今回の写真展にあたって、カフェエスキスさんから展覧会の紹介文をいただいた。
写真もすばらしいが、このテキストも胸に迫る。
筆者があれこれつまらないことを述べるよりも先に、この文章を読んで、会場に足を運んでほしいと切に願う。
転載については、エスキスさんから問題ない旨のご返事をいただいた。
以下、引用。
セピア色のプリントに浮かび上がる波打ち際。炭鉱跡の施設。
写真は記録性の強いメディアだけれど、菅原さんの写真ほど
「記録より記憶」
というふうな性格の強いものはないかもしれない。
現代は、アーティスティックな写真よりも、ストレートな写真の方が、一般的には好まれ、高く評価される傾向にある。
また、感傷は通俗的とみなされ、多くの場合は排除される。
しかし、菅原さんの写真を見ていると、そういう一般的な評価など、どうでもよくなってしまう。
このテキストからもうかがえるような、作者の思いの強さが、その種の一般論を寄せ付けないからだと思う。
2枚目の画像。
油紙のようなものに包まれて、写真と短い文で構成された本が置かれている。
また、座席側の通路にあるニッチ(食器棚裏のへこみ)には、ボックス型の作品が2点置かれている。上のテキストにある、引き出しのような作品だ。
郷愁を結晶化したような展覧会だと思った。
2010年9月16日(木)~10月5日(火) 正午~0:00am(日祝日~9:00pm)、水曜定休(9月21日臨時休業)
CAFE ESQUISSE(札幌市中央区北1西23 メゾン・ド・ブーケ円山)
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■結界の紡ぎ目 中川多理×菅原英二作品展 (2009年9月)
・地下鉄東西線円山公園駅、5番出口から460メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から460メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス「北1西20」から340メートル(手稲方面行き)徒歩4分、510メートル(札幌駅前行き)徒歩7分
写真もすばらしいが、このテキストも胸に迫る。
筆者があれこれつまらないことを述べるよりも先に、この文章を読んで、会場に足を運んでほしいと切に願う。
転載については、エスキスさんから問題ない旨のご返事をいただいた。
以下、引用。
石になりたいと思っていた頃があった。
深い土の中で静かに眠る化石のように。
石になりたいと思っていた頃があった。
結晶世界の谷に咲き誇る石の花のように。
石になりたいと思っていた頃があった。
遠いどこかの惑星に落下した青い隕石のように。
1987年冬、大阪で今回と同じ『石化幻想』というタイトルの写真展をやったことがある。
その頃の僕は、仕事もお金もなく、大切な友人を亡くし、
もう誰にも知られず、地中深く眠る鉱物のように静かに生きたいと願っていた。
その時に、写真展をやらないかと声をかけてくれた人がいた。
暗室を借り、いままで撮りためたトライXを現像して、十数枚のプリントを完成させた。
そして雑居ビルの地下の小さなカフェで2週間、写真展『石化幻想』は行なわれた。
十数枚のプリント、それがその頃の僕のすべてだった。
それから23年が経ち、もちろん僕は23才年をとった。
変わったこともあれば、変わらなかったものもある。
いくつかの大地震や戦争があり、いくつもの惑星探査機が打ち上げられた。
結婚して子供が誕生した。
会社が倒産したり、何人かの友人を病気や事故で失い、父を見送った。
ずっと昔の写真もあれば、最近の写真もある。
今また23年前と同じタイトルで写真展をすることに、
どんな意味があるのか自分でもよくわからない。
でも、とりあえず僕は生き残った。
僕の机の引き出しの中には、ガラクタがたくさん詰まっている。
使い古しの目薬、中学の時にマラソン大会で優勝して貰ったメダル、
なにかから取れたボタン、投函することのなかった手紙。
そして博物館の横を流れる川の上流で採取した小さな化石。
人々が寝静まった夜に、僕は机の引き出しの中の小さなアンモナイトを取り出し、手のひらにのせてみる。
この中には遠い昔の記憶が詰まっているんだなと思う。
カメラは気持ちを記録する機械ではないけれど、
僕はシャッターを切るたびに、またひとつ悲しい思い出を作っていたのかもしれない。
最後にリチャード・ブローティガンの詩の一節を・・・。
「あなたは、ぼくのことをぼんやりと思い出すだろう。半分現像した写真のように、ね。」
セピア色のプリントに浮かび上がる波打ち際。炭鉱跡の施設。
写真は記録性の強いメディアだけれど、菅原さんの写真ほど
「記録より記憶」
というふうな性格の強いものはないかもしれない。
現代は、アーティスティックな写真よりも、ストレートな写真の方が、一般的には好まれ、高く評価される傾向にある。
また、感傷は通俗的とみなされ、多くの場合は排除される。
しかし、菅原さんの写真を見ていると、そういう一般的な評価など、どうでもよくなってしまう。
このテキストからもうかがえるような、作者の思いの強さが、その種の一般論を寄せ付けないからだと思う。
2枚目の画像。
油紙のようなものに包まれて、写真と短い文で構成された本が置かれている。
また、座席側の通路にあるニッチ(食器棚裏のへこみ)には、ボックス型の作品が2点置かれている。上のテキストにある、引き出しのような作品だ。
郷愁を結晶化したような展覧会だと思った。
2010年9月16日(木)~10月5日(火) 正午~0:00am(日祝日~9:00pm)、水曜定休(9月21日臨時休業)
CAFE ESQUISSE(札幌市中央区北1西23 メゾン・ド・ブーケ円山)
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■結界の紡ぎ目 中川多理×菅原英二作品展 (2009年9月)
・地下鉄東西線円山公園駅、5番出口から460メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から460メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス「北1西20」から340メートル(手稲方面行き)徒歩4分、510メートル(札幌駅前行き)徒歩7分