば山の中なら、多種多様な木々や植物、道の傾斜やカーブ、鳥のさえずりなど、五官を楽しませる要素が、あれこれと出てきます。

 しかし、ここには何の変化もありません。 

 ひたすら続く直線道路。
 恐るべき単調さです。





 なので、この青い道路標示を見たときには、ホッとしました。

 この三叉路を右に折れて、抜海駅へと向かいます。


(この項続く) 


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