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フランシス・ベーコン展 2013Mar.東京(11) 

2013年12月29日 23時21分12秒 | 道外で見た展覧会
 「エル・グレコ展」以来の、今年3月の東京行きで見た展覧会の記事。
 実は、もうこのシリーズを完結させる気力はほとんど失われていて、まあ「制作と生息」展について記録できたからあとはいいかな、くらいの気持ちしかないのだけど、ただ、この春以来つづいているベーコン展絶賛の嵐については、ちょっと一言しておきたいので。

 というか、ベーコンって、どこがいいのか、筆者にはぜんぜんわかんないんですよ。

 こういうことを正直に書くのって、ちょっと勇気がいるんですよね。
 だって「やっぱりヤナイは芸術がわかってない」というそしりを受ける危険性大ですから。

 でも、わからないものはわからないと、正直に言いたい。

 私見では、ベーコンは、現代人を描いたのだと思う。

 しかし、それなら、個人的にはたとえば、ジャコメッティとか、ゴッホとか、鴨居怜とか、香月泰男とか、深井克美とか、森山誠とかのほうが、グッとくる。自分にとって身近な感じがする。
 まあ、森山さんご本人は「おれの絵はそんなんじゃないよ」と否定なさるかもしれないが、ほかの皆さんは故人ということもあって、何がしか「人間」を描いているような気が、とても強いのだ。
 いや、ロスコやニューマンのほうが、まだ「現代人」の精神を描いているような気さえする。

 あるいは、ジャコメッティの場合は、サルトルなどの言論がバックにあるがゆえに、なおさら「人間の実存」みたいなものを感じるのかもしれない。
 たしかに、ベーコンの場合は、意外と、言説のバックアップがない。米国の抽象表現主義のような、批評との近しい関係も、いまのところクローズアップされていない。
 といって、もしそういう言説があったとしても、自分にとって、ベーコンの絵に親近感を抱くかどうか…。

 客観的な評価と、自分自身にとっての「よさ」というのは、まったく別物であるだろう。
 ここで述べているのは、あくまで自分自身にとってのよさでしかない。

 ベーコンを賞讃する人のいろいろな文章を読んだが、その人にとってどこが良いのかを書いた文章にはついぞ出会わなかった。近年のオークションで高額をつけていることなど、絵そのものの評価には関係ないし、その引用をしている人の評価にはますますもって無関係だろう。

 反論、お待ちしております。
 分かりやすく「おまえ、ベーコンのここがグッとくるだろ!」と教えてほしいのです。


2013年3月8日(金)~5月26日(日)午前10時~午後5時(金曜日は午後8時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし3月25日、4月1、8、29日、5月6日は開館)、5/7
東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園3-1)

□展覧会のページ http://bacon.exhn.jp/


・東京メトロ東西線「竹橋」駅から徒歩2分ほど
・都営地下鉄三田線「神保町」A8出口から約640メートル、徒歩9分
・東京メトロ半蔵門線、東西線、都営地下鉄新宿線「九段下」駅から約850メートル、徒歩11分
・東京メトロ千代田線、都営地下鉄三田線、東京メトロ半蔵門線、丸ノ内線、東西線「千代田」駅C5出口から約890メートル、徒歩12分


豊田市美術館に6月8日(土)‒ 9月1日(日)巡回


(この項続く) 


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